磯島さんのブログで振られてしまったので、ちょっと遅くなりましたが、商標権とドメイン名の関係について簡単にご説明します。これから起業される方なんかにとっては、結構重要な話ではないかと思います。
商標登録とドメイン名登録は登録時には基本的に相互チェックしてないですから、重複して登録されることがあり得ます。いろいろ細かい話を省略して、基本的なところだけを書くと以下のようになります。
1)商標登録が先にされている場合
他人の商標に類似した名称をドメイン名として勝手に使うと商標権の侵害になります他人の登録商標に類似した名称を、その登録商標の指定商品・役務の類似商品・役務の提供の際に使われるドメイン名として使用すると商標権の侵害になる可能性があります。仮に、訴訟されて負けるとドメイン名登録が取り消されてしまいますの使用が差し止められ、最終的に登録が取り消される可能性があります。また、場合によっては損害賠償の責を負うこともあり、あまりに悪質であれば罰金・懲役の刑事罰を受けることがあります(知的財産権の侵害は結構厳しい罪なのです)。(裁判まで行かなくても、日本知的財産仲裁センター等の裁定により、結果的に、ドメイン名が取り消されることはあり得ます)。
2)ドメイン名が先に登録されている場合
ドメイン名がその会社の商品やサービスを表すものとして周知になっている時には、それと類似した商標は登録されません。万一、誤って登録された場合でも、後で無効審判や異議申立を行えば、商標登録を無効・取消にできます。ただし、ドメイン名が周知であるというのはドメイン名を持っている側(原告側)が証明する必要があります。ただ、普通は周知になっているようなドメイン名は既にその会社が商標登録しているはずなので、このパターンの問題が生じることは少ないはずです。
3)商標登録されていない商品名・企業名を勝手にドメイン名に使われてしまった場合
ちょっと昔にはこういう事件が結構ありました。他人の会社名でドメインを先取りして、高額で買い取ってもらうといういわば「ドメイン占有屋」です。具体的な事件としては、JACCS事件とかJ-PHONE事件がありました。当時は、ドメイン名の法律的な位置づけが明らかでなかった(単なるアドレスなのか?ビジネスの標章なのか?)ので裁判でもめたりしましたが、不正競争防止法の改正により、こういう「ドメイン占有屋」商売は実質的に不可能になりました。
不正競争防止法 2条1項12号
不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
ということで、磯島さんのブログにあるie7.comがFireFoxのページに飛ぶというのは、日本であれば不正競争防止法により差し止めできる可能性があるということになります(ただし、親告罪なのでマイクロソフト自身が訴える必要があり、また、業務上の損害が発生している(または、そのおそれがある)ことを立証する必要があります)。米国でもたぶん同じようなものだと思います。まあ、このケースではマイクロソフトが敢えて訴えるとは思えませんが。
Special
- PR -| 磯島大 | 2006/09/10 16:03 |
|
磯島です。栗原さん、早速ありがとうございます。勝手に振って失礼しました。知財の権利関係は難しいことが多いので、これからもどうぞやさしくご教授ください。少し話題がずれますが、ちょうど先日、あるイベントオーガナイザーの方とお話していて、セッションのテーマにweb2.0というワードを入れてもいいものかどうかという話になりました。先の栗原さんのエントリーによれば、国内では今のところ使えなくもないんじゃないかというよう気もしますが、どうなんでしょうね。これも含めまたちょこっと、ご相談させていただきます。宜しくお願いします。 | |
| 栗原潔 | 2006/09/11 00:22 |
|
絶対とは言えませんが、Web 2.0をテクノロジーを表す一般名詞として使う分には問題ないと思います。 | |
| 橘 弘一 | 2006/09/11 13:56 |
|
1.不勉強ですみません。「他人の商標に類似した名称をドメイン名として勝手に使うと商標権の侵害になります」ということを、初めて知りました。後学のために、そのように認定された具体例を教えて戴ければ幸いです。 2.同様に、「訴訟されて負けるとドメイン名登録が取り消されてしまいます」というのは、「商標権侵害訴訟において負けると~」という意味に理解したのですが、そうであるならば、実際に商標権侵害訴訟においてドメイン名登録が取り消された事例を教えて下さい。侵害物の廃棄はよくありますが、ドメイン名登録の取消しを請求できる法的根拠が思いつかず、商標法36条2項の「侵害予防行為」として付帯請求して認められた事例があるのかな、と思ったからです。 また、仮に「「商標権侵害訴訟において負けると~」という意味ではなく、「不正競争防止法上の差止請求訟において負けると~」という意味であるならば、そのような事例も教えて戴けますと幸いです。不正競争防止法改正時の議論では、2条1項12号でドメイン名の移転を請求できるか否かが論点になりましたが、我国民法上の解釈からは移転は行き過ぎであり、差止請求権と損害賠償請求権に限るのが妥当であるという結論になったと理解しておりました。恥ずかしながら、業界の人間なのに全く知りませんでした。 | |
| 栗原潔 | 2006/09/11 14:34 |
|
たとえば、以下の記事を参照下さい。 あと、「ドメイン名が取り消されてしまいます」→「ドメイン名の使用が差し止められた後、紛争処理機関(日本知的財産仲裁センター)によりドメイン名が移転させられることがあります」と書けばよかったでしょうか?法律論文を書いているわけではなく、「細かい話を省略して」基本的な流れだけを書いてますのでご理解下さい。 | |
| 栗原潔 | 2006/09/11 23:15 |
|
よく考えたら↑のJ-PHONEの件は不正競争法でした。なので、「他人の商標に類似した名称をドメイン名として勝手に使うと商標権の侵害になります」というのはちょっと乱暴な書き方でした。すみません。 | |
| mohno | 2006/09/12 03:13 |
|
一応コメントすると、jp と .com/.net などの gTLD ではドメイン名紛争を受け付ける機関が違います。→ http://www.nic.ad.jp/ja/drp/ | |
| 栗原潔 | 2006/09/12 12:04 |
|
「日本知的財産仲裁センター*等*の裁定」と本文を直しました(論文の添削されてるみたいです^^)。 | |
| 橘 弘一 | 2006/09/12 12:27 |
|
栗原先生、解説ありがとうございました。明確になりました。田村先生の概説の説も存じております。現時点においては、①他人の登録商標と同一類似のドメイン名を、ドメイン名として使用した場合には、直ちに他人の商標権の侵害を構成するわけではない、②しかし、ドメイン名を商標的使用態様にて使用した場合は、他人の商標権の侵害を構成することがあるから営業面ではこの点に注意するべき、③そのような観点からも、自己の使用するドメイン名が他人の登録商標と同一類似で迷惑をかけることにならないか、営業を開始する前に弁理士によく相談して、先願調査をしておくことが好ましい、というあたりがポイントでありましょうか。稚拙な文章ですが、私も過去に実務者側として意見をまとめておりますので、今回の記事にピンとくるものがあった次第です。http://www.jaipa.or.jp/hosting/column4.html | |
| mohno | 2006/09/13 01:39 |
|
> techvisor.com | |
| Adelsberger | 2010/10/27 16:12 |
|
世界の表舞台で展開している欧州の会社の件で質問です。 | |
| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
| 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
| 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
| 29 | 30 | 31 |
オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。

ストレス社会との付き合い方
「思いやり経営」のススメ
テレワークが労働者のマインドを変える
求む、クックパッド男子
37歳の常識――我々は一生学び続ける