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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2011年6月23日

2011年6月24日の投稿

2011年6月25日 »

日経新聞(2011.6.23)の記事の一面に、「データセンター関西増強」という記事が掲載されていました。背景としては、東日本大震災により、サービスを常時継続や顧客データのバックアップ、そして電力の利用制限などから、関西へのデータセンター需要が高まっており、事業者側もデータセンターの増強などの対応を急いています。関西にあるデータセンターの能力は全国の2割弱から3割近くまで高まる見通しとなっています。

企業にとってはBCPの観点から正しい選択なのかもしれません。しかしながら、関西電力では原発への依存度も高く、定期検査中の原子力発電所の運転再開のめどが立っておらず、さらには関西電力は企業や個人に対して15%の自主的な節電も求めており、今後のデータセンター運用にあたっての安定した電力供給が懸念されます。

また、データセンターの関西集中は、関西エリアで災害が発生した場合のリスクも想定されます。

データセンターでは、サーバーなどの機器の冷却に大量の電力を消費するため、外気で機器を効率的に冷却できる寒冷な高緯度地域がデータセンターの好適地とされています。

総務省が2010年5月28日に公表した「「クラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化策に関する検討会」報告書」によると、

特に近年、データセンターの冷却に係る消費電力を削減するため、寒冷な高緯度地域がデータセンターの新たな好適地と目されている中、我が国には、データセンターの設置やデータセンターを用いた役務提供を円滑に行える充実したインフラや安定した社会情勢と、寒冷な気候とを併せ持つ、アジア地域では数少ない地域を有するにも関わらず、グローバルに事業展開する海外のデータセンター事業者による大規模なデータセンターが国内に設置された例が未だ存在しない。

と書かれています。報告書を読む限り、寒冷な高緯度にグローバル市場に対応できる大規模なデータセンターの立地推進をすべきではないかということが読み取れます。

グーグルやマイクロソフトなどの大手クラウド事業者では、世界各地の寒冷地に大規模な郊外型のデータセンターを建設しています。

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グリーンマップによる欧州・北米・日本比較をみると、一年中外気冷房で運用可能なエリアにデータセンターが位置していることがわかります。日本の場合は、北海道や東北地方が好適地として読み取ることができます。

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海外で、進んでいるのは、グリーンデータセンターです。今回の震災を背景にPUEを抑えた、環境配慮型のデータセンターの対応が急務となってきます。以下、グーグルとマイクロソフトの環境技術を活用したデータセンターの取り組みです。

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北海道や東北地方は、寒冷な高緯度地域にあり、大規模なデータセンター建設のための土地も確保しやすく、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーも活用した大規模データセンターの立地が期待されます。北海道の場合は電力供給が現時点で安定しており、今後北海道へのニーズは高まっていくと考えられます。

そして、日本のデータセンターは首都圏ユーザのバックアップなどの、国内のユーザーを対象とするだけでなく、アジアのハブなるデータセンターをもっと真剣に検討を進めていかなければならないのではないかと感じています。

東北にそんなデータセンターを立地推進していくべきではないかと、個人的には感じています。今後、復興特区創設により、税制優遇や規制緩和など、産業誘致や創出のための様々な施策が予想されますが、東北を日本、そしてアジアの情報のハブとしての、データセンターとその上にのる情報やコンテンツが集積する拠点となっていくことが期待されます。

 

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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