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日々の「ハッ、そうなのか!」を書き留める職遊渾然blog

« 2006年8月9日

2006年8月11日の投稿

2006年8月14日 »

我ながらおめでたいことに、自分で書いた文章にハッとすることがあります。今日ハッとしたのは、午前中に書いていたコラムの中で(自分の頭から)出てきた、

自分も顧客も、同じ速度で歳をとっている

という言葉。

オーナーが自分の着たい服をデザインしている、Aという服屋さんがあって、
年々趣味が変わっていくのが面白いなと思っていました。

普通のブランドは、ターゲット層(と、その層に対してのポジショニング)を特定したら、
それを動かしません。リーバイスのジーンズは常に若者のヒップにこそフィットするように作られます。
顧客の変化に追随することはあります。また反例もありましょうが、
だいたいブランドを作り・維持するためにはターゲットの特定が必要です。

しかしAは、顧客の変化に対応するのではなく、
ただただ来たい服をデザインし、
店に並べ続けた(←この辺はかなり想像で補っています)。

Aのやり方は逆です。
常に、少しずつ変わっていく。
しかも顧客の変化にぴったりと合った速さで。
それなのに、顧客を追い掛けているわけでもありません。

なぜそれが可能なのか。当たり前ですが、
「自分も顧客も、同じ速度で歳をとっている」
から。

顧客にしてみれば、ブランドを乗り換える必要がない。
オーナーが、常に同世代の感性でデザインしてくれた服が、そこにある。

商品のテイストが変化してしまったことをもって
「一貫性を失ってしまい、もったいない」
と感じたわけですが、実は見事な一貫性があったわけです。
オーナーの人生の歩みがそのままブランドである、と言ってもいい。

自分が欲しい製品・サービスを発想する。
自分が属するセグメントを、ターゲット顧客に据える。
Aにもまた、「ありのまま」の強さを見た気がしました。

(『ありのままを貫くという、企まざる戦略』から)

「それは個人事業だからできる話」
「B2Bでは関係ない」
と評してしまうには惜しい教訓があると感じました。

法人(というか企業)にもライフステージがあります。
顧客にも、自身にも。

koji

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プロフィール

堀内 浩二

堀内 浩二

(株)アーキット代表。
「個が立つ社会」をキャッチフレーズに、起業・転職支援やビジネスリテラシー研修などを提供しています。 個人向けにはチャレンジ応援サイト「起-動線(きどうせん)」を運営。

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