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日々の「ハッ、そうなのか!」を書き留める職遊渾然blog

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「ものを書くときには、頭の中でセンテンスの最初から最後のマルのところまでつくれ。つくり終ってから、それを一気に書け。それから次のセンテンスにかかれ。それを続けて行け。そうすれば早いし、いい文章ができる」(p240)
― 丸谷才一 『思考のレッスン

丸谷氏は、随筆などを読む限り筆記具派。この心得は、ワードプロセッサーで文章を書く場合にも当てはまるのでしょうか?

僕は典型的な「書きながら考える」派です。とにかく書き出して、それから切り貼りをして文章を整えます。書き終えた後には、使われなかった断片が文章の下に大量に発生しています。今のところそれで困っているわけではありませんが、もう一段いい文章を書くために何をしたらよいか、漠然と考えておりました。

ここ数日は上記の教えに従って、各種の文章を「頭の中で完成させてから書く」ようにしています。これが意外と辛い。まだ効果のほどは定かではありませんが、ここまでの学びをまとめておきます。

  • 誤字が少なくなる
    事前に文章をイメージしてから打つので、誤変換されたときに気がつきやすい。切り貼りすると、助詞を文章の中に置きっぱなしにしてしまうようなことがあるが、そういう誤字も少なくなる。
     
  • 難解な文字が減る
    筆記具では決して書かないのに、「変換してくれたから使う」ような漢字が減る。結果として自分らしい文章になる。
     
  • 難解な文章が減る
    頭の中だけでは込み入った構造の文章が作れないので、結果として平明な文章になる。
     
  • 短期記憶が鍛えられる?
    短期記憶が鍛えられそうな気がする。ただし根拠なし。
     
  • 話術にも応用が利く?
    会話は編集できない。考えながらアウトプットするスタイルを会話に持ち込んでしまうと、ただダラダラ喋っているだけになってしまう。「考えをまとめてからアウトプットする」ことで、「思慮深そうなヒト」になれるのでは(今のところ反響なし)。
     
  • 楽しい
    考える時間とタイプする時間を分離するので、考えた後はただタイプすればいい。ガーッと打っていく作業は、楽しい。
     
  • 気が散らない(が、発想は広がらない)
    当てずっぽうに書いていくと、今書いている文章のテーマと関係ないことも含めて、いろいろとアイディアが出てくることがある。発想を広げられるメリットはあるが、目の前の文章を完成させるという観点からすれば「気が散っている」のでマイナスだった。文章を考えてから書くと、そのようなことがなくなる。これは良し悪しですね。
     
  • どちらにせよ推敲は必要
    丸谷氏も書かれているが、頭のなかで文章を完成させれば推敲の必要がなくなるということではない。完成させてもいない文章の中の言葉選びに時間を費やすならば、まず文章を完成させて、書いてみて、それから推敲せよということ。考えながら書いた文章は、しばしば非常に分かりづらく、まともな文章にするのに苦労することがあるが、一応文章として完成させてから書き出せば、推敲は比較的楽な気がする。
     
  • (追加)目が疲れにくい
    ちょっと嬉しい副産物。書きながら考えると画面を見続けることになるが、考えてから書けば、考えている間は画面を見る必要がない。

総じてプラスの方が多い気がしますので、もう少し続けてみようと思います。

koji

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堀内 浩二

堀内 浩二

(株)アーキット代表。
「個が立つ社会」をキャッチフレーズに、起業・転職支援やビジネスリテラシー研修などを提供しています。 個人向けにはチャレンジ応援サイト「起-動線(きどうせん)」を運営。

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