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2012年5月7日の投稿

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2012年5月3日の日テレNews24のニュース「スマートテレビ国際規格策定「日本主導で」 」の記事によると、

 イギリスを訪問中の川端総務相は日本時間2日夜、同行記者団に対し、今後、国際的に普及の拡大が予想される「スマートテレビ」の国際規格を、日本側が主導して策定していきたいとの考えを示した。スマートテレビは、(中略)国際的な規格がまだ決まっていない。
 このため、総務省は来月、東京都で開催される国際シンポジウムで、スマートテレビ普及のための基本戦略を公表し、この分野での国際的な主導権を握る一方、日本が策定を急いでいる規格を国際標準にするよう、各国への働きかけを今後、強めていくことにしている。

と記載されています。

総務省の2012年5月4日の「川端総務大臣の英国政府及び欧州委員会との閣僚級会談の結果」では、英国とのICT分野の政策協力に関する共同声明などが公表されています。

総務省は2012年5月1日、「第64回デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」を開催し、デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会の「答申骨子(案)(PDF) 」を公表しました。

日テレNews24の記事にも書かれているように、今回の答申で焦点が当てられているのは「スマートテレビ」です。

本答申(案)では、現在のテレビを取り巻く環境は、テレビ放送の視聴のみならず、インターネットを経由した映像コンテンツの視聴や各種アプリケーションの利用が可能な「スマートテレビ」が登場し、放送完全デジタル化後の次世代テレビとして、今後急速な普及が想定されるとしています。

動画、写真、音楽等をネットワーク上のサーバーに蓄積し、マルチデバイスでいつでもどこでも利用できる、クラウド型のコンテンツ配信サービスが各社から登場。定額料金で見放題、聴き放題のサービスも提供されているとしています。

つまり、テレビにこだわらず、スマートフォンやタブレット、そしてパソコンなど、様々なデバイスから、クラウドを経由して様々なコンテンツを楽しめる時代になり、テレビ業界も大きな変革がもたらされようとしています。

スマートテレビに関して、本答申で触れられている取り組みについて紹介をしましょう。

HTML52をベースとしたオープンプラットフォームによって、デバイスやOS3に縛られない、コンテンツのワンソース・マルチユース、端末間の連携サービスが実現。

W3C4においては、2014年の勧告化を目標に、HTML5ブラウザの標準化について検討中。国内においてもIPTVフォーラム5において、W3Cへの提案を視野に入れてHTML5の仕様の策定に着手。

官民の関係者が連携して、実証実験等を通じてスマートテレビに関する技術の開発・実装を急ぐことが必要。

本取り組みで触れられているW3Cの取り組みが注目されます。日テレNews24で触れられている「総務省は来月、東京都で開催される国際シンポジウムで、スマートテレビ普及のための基本戦略」ですが、おそらく、6月14、15日に幕張メッセで開催される「W3C Workshop on Web-based Signage」を指していると推測されます。

本答申で記載されている提言(たたき台)では、スマートテレビについて、以下のように触れています。

特定のOSやデバイス等を利用したユーザーの囲い込みを防ぎ、多様なアプリケーションやコンテンツの提供を促すため、スマートテレビ等のネットワークを利用したコンテンツ配信サービスに関するオープンな技術規格の策定・標準化等に取り組むことが必要ではないか。

これらについて、民主導で取り組むべき課題ではあるが、官が補完・側面支援することが必要ではないか。

急速な普及が見込まれるスマートテレビの推進に向け、我が国としての基
本戦略を早急に策定し、
① スマートテレビの国際標準化に向けた基本機能の提案
② スマートテレビのアプリケーションの開発に資する実証試験の実施
③ オリンピック等のイベントの機会を活用したデモンストレーションの実施、普及啓発、国際展開の促進に取り組むことが必要ではないか。

その際、ユーザーのプライバシー、セキュリティを確保しつつ、オープンな技術を用いて参入障壁を下げ、多くのコンテンツ、アプリケーションの関連事業者の参入を促すことが重要ではないか。

スマートテレビに関して、中長期的に取り組むべき課題では、

インターネットによる様々な形態のコンテンツ配信が飛躍的に増大し、スマートテレビ等において放送サービスとも連携することになれば、現在の放送サービスはその姿を大きく変えていくことになるのではないか。

と書かれています。

本答申案(案)からは、スマートテレビに関する国際標準化に向けた基本機能の提案や、関連する実証実験の実施、オリンピックにおいての標準化や国際展開の促進などが、ポイントであると思われます。

スマートテレビは、韓国のサムスンなどに代表されるように、世界的に大きな潮流となっており、国内のテレビメーカなどは、円高の影響などもあり、苦戦を強いられている状況ではないかと思います。

本標準化に関する提言が、スマートテレビの流れの中で、どのような位置づけとなり、日本の存在感を市場に示すことができるのか、注目されるところです。

 

※担当キュレーター「わんとぴ

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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