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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2011年10月10日

2011年10月11日の投稿

2011年10月12日 »

2011年10月4日に開催されたCitrix社主宰の「iForum2011」のセミオフィシャルセッションのGeek Speak「OpenStack、CloudStack、そしてオープンソースクラウド運用基盤の今後」のパネルディスカッションに聴講者として参加してきました。

IaaS事業者における導入が進むCloudStack、そして9月22日にDiabloをリリースしたOpenStackのオープンソースをベースとした2つのクラウド運用基盤の今後について、元Cloud.com CEOで現在、米シトリックス クラウドプラットフォームグループ CTOのShengLiang氏を交え、クラウドネットワーキングも含め活発な議論が行われました。

なお、パネリストは下記のとおりです。

パネリスト:
クラウド利用促進機構(CUPA) 荒井康宏氏
NTTデータ 技術開発本部 岡本隆史氏
Nicira Networks 進藤資訓氏
雲屋代表取締役/ライトスケール・ジャパン 新藤洋介氏
さくらインターネット研究所/仮想化インフラストラクチャ・オペレーターズグループ 松本直人氏
米Citrix Cloud CTO(元cloud.com)Sheng Liang氏

モデレータ:
アイティメディア @IT担当編集長 三木泉氏

なお、事前に議論で用意されたトピックは以下のとおりです。

・OpenStackはDiabloリリースでどこまで到達したか、今後のロードマップは?
・CloudStackとOpenStackの関係は今後どうなっていくか
・OpenStackベースの商用クラウド運用基盤が今後増えてくる。このことがもたらす影響は?
・ハイパーバイザはもはや単なるコモディティ的な技術要素なのか?
・パブリッククラウドサービス(IaaS)は今後どう進化していくか、皆がAWSを目指すのか?
・クラウドネットワーキングについてはどのような展開が考えられるか(OpenStackプロジェクトでの活動も含めて)
・日米それぞれのクラウド事情、日本のクラウド市場は特殊か?

今回議論になったポイントを整理してみます。

今回、議論の焦点の一つとなったのは、OpenStackとCloudStackとの関係です。

米Citrix Cloud CTO(元cloud.com)Sheng Liang氏は、OpenStackをCloudStackを支える技術の一つに取り込んでいく形での提供を考えていると述べ、OpenStackの次期バージョンのNOVAで、例えばNaaS(Network as a Service)やロードバランサーを考えているが、それよりも前に取り入れる可能性のが高いとしています。また、OpenStackの開発は、コミュニティに支えられており、コミュニティの取り組みの活性化など今後への期待も述べています。

パネリストの荒井氏も「OpenStackの良い部分は今後ClouStackに取り込まれていく思う。」と述べ、IaaSにおけるCloudStackの存在感が高まっていくことも指摘しています。

一方、Sheng Liang氏は「CloudStackはインフラなので大きな差別化要因にはならない。」と述べ、数年後はOpenStackかCloudStackか意識をしなくなり、相互のコードが長期にわたって使えるようになる点やオーケストレーションの機能がポイントになる点も述べています。

RightScale日本法人の新藤氏は「RightScaleなどのクラウド管理レイヤーで差別化していく動きになるのではないか。」と述べ、IaaS基盤ではなく、クラウドのマネジメントレイヤーでの差別化が重要になる点を指摘しています。

さくらインターネットの松本氏が「IaaSは今後さらに厳しい価格競争になる。」と述べているように、IaaSレイヤーのみの競争では差別化することが難しくなり、PaaSレイヤーでの差別化や自動化の動きをポイントにあげています。

IaaSのレイヤーではAmazon Web Service(AWS)の市場への影響力が強く、IaaS事業者がどのように共存と競争の中で、差別化を図り、市場での存在感を見せていくか、重要となっていくでしょう。

 

次に議論になったのが、OpenFlowに代表されるクラウドを支えるネットワークの仮想化です。

進藤氏は、ネットワーク仮想化のメリットは、「論理的な構成ができ、例えば、データセンター間で自由にマイグレーションができる。ネットワークの仮想化は独立したアドレス空間を持ち、個別にサービスポリシーがもてる。」と延べています。議論の中では、クラウド・ブリッジングという使い方や、IaaS基盤でのNaaS(Network as a Serivice)やロードバランサー  as a Serivceなども議論もあり、柔軟なネットワーク設計ができるメリットなどがあげられています。

OpenStackのプロジェクトでは、ネットワークの取り組みが欠けている点も指摘されており、OpenStackなどのIaaS基盤とOpenFlowなどのネットワークの仮想化との連携がポイントになる点が議論されました。

その他の議論では、グローバルスタンダードへの対応や、AWSの独自APIへの共存などのAPIの考え方、クラウド間の連携、自動化などの議論がなされました。

 

まとめとしては、数年後OpenStackやClouStackなどのIaaS基盤レイヤーは何を使っているのかを意識しなくなり、今後は、クラウド管理レイやPaaSレイやででの対応が主戦場になる点。そして、OpenFlowに代表されるようにネットワークの仮想化も考慮してサービスを提供する点。そして、グローバルスタンダードへの対応やユーザの利便性を高めたサービスが市場で生き残っていくという点に集約されると思います。

PaaSレイヤーにおいても10月13日に開催予定の「オープンクラウドキャンパス」においても勉強会を企画していますが、ヴイエムウェア社のCloudFoundryやレッドハット社のOpenShiftなどのオープンソースをベースとしたPaaSの動向も注目されます。

今後のクラウド市場の大きな流れとして、ネットワークレイヤー、IaaS、PaaSレイヤーすべてにおいて、オープンソースベースのクラウドが一つの主流になっていくと考えられます。その中で、グローバル市場に対応しつつ、ユーザのニーズにあった利便性の高いサービスが大きな一つの潮流になるのではないかと、本セッションに参加して、改めて感じたところです。

※担当キュレーター「わんとぴ

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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