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中古CDの話が出たついでに、貸レコード(レンタルCD)についても書いておきましょう。単なるまとめなので、特に新しい情報があるわけではありません。
結論から言ってしまうと、レンタルCDビジネスは、(借りたCDをリップして、CDを返却した後も聴き続けることも含めて)全くの合法ですし、ビジネスの仕組みとしてもそんなに悪くはありません。中古CD問題では、権利者側に金が回るのが最初の(新品の)販売時だけで、後にCDが中古市場を転々と回っても権利者側に(CD-Rの私的録音補償金以外には)適切に金が回らない点が問題とされているわけですが、レンタルCDにおいてはレンタルのたびに権利者側に金が回る仕組みが確立しているからです。
まず、貸レコード(レンタルCD)の歴史ですが、ナガブロさんのところでていねいにまとめてありますので、興味のある方ご覧下さい。貸レコード業者とレコード業界の壮絶な争いの後に、現在の制度に落ち着いているわけですが、著作権法自体が利害調整法的性質を持つことを考えると、このように利害関係者が丁々発止渡り合って最善の妥協案を見付けるというやり方はある意味健全でしょう。
以降では歴史の話は省略して現在の制度の話について書きます。
まず、レンタルCDの市場規模ですが、だいたいCD生産金額総額の2割くらいです。レンタルCDが消費者に音楽を届ける重要なチャネルのひとつになっていることがわかります。自分はレンタルCD屋は最近は全く使ったことがないですが、おこづかいが限られている若い人たちにとってはレンタルCDは欠かせないのでしょう。
次に、権利関係です。まず、作家(作詞家・作曲家)の権利についてです。作家は貸与権を有します。この貸与権は禁止権ですが、現実にはほとんどの作家がJASRACに貸与権を信託委託しているため、レンタル業者はJASRACに対して規定の利用料を払いさえすれば作家の許諾を得たことになります。「オレの作品は、ちゃんとCDを買った人にしか聴かせたくない」という人がもしいたとするならば、許諾権をJASRACに委託しなければいいのですが、そういう人は少なくともメジャーな作家の中ではいないようです。これは当たり前のお話しで、作家の立場で言えば、販売だろうがレンタルだろうが、作品の利用に応じた正当な利用料が入ってくればよい話なので、貸与権を委託しないことでわざわざ収入の機会を減らしたがる人は少ないでしょう。
次にレコード会社の権利ですが、著作権法上は、新譜発売から1年間は貸与権(禁止権)を有し、新譜発売1年経過後には報酬請求権のみを有することになってます。つまり、新譜販売から1年以降は規定の利用料を受け取る権利はあるが、レンタルを禁止する権利はなくなります。しかし、現実の運用では国内のレコード会社は新譜発売から3週間後にはレンタルを解禁しています。しようと思えば1年間は禁止できるにもかかわらず、3週間で許諾してしまってるわけです。これは、業界団体間の取り決めなのですが、レコード会社的にはレンタル禁止して収入の機会を減らすよりも、積極的にレンタルに回して利用料を稼いだ方がビジネスとして得だという判断があることになります(もちろん、新譜販売への影響の見方によっては将来的に3週間を6週間にしろというような議論が生じることは考えられますが)。
消費者がレンタルCD屋に払う料金には、上記の権利者への支払い利用料が含まれています。1枚のCDがレンタルのたびに繰返し利用料を生み出すわけですから、権利者の立場的には貸レコードもそんなに悪い話ではありません。
ここで、私的複製の問題があります。何度も書いているように、借りたCDを自分でリップして、オリジナルCDを返却した後も聴き続けることは法律的には問題ありません。では、ビジネス的にどうかというと、当初は、私的複製されることを前提としてレンタルの利用料が高めに設定されていた経緯があるようです。しかし、最近になって前言を翻す人が出てきたので物議をかもしております(参照記事)。まあ、いずれにせよ、議論の中心は利用料をどう設定するかという話であって、私的複製を禁止せよとか、貸レコードそのものを禁止せよというベクトルにはないと思われます。それから、当然ながら、デジタル録音機器や媒体には私的録音補償金が上乗せされてますので、そのルートでの権利者への還元も行われます(iPodについてはどうするかというようなお話しは以前に書いた通り)。
ということで、貸レコードは、日本のCD価格が再販制度により高止まりしていることにより生まれた日本独自のあだ花的仕組みとも言えますが、いろいろ問題(特に金の配分の問題)はあるにせよ、結果的にはそこそこWin-Winの仕組みが構成されていると思います(消費者、作家、レコード会社、レンタルCD屋という利害関係者を考えれば、Win-Win-Win-Winの仕組みとも言えるでしょう)。唯一、Loseの立場にあるのはCDの小売店でしょうが、小売店を保護するために消費者が不利益を被るのでは本末転倒なので、これはしょうがないでしょう。
よくよく考えてみると、貸レコード(レンタルCD)はDRMフリーの音楽配信を合法的にオフラインでやってるようなものとも言えます。その意味では、結構今日的な仕組みなのかもしれません(逆に、DRMフリーのオンライン配信が一般化すれば、レンタルCDは消え去る運命にあるとも言えます)。
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