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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2012年1月15日

2012年1月16日の投稿

2012年1月17日 »

 

2013年春に卒業する大学・大学院生向けの就職活動が2011年12月から始まりました。例年よりも2ヶ月遅く、学生の皆さんにとっては、短期間での効率的な活動が必要とされ、とても厳しい就職戦線なのかもしれません。

就職活動をするにあたって、自分自身がどこに就職するのか、業界研究をされていることと思います。自分はどのような業種職種に向いているのか、この先、どの業界が伸びていくのか、悩まれていることと思います。

学生の皆さんが、就職活動をされている中で、クラウドコンピューティング関連する業界を就職活動する業界の選択肢の一つとして加えていただくことをお薦めします。(クラウドコンピューティングの意味はこちらへ

その理由について、以下の5つにまとめてみました。

 

1.クラウドコンピューティングは成長分野である

調査会社IDC Japanは、2011年11月9日に発表した「国内クラウドサービス市場予測」によると、2010~2015年の市場年間平均成長率が41.2%、2015年の市場規模は2010年比5.6倍の2550億円になると予測しています。

image 

出所:IDC Japan 2011.11.9 国内クラウドサービス市場 セグメント別売上額予測

2013年に春に入社する学生の皆さんが、就職される2013年には約1,500億円、2015年には、1,000億円以上も増え、2,550億の市場規模に達します。少なくとも今後数年間の成長が見込まれている有望市場の一つといえるでしょう。

 

2.IT企業の多くがクラウドコンピューティングへの体制を強化している

クラウドコンピューティングの市場成長に伴い、各社体制強化を急ぎ、IT企業はクラウドサービスや関連ソリューションのラインナップの充実を図っています。多くのIT企業では「クラウドサービス部」や「クラウドビジネス推進部」といったように、ここ数年でクラウドコンピューティングに関する部署を新設し、社長直下の部署で事業の柱とする事業者も増加傾向にあります。

当然、成長分野であり新たらしい分野でもあるため人材が不足しており、クラウドコンピューティングの事業分野に中長期的なビジネス拡大も視野にいれ、若手社員を配置する傾向が見られます。そのため、クラウドコンピューティングに対して見識の高い学生は、貴重な戦力となるでしょう。

 

3.クラウドコンピューティングは様々な業界に波及している

クラウドコンピューティングは、IT業界や情報システムの導入だけでなく、様々な業界に波及しています。たとえば、トヨタ自動車とマイクロソフトのクラウドサービスが提携したように、「自動車×クラウド」、「住宅×クラウド」、「ソーシャルゲーム×クラウド」、「電子書籍×クラウド」、「テレビ×クラウド」、「自治体×クラウド」、「教育×クラウド」、「医療×クラウド」、「環境×クラウド」といったように、様々な業界においてクラウドの活用が広がっています。

ソーシャルゲームや電子書籍、教育クラウドなどいずれの分野も成長が予想されています。クラウドを中心に、様々な事業者が連携して、クラウドのエコシステムを形成する動きもあります。業界連携を経験できるのは、クラウドならではの面白さがあるのかもしれません。

 

4.ソーシャルメディアやスマートフォンと親和性が高い

就職活動をされている学生の皆さんの多くは、スマートフォンを持ち、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアを活用して、情報交換などをされていることと思います。中には、GmailやEvernote、Dropboxなどのコンシューマ向けのクラウドサービス活用して、自宅のパソコンなどからでも同じようにできる環境にしている人も多いでしょう。学生の皆さんは、スマートフォンを使い、ソーシャルメディアやクラウドサービスを当たり前のように使っており、クラウドはソーシャルメディアやスマートフォンと非常に親和性の高いといえます。スマートフォンとソーシャルメディアの利用は今後さらに、利用が拡大する傾向にあり、同時にクラウドコンピューティングはその利用拡大を支える基盤としての役割は大きくなります。そして、それらを使いこなせる学生は貴重です。

 

5.クラウドコンピューティングは業界同士の人のつながりが強い

クラウドコンピューティングのビジネスを進める上で、重要なのはサービス一つだけでは利用者にとってメリットは必ずしも大きくなく、むしろ、様々なサービスや業界が組み合わせることで、そのメリットは大きくなります。そのため、様々な人的なつながりが必要となります。ほぼ毎日のように、いろんなところでクラウド関連の勉強会やコミュニティなどが企画・開催されています。クラウド業界で成功している人や、ビジネスを充実させている人は、社内だけでなく、社外との接点も多い人たちです。人のつながりから、新たなビジネスが生まれることも多く、非常に刺激のある業界といえるのかもしれません。

 

以上が5つの理由となります。

では、クラウド業界とはどこの業界や企業をさしているのか、よくわからないと考える人も多いでしょう。「クラウド業界」という言葉はまだ一般的な使い方ではなく、一般的にはこの分野は「IT業界」といわれます。「クラウド業界」は、「IT業界」の中で、よりクラウドコンピューティングに力をいれている企業や事業部と考えてみるといいでしょう。

たとえば、

外資系企業では、マイクロソフトが「Windows Azure」 、Amazon Web Seriviceが、「Amazon EC2/S3」などのクラウドサービスを提供しています。インターネットサービスプロバイダ(ISP)事業者では、「ニフティクラウド」などがあげられます。通信事業者ではNTTコミュニケーションズが提供する「BizCITY」など、通信事業者の多くはネットワークのみならずクラウドの分野にも力をいれています。また、NECや富士通、そして、オラクルやIBMなど、SI(システムインテグレーション)にこれまで力をいれていた事業者もクラウドコンピューティングに力を入れ始めています。

ITベンダー22社のトップ年頭所感から読み解く、2012年の「クラウド」」のブログでもご紹介させていただきましたが、経営トップの多くは「クラウド」を事業の柱にしていることがわかります。

 

以上のように、クラウドコンピューティングは、今後の市場成長が予想され、IT企業などの経営トップが重視しており、様々な業界に広がる分野です。そして、なによりも若手にもチャンスがある分野です。決して理系である必要はありません。私は文系(ゼミ専攻:日本経済思想史)出身です。クラウドは技術だけでなく、ビジネスの視点や人とつながりが作れる人が力を発揮できるところでもあります。

ぜひ、就職活動をされている中で『クラウド業界』にも目を向けてみてはいかがでしょうか?

 

image 「クラウド・ビジネス」入門 電子書籍版刊行

※担当キュレーター「わんとぴ

OneTopi「クラウド」@cloud_1topi(クラウド)   OneTopi「情報通信政策」@ict_1topi(情報通信政策) OneTopi「電子書籍」@ebook_1topi(電子書籍)

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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