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最近富士通の方に「要のもの・こと」という言い方を聞き、そこから検索して中村善太郎さんの『シンプルな仕事の構想法』という本を読んでみた。
すごいなー、トヨタ生産方式に代表されるような「ムダどり」の発想を、抽象化して捉えている。これは、GTDやらアジャイルやら、リーン思考やらプロジェクトファシリテーションやら、ユースケースやらというものをインスタンスとして扱えるような思考の枠組みじゃないだろうか。
仕事とは、「行わねばならないこと」を「体や頭を使って行うこと」
であり、さらに、
「行わねばならないこと」とは、「もの」を「始めの状態」から「終わりの状態」に変える「こと」
である。そこには「要(かなめ)の変化」があり、あとはすべて贅肉だ。仕事を分析して「要のもの・こと」に焦点を合わせ、排除(Eliminate)、結合(Combine)、シンプル化(Simplify)を検討する。そもそも、仕事に要がなければ、その仕事はやらなくてよかったものかもしれない。強い「目的指向」なのだ。
拙訳:『リーンソフトウェア開発』の中に、米国海兵隊のミッション指示の例がでてくる。彼らのミッション(作戦行動)は、3項目からなる。
1.その作戦は何か
2.その作戦の目的
3.その作戦の終了状態
目的を必ず伝える。それは、目的を達成する別の何かがあれば、指示されたこと(1)をやらなくてもよい、ということ。また、終了状態さえ示しておけば、手段は問わないということ。これも、強い目的指向の例。
ソフトウェア開発で「ユースケース」というものを書くが、これも「目的」と「終了条件」が最も大切。「ログインする」というユースケースがダメな理由も、そこに目的がなく、このユースケースが存在するこの本質的良し悪し-要(かなめ)かどうか-が判別できないからだ。
仕事は手段先行で行ってはだめだ。目的を捉え、それをシンプルに実行することを考えよう。
と、再度認識を強めました。
アメリカのFog Creek Software という会社の創始者でもあり、マイクロソフトで開発経験をもつex-ギーク、現在マネジメントが書いていたブログ。
XPをはじめとするアジャイル開発も、(文化としては)サブカルチャーからメインストリームとなって しまったし、オープソースもそうだ。その中で、Joel には強い左翼性、サブカル性、ストリートファイティング性を感じる。XPやオープンソースをけなす時の口の悪さときたら、それはそれは爽快。また、マイクロソフトを擁護する発言がかなり多いとおもったら、.NET初期のマーケティングに関する罵倒もあからさまだ。
また、技術の詳細に強いのも彼のブログの特徴だ。「いかに 0-terminated の文字列という仕様 がダメか」とか、「自動開放されるヒープメモリ管理を持たない言語はなぜ生き残れないか」などと いう、例示とロジックを使った文章の説得力はすばらしい。
まあしかし一番は、文章が軽快で口が悪く、今のソフトウェア文化状況に詳しく、そして、強い信念と真理を使って他の人をけなしながら、
「ソフトウェア開発を楽しくやる」という一点において、「それをしないほど、人生は長くはない。」と公言しているリーダーである。
ということだろう。
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