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中国のインターネットの一役を担っているのはQQ。中国のインターネットユーザの95%以上がQQを利用しているという。中国のチャット文化はQQによって育てられたといっても過言ではない。

現在、国際版のQQ Internationalは、英語、日本語、フランスをサポートして、QQがグローバル的にも広がりを見せている。

QQの生い立ちについて、「左手李彦宏、右手馬化騰」(中国語)という本に書かれているので、ここで紹介したい(李氏は中国検索大手百度の創設者、馬氏はQQを作り出したテンセント社の創設者)。

テンセント創業初期の始めてのプロジェクトは、ポケベルシステムインテグレーションだった。何人の若者がセールスマンやエンジニアの役を兼ねたり、愉快に多忙な日々を過ごした。この間、馬化騰は偶然にイスラエル開発のリアルタイムチャットのICQに出会い、すぐ将来性のあるツールだと思い始めた。

その時、ICQが世界を席巻したが、中国語バージョンはまだなかった。馬化騰はPC間でポケベル機能を実現したいと考えた。中国では携帯電話もまだ稀で、ポケベルも目を引く頃だっただった。馬化騰は、ポケベル、チャット、電子メール機能を統合したソフトウェアを考案した。彼が同僚と一緒にICQの機能を模倣し、OICQ(Open ICQ)と称した中国版”ネットポケベル”を開発した。そのOICQは後日QQとなった。

       Qq_2

        QQ国際版の日本語画面

OICQの誕生は馬化騰に何の驚きをもたらさなかった。彼と同じように海外のものをパクる企業がたくさんあった。OICQに類似するものもいくつあった。が、どれも市場を創出することができなかった。もちろん、OICQも市場の注目を引くことができなかった。馬化騰のOICQで金儲けする夢も破れる寸前だった。

1999年、馬化騰が試しにOICQを無料でダウンロードできるようにした。瞬く間、QICQは大学生の間で風靡した。そして、1年の間に500万ユーザまで拡大した。興奮のあまり、馬化騰はOICQの生存を憂慮し始めた。ユーザ数の増加でサーバを増やさないといけない。
2000年は、OICQにとっては死活にかかる年だった。テンセントもネットバブルに耐えられなくなり、OICQをCHINA.COM、SINAに100万元で売ろうとした。相手方が興味を示さなかったので、やむを得ずOICQ事業を継続することにした。この時、AOLからOICQの名称の使用中止の通達が来た。これを契機に、OICQの名称を廃棄し、ニックネームだったQQを正式名称に変更した。

転機が訪れたのは、あるベンチャーファンドの現われだった。馬化騰はベンチャーファンドにこう聞かれたそうだ。テンセントのコアバリューはなんですか?馬化騰は、イスラエルのICQは数千万ドルで買収された。われわれのユーザ数はICQの数倍。この一語で、テンセントはIDGと香港通信最大手のPCCWから220万ドルの投資を受けた。

QQは中国人のコミュニケーションスタイルを変えた。電話、電子メールと並んで、QQは多くの中国人にとっては欠かせない通信手段になった。

90年代生まれの若者にとって、携帯電話と電子メールを使えなくても、QQは必須なもの。QQに多くの友達がおり、たくさんのゲームがある。

        Photo

                         QQのiPhone版

参考記事:

ウィキペディア:テンセントQQ

中国インターネット事情:中国QQテンセントは間接的にICQの株を買収することに成功した

chris ding

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ソフトウェアのオフショア開発ビジネスに携わりながら、インタラクティブデザイン、水平思考、ネット直販などを研究

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