栗原潔のテクノロジー時評Ver2:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 栗原潔のテクノロジー時評Ver2

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2006年9月10日の投稿

2006年9月12日 »

磯島さんのブログで振られてしまったので、ちょっと遅くなりましたが、商標権とドメイン名の関係について簡単にご説明します。これから起業される方なんかにとっては、結構重要な話ではないかと思います。

商標登録とドメイン名登録は登録時には基本的に相互チェックしてないですから、重複して登録されることがあり得ます。いろいろ細かい話を省略して、基本的なところだけを書くと以下のようになります。

1)商標登録が先にされている場合
 他人の商標に類似した名称をドメイン名として勝手に使うと商標権の侵害になります他人の登録商標に類似した名称を、その登録商標の指定商品・役務の類似商品・役務の提供の際に使われるドメイン名として使用すると商標権の侵害になる可能性があります。仮に、訴訟されて負けるとドメイン名登録が取り消されてしまいますの使用が差し止められ、最終的に登録が取り消される可能性があります。また、場合によっては損害賠償の責を負うこともあり、あまりに悪質であれば罰金・懲役の刑事罰を受けることがあります(知的財産権の侵害は結構厳しい罪なのです)。(裁判まで行かなくても、日本知的財産仲裁センター等の裁定により、結果的に、ドメイン名が取り消されることはあり得ます)。

2)ドメイン名が先に登録されている場合
 ドメイン名がその会社の商品やサービスを表すものとして周知になっている時には、それと類似した商標は登録されません。万一、誤って登録された場合でも、後で無効審判や異議申立を行えば、商標登録を無効・取消にできます。ただし、ドメイン名が周知であるというのはドメイン名を持っている側(原告側)が証明する必要があります。ただ、普通は周知になっているようなドメイン名は既にその会社が商標登録しているはずなので、このパターンの問題が生じることは少ないはずです。

3)商標登録されていない商品名・企業名を勝手にドメイン名に使われてしまった場合
 ちょっと昔にはこういう事件が結構ありました。他人の会社名でドメインを先取りして、高額で買い取ってもらうといういわば「ドメイン占有屋」です。具体的な事件としては、JACCS事件とかJ-PHONE事件がありました。当時は、ドメイン名の法律的な位置づけが明らかでなかった(単なるアドレスなのか?ビジネスの標章なのか?)ので裁判でもめたりしましたが、不正競争防止法の改正により、こういう「ドメイン占有屋」商売は実質的に不可能になりました

不正競争防止法 2条1項12号
不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為

ということで、磯島さんのブログにあるie7.comがFireFoxのページに飛ぶというのは、日本であれば不正競争防止法により差し止めできる可能性があるということになります(ただし、親告罪なのでマイクロソフト自身が訴える必要があり、また、業務上の損害が発生している(または、そのおそれがある)ことを立証する必要があります)。米国でもたぶん同じようなものだと思います。まあ、このケースではマイクロソフトが敢えて訴えるとは思えませんが。

栗原 潔

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栗原 潔

栗原 潔

株式会社テックバイザージェイピー(TVJP) 代表取締役 弁理士
IT、知財、翻訳サービスを中心とした新しいタイプのリサーチ会社を目指しています。

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