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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2012年3月21日

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2012年3月23日 »

日本経済新聞(2012.3.21)の記事「経産省、政府データ活用し新産業 位置情報提供など」には、政府が保有するデータや統計を活用した新サービス産業の育成や開発の支援の実施について書かれています。

経済産業省は政府が保有するデータや統計を生かした新サービス産業の育成・開発に乗り出す。高齢者や観光客を公共施設などの目的地に誘導するシステムや、環境評価や気候条件を組み合わせた住宅情報サービスなどを想定。民間事業者からアイデアを募る場を設け、非開示の政府情報の開放や、ネットでデータを公表する際の基準作りなどに取り組む。

国や地方団体においては膨大なデータを保有していますが、公開する基準は統一されておらず、個々のデータの取得には、ネットではなく個別に申請し、場合により取得に関するお金を払う必要もあるなど、あまり効率的にはデータが活用されていないのが現状です。これらのデータをいかに活用し、新産業を生み出すことが大きなテーマとなっています。

IT戦略本部や国家戦略で検討が始まる国家のデータ活用

IT戦略本部は2012年3月9日、第56回「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」を開催しました。

今回の会合で、「政府情報システム刷新有識者会議」と「IT防災ライフライン推進協議会」の設置が公表されています。

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「政府情報システム刷新有識者会議」では、レガシーシステム刷新、政府情報システムの統合・集約化、政府CIO制度などを議論していきます。

また、「IT防災ライフライン推進協議会」では、官民連携の下、情報通信技術を活用した防災ライフラインの検討及び普及を進め、官民の取り組みについての情報共有と連携の強化を図るとしています。

本会合にて、総務省および経産省から、資料が提出されています。

今回は経済産業省の取り組みを中心に国家・公共データの活用について、整理をしてみたいと思います。
(※本資料は、第2回国家戦略会議において枝野経済産業大臣が公表した「新産業・新市場の創出に向けて」の資料と国家・公共データの活用の部分は同じ内容と思われます)

震災の教訓から生まれるイノベーションとデータの活用

震災後の電力需給ひっ迫する中、電力各社は、2次利用可能な需給デー
タを公開しました。その結果、民間事業者がそのデータを活用し、創意工夫により、可視化サービスが次々と登場し、電力のピークカットに大きく貢献しました。震災の教訓からイノベーションの鍵にはデータの活用が大きくクローズアップされています。

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出所:経済産業省資料 2012.3.9

公共データの活用と異分野の融合

気象や環境汚染等のセンサーデータや、民間事業者等の許認可・届出データ、公共施設のデータ、そして調査・統計データ等の公共データは、活用次第で大きな可能性を持っており、異分野と融合することで新たな価値を創造できると期待されています。

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出所:経済産業省資料 2012.3.9

政府の統計データの活用による新たな事業機会の創出(総務省)

一方、総務省は2011年12月16日、「クラウドテストベッドコンソーシアム」の設立を発表しました(コンソーシアムのホームページ)。本取り組みの一つに、政府統計データベースからなるサービス開発環境等を提供することにより、高付加価値を生み出す中小ベンチャー企業による新たな事業機会の拡大の支援が大きなテーマとなっています。

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出所:総務省資料 2011.12.16

2012年2月28日には、「第一回企画発表会」が開催され、「統計データのビジネス活用検討WG」「統計API・技術WG」「オープンガバメントWG」の三つのワーキンググループ(WG)が設置され、担当者から、各WGの活動内容が発表されました(関連記事)。

公共データの開放と異分野融合が生み出す新産業

公共データの開放と異分野融合が生み出す新産業のイメージとして以下の図が示されています。たとえば、バリアーフリー届出、公共施設、センサー等を掛け合わせた高齢者・障害者向けの移動・購買支援サービスや地域経済活性化を支援するサービス等があげられています。

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出所:経済産業省資料 2012.3.9

データの開放・融合促進に向けたアクション「国家データ戦略(仮称)」

経済産業省では、データの開放・融合促進に向けたアクションとして、IT戦略本部を中心に、全府省が連携し、行政データ利活用の基本原則となる「国家データ戦略(仮称) 」の策定の必要性について提起しています。すでに、EU等では、公共データ活用のための指針・戦略を整備しているとのことです。

公共データの開放推進にあたっては、以下の3つの取り組みをあげています。

1.データの規制・制度改革=民間利活用原則自由化
行政の保有するデータの民間利活用に関する基本ルールを整備
 例:機械処理可能なデータ形式、行政著作権処理ルール、個人情報・企業情報の利用ルール

2.府省横断のデータ標準化等推進のための政府CIO制度確立
政府CIOの下、データフォーマットやID・コードについて、標準化・共通化を推進

3.各府省で可能なデータから順次開放し利活用を促進
例:震災復興支援制度データを2次利用可能な形で開放

データ活用における異分野融合の担い手づくり

経済産業省では、これらの実現に向けて、今春春を目処に「IT融合フォーラム」(仮称)を組成し、以下のような成功モデルの創出、共通課題の抽出などを進めていく方針をたてています。

1.より開放を推進・工夫すべき優先度の高い公共データの整理
(例:バリアフリー情報、公共交通情報、災害情報、農業関連情報等)
2.民間のデータ活用連携を促進する標準化等
3.個人情報の取扱い等

日経新聞の記事では、

工事や交通規制の情報と店舗の開業・廃業の情報を組み合わせた高精度の位置情報や、大気や河川など周辺環境の汚染度を検索できる住宅情報サービスなどが浮上している。海外では、過去の作物収穫量と気象データをもとに農家に保険商品を提案するサービスもあるという。

などがサービス例としてあげられています。

また、ネットで検索したところ「国家データ戦略草案」のWikiサイトが立ち上がっており、IDとパスワードがないとログインできませんが、戦略策定にあたって、議論が進められていると推測されます。

国家データ戦略(仮称)の今後について

昨今では、ビッグデータというキーワードが注目されており、各社がビッグデータ関連のソリューションやサービス、コンサルティング、エコシステムの形成など、様々な取り組みが始まっています。政府や自治体のデータのみならず、様々なデータの二次利用により、様々なビジネスチャンスが生まれていくことが想定されます。

日経の記事には、「起業にまで至れば、ベンチャー向け財政支援の拡充などで後押しする考え」とも書かれており、国家データを活用したベンチャーの支援も行っていくようです。

国家データ戦略(仮称)がどういった指針を示していくのか、データ公開の基準など、関係省庁との連携はどのように進められていくのか、また、民間事業者にとってどのようなメリットが訴求され、政府の支援体制がどの程度整備されるのか、その結果具体的にどのような分野での産業が生み出され、収益が得られるビジネスモデルを描けるのか、今後の取り組みが注目されるところです。

 

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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