« 2012年1月3日

2012年1月25日の投稿

2012年2月6日 »

アジャイルのプラクティスを、もう一度解説して行きたいと思います。できるだけ、日本の文脈にあった内容を加えて、実践できるように。また、野中先生に後でコメントを頂く予定。

  • ペア・プログラミング

Pairprogrammingpng文字通り、2人一組になってペアでプログラミングを行う。XPでの1つのプラクティスに挙げられており、1台のPCを交互に使って行うのが基本形。昨今ではデュアルディスプレーを使ったり、ネットワークと画面共有を使ったりして遠隔地で実践しているチームもある。

コーディングは単純作業ではない。1つ1つの変数や操作の名前を決めることや、その構造、アルゴリズムにいたるまで、多くの設計判断が入り込む、クリエイティブな活動である。また、ミスが起こりやすい作業でもある。刑事やパイロット、スキューバダイビングなど、リスクが高い作業はペアで行うことは現実の世界にはたくさんある。二人でプログラミングを行うことで、リアルタイムにレビューをしていく効果、また、コードの中に注入されていく知識を共有していく効果がある。

別の視点からは、会話をしながら考えを共有することで、チームの一体感も高まるし、よいアイディアが出やすい。実際にキーボードを打っている方を「ドライバ」、横で一歩引いた視点から助言や質問を投げる方を「ナビゲータ」という。ペアの交代は15分くらいの短い間隔で行われ、開発のメリハリ、リズムも生まれる。特に、「テスト駆動開発」(後でリンク)と組み合わせることで、より会話を誘発してプログラミング活動を対話として捉えることもできる。

また、一人で書かれたコードは、独りよがりでその人しか読めないような職人コードになる傾向があり、これを回避する効果もある。すなわち、リアルタイムにレビューしながらコーディングしている、という感覚だ。レビューを後回しにするのでなく、その場で行うことで、設計のエラーをフロントロードできる。

最初の写真はAstahの中国チームの立ち上げ初期に、できるだけ日本のプログラマと中国のプログラマをペアにすることによって、知識を伝達しているところ。

よくある質問:

  • 工数が2倍になりませんか?

Timespent 管理者からは、効率を心配する声があがることが多いプラクティスでもあるが、ペアプログラミングによる工数の増加は2倍ではなく、1.15倍であり、その代わりバグの混入率が15%低下するテストパス率が15%向上するという報告がある。後になってバグを取り除く工数を考えると、効果は高いと言える。また、この質問は、開発行程、テスト行程、などを分けて工数管理している組織から多い。請負契約などを含めて行程が分断されて、部分最適が起こり始めると、全体の品質向上という視点から離れてしまいがち。

  • 二人でプログラミングって、集中できますか?

Pairprogramming2実際にやってみるとわかるのだが、ペアプロは非常に疲れる。脳を酷使しながらコミュニケーションを取るからだろう。ペアプロの机には、チョコレートなどのお菓子を置くことが推奨されている。(写真2では周囲にお菓子を配置)

参考情報:
すべてのプログラミングをペアで行うべきかどうかには、意見が分かれる。Jim Coplienはプログラミング作業だけでなくリスクが大きい作業や逆にクリエイティブな作業はペアで行ったほうが効果的としており、より広くPairwise Work"Developing In Pairs"という言葉を使っている(組織プロセスパターン)。また、ペアプログラミングの研究はLaurie Williamsが大きく貢献しており、書籍『ペアプログラミング』にさまざまな組み合わせ(初心者と上級者のマトリクス)が上げられている。

野中先生への言及ポイント:
マイケル・ポランニーの身体知と場、についてペアプログラミングの解釈をお願い。

Pairprogramming3 Pairprogramming4

平鍋

« 2012年1月3日

2012年1月25日の投稿

2012年2月6日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

平鍋 健児

平鍋 健児

株式会社チェンジビジョン代表取締役社長、永和システムマネジメント副社長。
オブジェクト指向開発、UMLの勘所、アジャイルな開発手法の未来、マインドマップのソフトウェア開発での利用方法、プロジェクトファシリテーション(見える化)を語ります。現在、マインドマップとUMLの融合エディタ、astah*(アスター、旧JUDE)を開発中。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
hiranabe
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ