栗原潔のテクノロジー時評Ver2:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 栗原潔のテクノロジー時評Ver2

知財、ユビキタス、企業コンピューティング関連ニュースに言いたい放題

« 2006年11月29日

2006年12月1日の投稿

2006年12月2日 »

昨日は、ICPF(情報通信政策フォーラム)主催のセミナー「経済産業省はWeb2.0にどう対応するか」に行ってきました。すごいタイトルですが、基本的に例の「情報大航海プロジェクト」のお話しです。

意外にも客入りはあまりよろしくなかったです(50人くらいでしょうか?会場キャパの半分くらい)。以前に、同じくICPF主催で、同じ会場でGoogle日本法人の村上社長が講演したときには満員御礼であったことを考えると、「情報大航海プロジェクト」に対する世間の見方ってこんなもんなんだなーということがよくわかりました。

資料が、ICPFのサイトからダウンロード可能になっています。もし、私がメーカーの研究開発部門のトップで、部下からこの資料を企画書として提出されたとしたら、1)スコープがはっきりしない、2) 現状のユーザーニーズの調査が不十分、3)目標設定が不明確、4) Why Us?(なぜ、我々がやるべきなのか?)が不明確という点でダメ出しをするでしょう(偉そうですみません)。1)、2)、3)は、これからやっていくということなのかもしれませんが、4)は結構重要な問題です。つまり、何故あえて民ではなく、官がこういうことをやらなければならないのかが見えにくいということです。

官がリーダーシップを取って、民がそれに従って協力し合うことで、最大限の効率性を提供するモデルは、国が高度成長期にある時は有効でしょう。今なら中国がそういうステージにあると言えます。しかし、国家が成熟するにしたがって、米国のように民は自由に合従連係できるエコシステムを構築し、国は健全な競争が行われるように後方支援するというモデルの方が有効になってきます。

話しちょっと跳びますが、拙訳のジェフリー・ムーアの「ライフサイクル・イノベーション」の重要なテーゼとして、市場には成熟度レベルがあり、それにより取るべきイノベーション戦略は異なるというものがあります。要するに、市場が成熟化しているのに、成長市場で取ってきたようなイノベーション戦略を取るのは誤りということです(破竹の勢いで成長してきた企業が、市場の成熟化と共に一気に失速する事例が多いのはこういう理由です)。国家の産業政策においても同様のことが言えるでしょう。

今回お話しをされた久米孝氏を含め、過去にはMETI(MITI)の人と何回かお話しをしたことがありますが、皆さん優秀で、かつ、日本の将来を真剣に考えているという点については例外がありませんでした。個人ベースでは優秀なのに組織としては?なケースが多いんですよね。もちろん、久米氏も国家プロジェクトの課題については充分に認識されているようで、ユーザー(ニーズ)主導で、PDCAサイクルをしっかり回して、環境の変化に柔軟に対応することは宣言されています。外部の意見もどんどん取り入れていくということなので、建設的な意見をインプットできる運用をして欲しいものだと思います(ブログを開設すればよいと思うのですが)。

あと、久米氏が、「Google対抗の検索エンジンを日本メーカーで作るというような意図は全くないにもかかわらず、メディアの人にどれほど説明しても『日の丸検索エンジン』というフレーズで語られてしまうので困っている」とおっしゃってましたのを付記しておきます。

栗原 潔

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栗原 潔

栗原 潔

株式会社テックバイザージェイピー(TVJP) 代表取締役 弁理士
IT、知財、翻訳サービスを中心とした新しいタイプのリサーチ会社を目指しています。

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