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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2012年1月9日

2012年1月10日の投稿

2012年1月11日 »

 

ITProの「ITベンダー22社、トップ年頭所感」では各社の経営トップからの決意を述べられています。ここでは、各社の経営トップからの「クラウド」に関するコメントをピックアップし、2012年の「クラウド」の方向感を整理してみたいと思います。

「クラウドのコアビジネス化に注力」富士通 山本正已 代表取締役社長

クラウドのコアビジネス化を進める。クラウドの利用により、エネルギーや医療・介護、農業、交通など、これまでICTの利用があまり進んでいなかった分野にビジネスの裾野を広げ、新たなサービスを生み出していく。

「大量データの活用で新たな価値を創造」NEC 遠藤信博 代表取締役執行役員社長

クラウドが新たな価値を生み出すには、大量のリアルタイムデータが必要になる。“データ爆発”時代の到来だ。当社は、データ収集のためのセンサー技術や、効率的に大量データを制御・運用するネットワーク技術、高度なデータ分析技術など、大量データの活用に必要なICTの総合力を有する。これらを活用しながら、顧客に新たな価値を提供する革新的なサービスなど、様々な提案を積極的に行っていく。

「『世界の変化』で生じるニーズに応える」日立製作所 中西宏明 代表執行役 執行役社長

堅牢なデータセンターを活用したクラウド事業やIT資産のバックアップなどにも注力する。クラウドは事業継続性の観点からもニーズが高まっている。 (中略)大量の有用なデータ(ビッグデータ)を利活用できるようにし、新たなサービスの提供や社会インフラの高度化を実現する。

「ビッグ・アジェンダで変革を支援」日本IBM 橋本孝之 代表取締役社長

消費者接点やサプライチェーンのスマート化を支援する事業を本格化させ、これらを支えるクラウドやアナリティクスで多くの導入実績を上げてきた。これらの分野にも引き続き注力していく。

「コンシューマー向け技術との融合が加速」日本マイクロソフト 樋口泰行 代表執行役社長

クラウドやモバイル、さらにソーシャルメディアの技術革新により、2012年はコンシューマー向け技術と企業向けITが融合する。

「変化に対応できる堅牢なITを提案」日本オラクル 遠藤隆雄 代表執行役社長CEO

データベース処理用の「Exadata Database Machine」やクラウド環境向けの「Exalogic Elastic Cloud」などに加え、超高速のデータ分析を実行する「Exalytics In-Memory Machine」を市場投入すべく準備を進めている。ソフトとハードを最適化したアーキテクチャーを備えることで、高い処理性能の実現に加えて、統合にかかっていた時間やコストを最小限に抑えることができる。

「クラウドへの期待と需要が高まる」日本ヒューレット・パッカード 小出伸一 代表取締役社長執行役員

ITについては、企業のグローバル化や災害対策の優先度が高くなるのと相まって、クラウドへの期待と需要が一層高まる。産官学連携によるスマートシティなどの取り組みも一層加速するはずだ。それに併せて、ビッグデータやセキュリティといったビジネス領域も急速に拡大していくとみている。

「スピードと柔軟さを自らの組織で実践 」SAPジャパン 安斎 富太郎 代表取締役社長

クラウドに関連するコメントなし

「ビジネステクノロジーで変革を支える」シスコシステムズ 平井 康文 代表執行役員社長

ビジネステクノロジーの中核となるのは、ビデオを活用したコラボレーション、業務での自己所有デバイスの活用(BYOD=Bring Your Own Device)、これらの実現に不可欠なデスクトップの仮想化とセキュリティ、クラウドの本格展開に向けた仮想データセンター構築となるだろう。

「XaaSの時代に向け三つの分野に注力」EMCジャパン 山野 修 代表取締役社長

今後、社会を支える多くのビジネスがITを活用してサービス化され、「XaaS(eXecution as a Service)」として提供される時代に入っていく。2012年はそれが急激に加速されていく年であると考えている。

「日本はクラウド輸出国になり得る」セールスフォース・ドットコム 宇陀 栄次 代表取締役社長

ゲーミフィケーションでも日本は良い位置にいる。加えて、日本のおもてなしの文化は世界最高水準だと思う。この両方から、クラウドの分野でも日本は輸出国になり得る。 (中略)クラウドは社会システムになり、社会全体の効率を高めるものになる。

「グローバル化とサービス主体へと転換」NTTデータ 山下 徹 代表取締役社長

M2Mクラウド環境を自社だけでなく他社にも提供し、社会的なビジネスインフラの確立を目指す。クラウド環境を使って収集したビックデータを活用した高付加価値サービスも提供していく。

「グローバルな視点でサービス創造に挑む」キヤノンマーケティングジャパン 川崎 正己 代表取締役社長

クラウドサービスでは、当社のITサービス共通基盤「SOLTAGE」を核に、キヤノンの強みであるイメージングやプリンティングなどのサービスに加え、他社との協業による競争力のあるサービスを提供していく。

「『所有から利用へ』の流れが加速」野村総合研究所 嶋本 正 代表取締役社長

2012年には、「IT資産の『所有』から、ITサービスの『利用』へ」というトレンドが本格化することは間違いない。クラウドを活用してシステム構築の迅速化やコスト効果を追求する動きは、一層強まるだろう。
加えて、社会や企業にあふれる大量データから、事業や経営にとって本質的な情報を抽出し活用するビッグデータ対応についても、成果がより問われるようになる。

「グループ全体のビジネス構造を見直す」ITホールディングス 岡本 晋 代表取締役社長

クラウドサービスをはじめとするサービス化メニューの拡充を図っていく。

「発展に向けクラウド事業に注力」伊藤忠テクノソリューションズ 奥田 陽一 代表取締役社長

最も注力する事業分野は、引き続きクラウドである。顧客にとって価値のあるクラウドサービスを提供し続けるには、事業企画力やインフラ構築力、サービス運用力、マルチベンダー対応力、アプリケーション開発力が重要である。当社は、これらを兼ね備えていると自負している。2012年度中にクラウド事業の強化に向けて、クラウドサービスやソリューションの重要拠点となるデータセンター新棟を開設する予定だ。

「真の事業融合を図り収益拡大目指す」SCSK 中井戸 信英 代表取締役社長

クラウドビジネスの拡充では、重要なサービス提供基盤であるデータセンターが合併により、業界トップクラスの規模を誇る体制となった。今後は関西地区の大規模データセンターを核に、BCP需要への対応をはじめ、当社独自のアプリケーションをクラウドサービスとして積極的に展開していく。

「サービスインテグレータとして三つの技術に注力」日本ユニシス 黒川 茂 代表取締役社長

従来からの大型開発案件に加え、サービスインテグレータとしてサービスビジネスのさらなる拡大を目指し、クラウド・インフラ技術を駆使して新規顧客の獲得を進める。 (中略)ハイブリッドクラウド環境に対し、評価や移行、インテグレーション、マネジメントを支える技術を強化する。

「顧客の本業に貢献するシステムを提案」東芝ソリューション 河井 信三 取締役社長

クラウドやスマートフォンが普及し利便性が向上すると同時に、ネットワーク上でタイムリーに膨大なデータを処理することが求められている。社会インフラ分野では、スマートコミュニティの進展がますます加速していくと予想される。

「ビッグデータへの取り組みを強化」新日鉄ソリューションズ 北川 三雄 代表取締役社長

順調に拡大してきたクラウド事業については、2012年も総合的に取り組んでいく。ITインフラサービス「absonne」の次世代版やDaaS(デスクトップ・アズ・ア・サービス)など、サービスメニューの拡充と運用サービスの強化を進める。

「キーワードは決断と気概」アクセンチュア 程 近智 代表取締役社長

クラウドに関連するコメントなし

「日本企業の国際競争力強化を支える」プライスウォーターハウスクーパース 内田 士郎 代表取締役社長

モバイルやクラウド、ビジネスインテリジェンス、ソーシャルメディアなどが新しい富の創出やビジネス変革を支える基盤として、先進国だけでなく新興国においても利用の拡大が見込まれている。

 

22名の経営トップのうち、19名の方が、自社の戦略などにおいて「クラウド」について述べられています。共通点は、スマートシティや公共分野への社会インフラや社会サービスへの活用。ビッグデータの基盤としての活用。ハイブリッドクラウドへの対応。モバイルやソーシャルとの連携などです。毎年、「クラウド」に対する経営トップのコメントは増えている傾向にあり、2012年は昨年以上に「クラウド」に触れる機会が増えていくのかもしれません。

 

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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