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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2012年5月15日

2012年5月16日の投稿

2012年5月17日 »

第一回ではクラウド・エコシステムの概要、そして第二回では登場の背景について、解説をしました。

今回は、クラウド・エコシステムが注目されている理由について6つの視点で整理してみたいと思います。

クラウドコンピューティングによる急速な技術革新

クラウドコンピューティングの急速な技術革新により、規模の経済による大幅コスト削減と、高性能でかつ柔軟性の高いサービスの利用が可能となり、複数の事業者が効率的かつスピーディーに連携可能な環境が生まれています。

顧客ニーズの多様化

グローバル規模での競争環境が加速化していく中で、顧客ニーズもグローバルに多様化しています。そのため、グローバル規模で事業者同士が互いに連携することで、Win-Winの関係を築き、顧客ニーズに対応していくことが重要となっています。 クラウド・エコシステムの形成は、クラウドサービス上に様々な事業者がサービスを提供することにより、より多様な顧客ニーズに対応していくことができるでしょう。

投資リスクの軽減

クラウドコンピューティングは、ユーザ側にとっては保有から利用へとシフトするため、保有リスクがなくなります。一方、クラウドサービスを提供する事業者側はサービスをユーザに提供するための投資リスクを伴います。そのため、様々なパートナーと組むことで付加価値を高めるととともに、レベニューシェアなど投資リスクを分散させることも重要となります。

クラウドのオープンスタンダード化の潮流

クラウドサービスの多くはAPIを公開し、事業者がAPIと連携させることで様々な独自サービスを提供することが可能となり、クラウド・エコシステムの拡大につながります。

そして、オープンソースのクラウド基盤ソフトウェア等の利用など、クラウド環境のオープンスタンダード化、つまり、オープンクラウドの潮流が加速しています。

IaaSレイヤではOpenStackやCloudStack、PaaSレイヤではCloud FoundryやOpenShiftなどのオープンソースのクラウド基盤ソフトウエアを採用する事業者が増加傾向にあり、オープンクラウド化が進み、ユーザ側の利便性も高まるでしょう。

デジタルコンバージェンスの進展

クラウドの進展により、スマートフォンやタブレットなど様々なデバイスからサービスにアクセスできるようになり、音楽や映像コンテンツ、コンピュータ、家電、ソフトウェアなどの垣根がなくなり、再び新しい産業へとコンバージェンス(収斂)する流れが生まれています。

電話、放送、通信、出版といった出口の形状で分類されていた産業が、創造的破壊により、新しいメディアに収斂されようとしています。このデジタルコンバージェンスは、クラウドプラットフォームに大きく依存することになり、マルチソース、マルチユース、マルチデバイスの動きをさらに加速させることになるでしょう。 

ソーシャルメディアとユーザコミュニティの普及

クラウド・エコシステムの形成には、ビジネスモデルだけでなく、人とのつながりが重要になります。ソーシャルメディアを通じてクラウドを通じて相互につながる環境、いわゆるソーシャルクラウドの流れが、クラウド・エコシステムの流れを加速させているといえるでしょう。

また、クラウドサービスを提供する事業者では外資系の事業者を中心に、エバンジェリストの存在があります。エバンジェリストは自社のクラウドサービスの伝道師であり、ユーザコミュニティにもプレゼンスを発揮しています。エバンジェリストの存在感と、ユーザコミュニティの活発度が、クラウドサービスの利用者増に大きく貢献しているといえるでしょう。

 

※担当キュレーター「わんとぴ

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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