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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2012年3月1日

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総務省は2012年2月16日、「ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会 ICT街づくり推進部会(第4回会合)」を開催し、「ICTを活用した新たな街づくりの基本的考え方」を示しました。

街づくりにおいては、社会インフラの老朽化や公共サービスの格差、そして少子高齢化、そして、地域コミュニティの再生も大きな課題となっています。

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出所:総務省 ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会 ICT街づくり推進部会 2012.12.16

震災後には、津波による戸籍データの流出などにより、ICTへの重要性の期待は高まっています。社会インフラのための高度化のためのクラウドやセンサーネットワークなどを組み合わせたICTのパッケージ化された社会を実現させていくことが重要なテーマとなっています。

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出所:総務省 ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会 ICT街づくり推進部会 2012.12.16

街づくりのICT活用においては、以下の6つの例が示されています。街中に配備したセンサーネットワークによる情報の蓄積と付加価値サービスの提供、ビッグデータによる社会経済の問題の解決や新事業の創出、社会インフラとしてのクラウド、国民ID、ワイヤレス、光ブロードバンドです。

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出所:総務省 ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会 ICT街づくり推進部会 2012.12.16

ICTを活用した街づくりにおいては、次のような検討の視点をあげています。

●街の効率的な経営・管理と利用者便益の視点
 街の現状等を踏まえて街のあるべき姿を具現化する「経営・管理」の視点と、利用者である住民が意識することなく街づくりに参加できて、永続的に住みたくなる魅力ある街づくり実現のための「利用者」の視点が重要。

●街づくりにおけるICTインフラ整備とICT利活用の視点
 ICTインフラを整備することにより街づくりを進めていく「ICTインフラ整備」の視点と、ICTの利活用を促進することにより街の効率化・活性化を図る「ICT利活用」の視点が重要。また、両視点において、情報セキュリティの確保に配慮することが必要。一定のICTインフラを所有する街においては、こうしたインフラを最大限利活用することで、街の円滑な進化を図ることが重要。

●ICTの平常時利用と緊急時・災害時利用の視点(東日本大震災を踏まえた耐災害性の高い街づくり)
 緊急時や災害時でも、誰もが使用できるICTの仕組を構築することが必要不可欠であるとともに、こうした仕組は平常時においても住民に活用されるようにしておくことが必要。

●街づくりにおける「集中」と「分散」の視点
 それぞれの街が、街を取り巻く状況や課題に応じて必要な機能を具備する必要がある一方で(コンパクトシティの実現)、こうした街同士がネットワークでつながり、標準化やオープンな仕組み(プラットフォーム)の下で、データ等を共有・相互運用することにより、それぞれの機能を補完することが重要。

●ICTの技術的進展とその社会への適用・実装の視点
ICTの進展などの物理的側面だけでなく、社会実装を可能とするため、法令や慣習などの制度的側面の検討も必要で
あり、さらにその効果などを客観的エビデンスで評価・検証する仕組が必要。

●ICTインフラの多様な用途での利用
整備したICTインフラについては、1つの利用分野だけでなく、共助基盤、コミュニティビジネス基盤等にも活用することが重要。

●ICTを活用した街づくりにおける適切な推進体制/役割分担
ICTを活用した街づくりには協働体制が必要であるところ、運営主体の選定、官民の役割、行政の支援体制、持続可能なビジネスモデルの検討等が必要。

最後にICTを活用した新たな街づくりのイメージ図が示されています。

センサ等で収集した大量の情報が、地域間や利用分野間で流通・連携し、街の機能の効率化、街の魅力向上、新たなビジネスや産業の創出等に寄与。弾力的・永続的に進化する街を実現。

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これから、日本の地域社会は、地盤沈下が予想されます。ICTがどこまで、地域の再生や社会インフラのサポートに力を発揮できるのか、実証実験にとどまらず、持続可能なモデルが構築整備できるのか、正念場を迎えているのかもしれません。

 

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※担当キュレーター「わんとぴ

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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