THE SHOW MUST GO ON:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) THE SHOW MUST GO ON

通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

« 2011年7月26日

2011年7月27日の投稿

2011年8月2日 »

スペシャリストとは、ある特定の分野なり技術なりのスペシャリストであって、その結集体である組織においては居場所が基本的に決まるという雇用形態があります。日本の場合純粋なスペシャリストという立場での雇用というのはそれほど一般的ではありませんし、途中で職種が変わっても雇用関係自体は継続するケースは多く見られます。

ただ、そうじゃない世界は当然あるわけです。そしてその雇用の要件自体に期限が設定されている場合はどうなるのかということですが…

 

スペースシャトル計画の関係者は基本的にスペースシャトル計画に関するスペシャリストであるという位置づけ

もちろん全員が全員そういう話ではありません。ただ、計画が終了する以上、その計画自体に直接間接に関わってきた人の状況は大きく変化します。その後の計画に向けて雇用が継続する人もいるでしょうが、NASA自体が終了する技術や設備、あるいは組織に関与している人の雇用を継続できる組織ではありません。

もちろんNASA自身は今後の宇宙開発計画を幾つか持ち、幾つもの計画がスペースシャトル計画とは別に幾つも進行し、あるいは今後実現されてゆきます。それぞれの計画においては相互依存せずに単独で進行できる体制が大抵の場合とられていますから、単純にスペースシャトル計画で働いていた人をそちらに異動させて・・・といった事が出来る状況ではありません。

 

そして転職支援

たとえばCNNなどで報道される内容をみると、計画終了にともなって2008年から累積で一声9500人が削減対象となるという話。

もちろん雇用に対する考え方が日本の一般的な理解とは異なる米国での出来事ですから、それが社会的にどういうコトなのかなどについては単純に脊髄反射反応を起こすべきでは有りません。そこに日本的な価値観を持ち込むことは出来ません。とはいえ、これだけの人間が徐々に雇用の場を失うというのが、たとえばスペースシャトル計画終了の裏側にあるということを知っていて損は無いはずです。

 

労働力の流動性、そして組織の意味

たとえばこのような動きが労働力の流動性を生むのだという話はあります。実際に閉じた世界で育った技術やスキルが広く展開される切っ掛けになるのは事実です。そして、それは同時に一定の痛みを伴うという事実も併せて理解しておかないといけない。ここは非常に大事な部分です。

ただし、そういう動きを許容できる、あるいはそもそもの前提とする社会の存在が非常に重要になります。これは社会制度や社会全体としてのコンセンサスが必要で、それをそのまま今の日本の社会に持ち込むことは非常に難しい。ソーシャルな何かの世界を中心にして云々などといった議論がされる事も有りますが、軸足がどこかに無い限り生活自体が成立しないわけで、それはそれというスタンスを取る事は別に間違っていないと思うんですね。

そういう議論自体は所謂終身雇用制というものがどうなるの的な話の中でずっと為されて来ていますし、そもそも日本の終身雇用制といわれるものがどういう時代背景を元に成立してきたのかというコトを考えるとそれほど歴史が長くないという事実を冷静に考えると根底がグラグラするわけですが、何れにせよ根底の部分にそういった考え方があり、流動化した労働力を随時吸収できる仕組みが機能していない日本の社会の今後を考える上では現状を他山の石として眺めつつもどういう方向に行くべきなのかをキチンと議論してゆかなくてはいけない話だとは思います。

 

とまぁ、スペースシャトル計画の終了が雇用問題や社会制度の問題といった難しいところまで色々と発展したりするわけですが、何れにせよスペースシャトル計画は事実上終了で、残るのは後片付け。1つの時代が終わったわけです。そこに直接間接に関与していた人たちは何処に行くのか。そしてちょうどそこに居合わせている私たちは計画自身の成果と同時にそれらのプロジェクトの幕引きをどういう風に眺め、どういう風に評価するのか。

そういうところに考えを巡らすのは決して悪い事じゃないと思います。

 

bibendum_iwa

« 2011年7月26日

2011年7月27日の投稿

2011年8月2日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
showbiz
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ