発想七日!:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 発想七日!

日々の「ハッ、そうなのか!」を書き留める職遊渾然blog

« 2007年2月19日

2007年2月21日の投稿

2007年2月23日 »

ルドルフ・ジュリアーニ氏が初めてニューヨーク市長となり、運営担当副市長(企業のCOOに相当か?)を任命するときの話。市の運営に通じたポール・クロッティでなく、自分のビジョンを理解している(が市政の経験には乏しい)ピーター・パワーズを起用した理由を述べて曰く、

市政の知識がありすぎたら、新しい方法を模索する創造性が発揮できないと、わたしは確信していた。豊富な知識が重要になるのは、方針が定まって実行に移されるときなのだ。
― ルドルフ・ジュリアーニ 『リーダーシップ』 p135

ジュリアーニ氏は法曹界から政治家に転じた方。それなのに最初から政治家らしい発想を発揮していたことにハッとしました。また著者本人をはじめ、大胆なキャリアチェンジをしていく人が随所に登場します。足場を固めなきゃなあと考えていた僕に、いやいやまだいけると思わせてしまう、危険な本でもありました。

政治家と官僚。CEOとCOO。ジェネラリストとスペシャリスト。ITの世界では前者、言ってみれば「ITジェネラリスト」とでもいうべき役割が育ちにくいような印象を持っています。Gartnerは、ITプロフェッショナルよ"Versatilist"(バーサタイリスト。多能職と訳しておきます)たれと、一見無理難題を言っていますが、これはITスペシャリストに対して「ITジェネラリストを目指してよ!」というラブコールであると理解しています(詳しくはG社の1000ドルのレポート数本を参照のこと。ちなみに僕は未読)。

…ただ『プロダクトマネジャーの教科書』を読んで以来、未来のITジェネラリストは従来のパス(「下流」から「上流」へという、例のアレ)の外から来るのかもしれないなあ、とも思っています。職務定義がVersatile化するのはITの人だけではなさそうだ、ということをこの本で実感したからです。

IT担当の経営幹部に求められるのはITの知識ではなくITマネジメント。アウトソーシングが進むにつれ、ますますそうなる。そこで出てくるのが、鍛え抜かれたジェネラリスト。こういう人たちが勢い余って(?)企業の情報通信システムのマネジメントに通じて、CIOとなる。うん、ありそうな気がする。

(参考)
なぜ、専門性だけでは十分でないのか」 - 自分戦略を考えるヒント
プロダクトマネジャーの教科書』 - NextBook書評
"Gartner Says Technical Aptitude No Longer Enough To Secure Future for IT Professionals"

koji

« 2007年2月19日

2007年2月21日の投稿

2007年2月23日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

堀内 浩二

堀内 浩二

(株)アーキット代表。
「個が立つ社会」をキャッチフレーズに、起業・転職支援やビジネスリテラシー研修などを提供しています。 個人向けにはチャレンジ応援サイト「起-動線(きどうせん)」を運営。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
koji
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ