マッシュアップってどこにいったの? ガートナー戦略的テクノロジの過去を振り返る
皆さんの中にはご存知の方も多いかと思いますが、2011年10月にガートナーから「2012年に注目すべき10の戦略的テクノロジ」が発表されました。
今後3年間間の中長期戦略において、企業が影響を受ける可能性を持つテクノロジーを「戦略的テクノロジ」と定義し、ITやビジネスに革新的変化をもたらすものや、大規模な投資を要するもの、また導入しなければビジネス上のリスクが拡大するものなどがリストアップされています。
私の所属するアクセンチュアも「テクノロジートレンド」というものを毎年発表しており、2011年からの5年間は、データ・アナリティクス、センサーネットワーク、ソーシャルプラットフォーム、データプライバシー、それにユーザー・エクスペリエンスが注目に値するテクノロジーであると述べています。
話を戻しましょう。
ガートナーが今回選んだ10の戦略的テクノロジは以下のものです。
【2012年に注目すべき技術】
http://www.gartner.co.jp/press/html/ref20111129-01.html・メディア・タブレットと次世代型製品
・モバイル・セントリック・アプリケーションとインタフェース
・コンテキストとソーシャル・ユーザー・エクスペリエンス
・インターネット・オブ・シングス ※センサーNW
・アプリケーション・ストアとマーケットプレース
・次世代アナリティクス
・ビッグ・データ
・インメモリ・コンピューティング
・超低消費電力サーバ
・クラウド・コンピューティング
アクセンチュアが2011年に発表したテクノロジービジョンと半分は被りますが、さらにデータアナリティクスを意識した技術、たとえばビッグデータ、インターネット・オブ・シングス、大量データ処理を意識したインメモリ・コンピューティングがランクインしています。
現在の技術では、ビッグデータを蓄積することはできても、それを適切に分析できるモデル(ポリシー)やそれを(リアルタイムレベルで)処理するハードウェアは研究段階に留まっており、完全な商用化はされていません。それは、あのなんでもやってしまうGoogleがビッグデータ分析によるサービスを検索以外で打ち出せていないことが何よりの証左とも言えます。
これら技術が2012年にどう花開いていくのかは楽しみですが、一方で、過去に発表された「戦略的テクノロジ」はどうなったのでしょうか。気になってしまったので、過去にガートナーが発表した情報を探してみました。
すると、2008年末に「2009年の戦略的テクノロジ」を発表したのが一番最初であり、それまでガートナーはこういった情報を発表していなかったようです。ということで、2009年分~2011年分までを以下に列挙してみました。複数年に渡って登場している技術(類似を含む)は、一番最初に登場したものを★でマーキングしてみます。
【2011年に注目すべき技術】
http://www.gartner.co.jp/press/html/pr20101025-02.html・クラウド・コンピューティング
・モバイル・アプリケーションおよびメディア・タブレット
・ソーシャル・コミュニケーションおよびコラボレーション
★ビデオ
・次世代型分析
・ソーシャル分析
★コンテキスト・アウェア・コンピューティング
・ストレージ・クラス・メモリ
・ユビキタス・コンピューティング
★ファブリック・ベースのインフラストラクチャおよびコンピュータ【2010年に注目すべき技術】
http://www.gartner.co.jp/press/html/pr20091111-01.html・クラウド・コンピューティング
★高度な分析
★クライアント・コンピューティング
・ITによるグリーン化
★データセンター再構築
・ソーシャル・コンピューティング
★セキュリティ - アクティビティ・モニタリング
★フラッシュ・メモリ
・可用性のための仮想化
★モバイル・アプリケーション【2009年に注目すべき技術】
http://www.gartner.co.jp/press/html/pr20081027-01.html★仮想化
★クラウド・コンピューティング
★サーバ (ブレードを超えたもの)
★Web指向アーキテクチャ (WOA)
★エンタプライズ・マッシュアップ
★「特化型」システム
★ソーシャル・ソフトウェアとソーシャル・ネットワーキング
★ユニファイド・コミュニケーション
★ビジネス・インテリジェンス (BI)
★グリーンIT
今見返してみると、2009年の注目技術で挙げられている内容が非常に懐かしく感じます。
グリーンITという言葉は途中で消えかけましたが、日本で起きた東日本大震災を機にまた存在感を増してきました。BIはBA(ビジネス・アナリティクス)に名前を変えています。ユニファイド・コミュニケーションは、マイクロソフトやCISCOの営業努力もあって、世の中にかなり浸透してきたと思います。エンタープライズ・マッシュアップ、WOAはクラウド・コンピューティングの中に取り込まれていった感じがします。「特化型」システムとサーバ(ブレードを超えたもの)は、大容量データ処理(インメモリ・コンピューティング)やセンサーネットワークという方面に発展しているのかなと思えます。ソーシャルなんたらは、まさにこのまま発展していると言えるでしょう。
過去の技術トレンドを遡って、皆さんは何か発見はありましたか?