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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2011年3月8日

2011年3月9日の投稿

2011年3月10日 »

文部科学省は3月7日、「【ICT懇談会】学校教育の情報化に関する懇談会(第11回)」を開催し、「教育の情報化ビジョン(案)について」を公表しています。2010年8月26日に「教育の情報化ビジョン(骨子)」を公表されていますが、より詳細な内容が記載されています。

これまでの背景も踏まえ本ビジョンのポイントについて自分なりにまとめてみたいと思います。

政府は、2010年5月11日に「新たな情報通信技術戦略」を公表しましたが、教育分野においては、2020年までに、情報通信技術を利用した学校教育・生涯学習の環境を整備し、すべての国民が情報通信技術を自由に活用できる社会を実現することを目指しています。

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本戦略における教育分野の工程表は以下のとおりです。

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大きなポイントとなるのは、デジタル教科書・教材の活用と指導方法及びそれらを活用するためのITやネットワーク環境整備などがあげられます。これからの活用を通じて、児童が、基礎的・基本的な知識の習得とともに、思考能力・判断力・表現力などを身につけていけるかが、重要となります。また、クラウドの技術の活用も視野にいれた校務支援システムの普及などもあげられています。校務システムの場合は、共通化できる部分も多く、今後クラウドの活用等は議論すべきテーマとなっていくでしょう。

本ビジョンでも紹介されている「21世紀にふさわしい学びの環境(例)」では、以下の図が紹介されています。

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一斉学習、個別学習、そして、協働学習など様々な学びの環境が紹介されています。ICTやクラウド環境を利用することによって、選択肢も増え、より多くの学習効果を生むことが期待されます。

また、文部科学省が2010年10月に公表した「教育の情報化に関する手引き【概要】」では、教育分野におけるICT活用にける指導体制や環境整備などの内容が記載されています。

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「教育の情報化ビジョン(案)」では、目次は以下のとおりとなっています。

第一章 21世紀にふさわしい学びと学校の創造
第二章 情報活用能力の育成
第三章 学びの場における情報通信技術の活用
1)デジタル教科書・教材
2)情報端末・デジタル機器・ネットワーク環境等
第四章 特別支援教育における情報通信技術の活用
第五章 校務の情報化の在り方
第六章 教育への支援の在り
第七章 教育の情報化の着実な支援に向けて

これらのビジョンに基づき、23年度は、「学びのイノベーション事業」で予算を計上し、学びの推進基盤などの確立のための「学びの場における情報通信技術の活用実証研究」を実施していくことを明らかにしています。

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また、本報告書では、韓国やフランスにおける先進事例の取組みが紹介されています。

韓国では、2011年には、小中高を対象に教科書の内容をデジタル化した「e-教科書」を配布する予定となっており、知識基盤社会で求められる人材を育てるための教育プラットフォームの構築を促進するとしています。また、教育学習のための全国的データベースを設立し、コンテンツを世界中に配信することで、「Knowledge Korea」の目標を強化することをあげています。

韓国では、教育分野におけるICT活用が非常に進んでおり、サムスンなどの韓国企業が世界市場をリードしているのは、ICT教育が充実している点も要因となっているのかもしれません。

まとめ

学校においてのICTやクラウド環境の活用においては、賛否両論の意見があります。私自身もPTAの活動に参加し、現場の先生とICT活用について議論をすることがありますが、まだまだいくつかのハードルを越えていく必要があるかと感じています。

今回、文科省より、教育の情報化ビジョンが示されたことで、今後具体的な計画を策定し、本格的な活用に向けた取組みが進んでいくことが期待されるところです。

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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