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日々の「ハッ、そうなのか!」を書き留める職遊渾然blog

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Innout IN-N-OUT Burger (アメリカのハンバーガーチェーン)の創立者が亡くなったことを、Fast Company Nowのエントリ"Farewell, Esther Snyder, Founder Of In-N-Out Burger"で知る。

ハッとしました。
アメリカにいた間に3回くらい入ったことがあるだけの
このチェーンを、なぜ憶えているのだろう?
しかも、非常に好感を持っていた記憶がある。

エントリを読むにつれ、「ブランド」について考えさせられることがありました。

IN-N-OUT Burgerについて、記事の一部を簡単に要約しておきます。
『IN-N-OUT Burgerは、西海岸でカルト的な人気を博しているハンバーガーチェーンだ。同じように第二次世界大戦後に産まれ急成長を遂げた、全国区のブランド(マクドナルドなど)とは一線を画した低成長戦略を持っている。』

さらに、エントリからリンクされていた"Obsessive Branding Disorder"という記事で、確固たるブランドを築いた事例であることを知った。

年3億ドルを売り上げるハンバーガーチェーンのIn-N-Out Burgerも、PR活動をほとんどしないブランドの象徴。長年にわたり他のファストフード企業に恥ずかしい思いをさせている。
マクドナルドは昨年ブランディングに15億ドルを費やしたとみられる。しかし店舗あたりの日商では、In-N-Outをわずかに上回ることしかできていない。
In-N-Out Burgerを「食べたけど、今までで一番美味しいバーガーではなかった」と言う人に会ったことがあるだろうか?
一方、いったいどこの誰が、(M社のバーガーに)"lovin' it"しているだろうか?

The $310 million In-N-Out Burger chain, another iconic brand that rarely advertises or speaks to the press, has been putting the rest of the fast-food industry to shame for years. McDonald's spent an estimated $1.5 billion on branding efforts last year, producing little more than one day's worth of sales more per store than In-N-Out. Have you ever met anyone who's had an In-N-Out Burger who doesn't believe it's one of the best burgers they've ever had? Meanwhile, just who, exactly, is really "lovin' it"?
("Obsessive Branding Disorder" - Fast Company)

このチェーンをなぜ憶えていたのか。単純にそれが「美味しくて感じのいい店」だったからに他ならず、それがブランドというものなのでしょう。

INSEADのChattopadhyay教授によれば、ブランドを築くとは「自社の核となる価値を、一貫したやり方で顧客に伝える」ことである。言い換えれば、当たり前のこと(をやる以外に近道はないということ)だ。

To successfully build a brand, says INSEAD marketing professor Amitava Chattopadhyay, "is to communicate your key value proposition to the key customer segment, and do so in an integrated and consistent way." In other words, Business 101.
("Obsessive Branding Disorder" - Fast Company)

嫁さんにIN-N-OUT Burgerを憶えているかと聞いてみたら、最初は憶えていないと言ったものの、やがて思い出してくれました。
しかも僕より細かく。揚げたフライの油を丁寧に抜いていたこととか、ちょっとマニアな雰囲気とか。初めてIN-N-OUT Burgerに遭遇したのが、家族で遠出をした帰り道であったことも共に思い出し、ちょっと懐かしくなりました。ご冥福をお祈りします。

▼ネタ元
"Farewell, Esther Snyder, Founder Of In-N-Out Burger" - Fast Company Now
"Obsessive Branding Disorder" - Fast Company

koji

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堀内 浩二

堀内 浩二

(株)アーキット代表。
「個が立つ社会」をキャッチフレーズに、起業・転職支援やビジネスリテラシー研修などを提供しています。 個人向けにはチャレンジ応援サイト「起-動線(きどうせん)」を運営。

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