« 2009年3月26日

2009年4月20日の投稿

2009年4月22日 »

これまで噂されていたSun買収の顛末ですが、ついに状況が確定しました。 今年3月にIBMが買収するとの話が業界を駆け巡りましたが、その話が4月に破談し、 そこからわずか2週間足らずでOracleが買収することになったそうです。

先ほどOracleとSun社のウェブサイトには公式コメントとして発表がなあれました。この結果、 新たな総合IT企業が誕生することになります。

OracleはFusion Middlewareというビジョンを背景にアプリサーバ(Oracle WebApplication Server、WebLogic)やデータベース(OracleDB)だけでなく、OS(RedHat Linux、Miracle Linux)や仮想アプリ(Oracle VM)も提供している非常に力強いベンダーですが、 いずれもソフトウェア製品そのものやサポートサービス(Oracle OnDemand)に限られており、 この点でHPやIBMと大きく異なっていました。

今回の買収によりOracleはSunの優れたハードウェア製品を手中に納めたことにより、 これからは同じようなソリューションをクライアントに提供できるようになるでしょうね。

気になるのはSunが持つソフトウェア資産があまりにもOracleの既存ラインナップと被っていることです。例えば、 WebアプリサーバとしてSunはグラスフィッシュ(しかもライセンス料ナシ)を持っていますし、データベースにはMySQLがあります。 認証管理製品もそうでしょう。

特にWebアプリサーバはOWAS、WebLogicが既にOracle内で競合しており、 営業さんも売り込み方に迷っていることと思います。

明後日からOracle OpenWorld Tokyoが東京で開催されるようですが、 ここで何らかの発表があるのではないかと期待しています。

NAKA

マッキンゼー(Mckinsey & Company)が4/15に発表した『クラウドコンピューティングの真実(Clearing the Air on Cloud Computing)』で次のような主張がなされています。

  • 大企業がクラウドコンピューティングを採用するのは不利である
  • クラウドコンピューティングは業界の一方的な過剰売り込みである
  • Amazon Web Services(AWS)に代表されるようなクラウドコンピューティングは、企業が自力でやれることを過大な料金で大企業にサービスとして提供している
  • クラウドコンピューティングは中小企業には適しているが、従来型のデータセンターを使っている大企業には普及しない
  • 大企業に向いているのは仮想化であり、社内的に仮想化を実装することによって企業は減価償却や税控除の面で費用を節減できる

TechCrunchの記事を参考に原文を読むと分かり易いと思います。
http://jp.techcrunch.com/archives/20090416mckinseys-cloud-computing-report-is-partly-cloudy/
http://uptimeinstitute.org/content/view/353/319

このレポートは欧米で物議を醸しているようで、クラウド関係者の反応は様々だとか。
http://www.datacenterknowledge.com/archives/2009/04/16/roundup-the-mckinsey-cloud-report/

ちなみにマッキンゼーの調査では、現在のところ、クラウドコンピューティングの定義は22種類以上も存在するとのことで、次のものになるとレポートでは述べてありました。

  1. Hardware management is highly abstracted from the buyer
  2. Buyers incur infrastructure cost as variable OPEX
  3. Infrastructure capacity is highly elastic (up or down)

内容について突っ込みたい面とうなづける面がそれぞれあります。クラウドビジネスに携われる方は是非ご一読下さい。

NAKA

« 2009年3月26日

2009年4月20日の投稿

2009年4月22日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

中 寛之

中 寛之

アクセンチュアに勤務。
ITIL Managerとして、システムインフラのコンサルティングを中心に、業務領域まで幅広く担当しています。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
infra
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ