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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

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総務省は2011年7月13日、「第3回ICTグローバル展開の在り方に関する懇談会」にて「ICTグローバル展開の在り方に関する懇談会」の報告書を公表しました。

本報告書のポイントについて少しまとめてみたいと思います。全体の構成は、以下のとおり、3つの構成に分かれています。

第1章 グローバル展開にあたっての基本理念
第2章 今後取り組むべき具体的方策
第3章 国の果たすべき役割

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グローバル展開にあたっての基本理念は、

1.グローバル市場の成長を取り込んだICT産業への転換
2.「課題先進国」としての国際貢献
3.グローバルな「協働関係」の構築

となっています。

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本報告書では、ジャパンイニシアティブによるプロジェクト案件形成を目指しており、上流工程からの関与、ユーザドリブンなシステム構築、そして相手国との価値の共有によって、課題解決型のソリューション創出や社会インフラ組み込み型案件など、案件形成のための具体策に取り組んでいくこととしています。

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具体的プロジェクトの案件形成として「ASEANスマートネットワーク(仮)」をあげており、コンセプトとしては、

・高速かつ多機能なICTインフラを用いて、人と人、モノとモノとをつなぐ
・我が国の課題解決型のICT利活用モデルの導入
・ASEANの計画(連結性マスタープラン、ICTマスタープラン等)への貢献

の3つをあげており、経済の活性化、社会的課題の解決、コネクティビティ強化へ寄与するとともに、我が国ICTの普及にも裨益するとしています。

そして、重点分野として、「センサーネットワーク」、「災害対応」、「電子行政」の3分野をあげています。

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「センサーネットワーク」では、社会インフラにセンサーネットワークを組み込んだモデル提案を提案していくとしています。「災害対応」では、今回の震災による知見をもとに、「パッケージ型システム」モデルの構築・展開等をはかっていくとしています。そして、電子行政では、プラットフォームレイヤー/インフラレイヤーとを連携させた提案をしていくとしています。

標準化戦略においては、「光アクセスシステム」「デジタルサイネージ」「スマートグリッド」の3つを重点分野としてあげており、特に「スマートグリッド」においては、震災と原発の影響により電力供給が逼迫しており、日本での対応モデルを海外に展開していくというのは十分に考えられるでしょう。特に、スマートメータ向けの効率的な無線通信等について標準化動向が注目されます。

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これからのグローバル展開においては、ファイナンスによる支援が重要な要素となり、これまでODAなどで海外案件を多くてがけてきた、JAICAやJBICとの連携が不可欠となってきます。中でも次世代社会インフラシステムとしてのグローバル展開による円借款のスキームの有効活用や、PPPインフラ事業やBOPビジネス連携促進に関する協力準備調査の支援スキームの活用が重要となってくるでしょう。

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総務省では、各企業の強みの決勝と産業や組織の枠を超えたオープンイノベーションを実現するためのグローバル展開体制の組成を目指しており、情報収集や情報共有、ファイナンス支援スキームの共有や調整などの対応のため、遅くとも2012年夏目処に「ICTグローバルコンソーシアム」を組成するとしています。

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組成に向けた行動計画としては、民間主導により、「センサーネットワーク」、「災害対応ICTシステム」、「電子行政」等の試行プロジェクトの案件形成や震災への取り組みや情報発信をあげています。

日本では、原発の問題などもあり社会インフラシステムの輸出に苦戦を強いられているところも現状としてあり、ICT分野でのグローバル展開が益々重要になってきていると言えるでしょう。グローバル展開における重点分野が、「センサーネットワーク」「災害対応」「電子行政」の3つの分野となっていますが、対象国のユーザドリブンを最優先し、相手国と日本がWIN-WINの関係になり、かつ事業として継続し、成長できるモデルの構築と展開が期待されるところです。

 

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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