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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

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これまで地域活性化とソーシャルメディアについて「住民視点」、「自治体視点」、そして「商店街視点」で整理をしてきました。今回は、「政策視点」で地域活性化とソーシャルメディアについて整理をしてみたいと思います。

政策面では、ソーシャルメディアのみでなく、ICTの活用を中心に地域活性化に関する政策全体の動きについてもわかる範囲で整理をしてみたいと思います。

「新しい公共」推進会議

1月25日、総理大臣官邸で、第4回となる「新しい公共」推進会議が開催されています。本会議では、官だけでなく、市民、NPO、企業などが積極的に公共的な財・サービスの提供主体となり、身近な分野において、共助の精神で活動する「新しい公共」の推進を目指すために設置されています。2月10日には、「情報開示・発信基盤整備の在り方について(案)(PDF)が公表されています。

地域主権戦略会議(内閣府)

内閣府では、「地域主権戦略会議」を開催し、2011年1月25日には、地域主権戦略会議の下に「アクション・プラン」推進委員会を設置することを決定しています。

地域社会雇用創造事業交付金事業(内閣府)

内閣府では「地域社会雇用創造事業交付金事業」を進めており、例えば、採択されたプロジェクとして  「ソーシャルビジネスエコシステム創出プロジェクト」があげられますが、2月19日(土)に「地域仕掛け人市」が開催される予定です。

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地域活性化総合本部と地域活性化総合特区(内閣府)

内閣府では、地域の再生に向けた戦略を一元的に立案し、実行する体制をつくり、有機的総合的に政策を実施していくため、4本部の事務局を統合し、「地域活性化統合事務局」を設置しています。また、「地域活性化総合情報サイト」を開設しています。

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また、少し前になりますが「総合特区制度」に係る提案募集結果も公表されています。総合特区については、「総合特区制度について(2011.1) 」をご参照ください。特区の提案分類は、「地域活性化総合特区」と「国際戦略総合特区」に分かれていますが、新聞記事などを読むと「地域活性化総合特区」は、都道府県に1件程度採択されるとみられています。「地域活性化総合特区」では、データセンターの国内立地推進などの提案も10件程度みられます。本特区では平成23年度の予算案で、「総合特区推進調整費 」として、820億円の予算が計上されていたのですが、事業仕分けの対象となっていましたが、2010年12月24日に公表した「平成23年度予算(案)の概要(PDF)」によると当初に比べると大幅減ながらも152億円となって事業は実施される予定です。

地域力創造グループのツイッター活用(総務省)

総務省の地域力創造グループでは、「 @ChiikiryokuG」のアカウントを持ち、2課4室の職員が各々情報を投稿しています。

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最近では、地域力創造セミナーや、緑の分権改革推進会議や各地の取り組みなどの紹介などがされています。既に、投稿数は888、フォロワー数が3,000を超えており、総務省自らが地域活性化においてソーシャルメディアを積極的に活用しています。

47Newsの「総務省、ツイッターで政策発信 過疎地の活性化支援(2010.8.28)」では、

仕掛け人の椎川忍自治財政局長(当時)は「地域活性化は情報と人材が重要。多様な情報を早く流し、人と人がつながるきっかけをつくりたい」

と述べられています。地域活性化には、「情報」と「人」が重要というコメントはまさにそのとおりだと思います。

(財)地域活性化センターとJOIN(移住・交流推進機構)

外郭団体では、財団法人地域活性化センターは、まちづくり、地域産業おこし等、地域社会の活性化のための諸活動を支援し、地域振興の推進に寄与することを目的として設立されています。JOIN(移住・交流推進機構)では、地方への移住や交流希望者へのニーズに合った情報提供、地域活性化のサービスを提供して日本を元気にすることを目的に活動をしています。

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緑の分権改革推進会議(総務省)

総務省の地域創造グループ(地域情報政策室)では、「緑の分権改革推進会議」を開催し、議論を進めています。緑の分権改革とは、

行財政制度を地域主権型に改革していくことにあわせて、個々人の生活や地域の経済についても、「人材や食料、エネルギー、資源等ができる限り地域で有効に活用される構創富力 創富力 とと 自給力 自給力 のの 地域地域 、しし 変革変革 きそのものを きそのものを 動動のーギ ネ ギ の ルネ 、エ カネカネ 、ノノ 、モ ヒトヒト 、 とにより こ えていく えていく とにより 変変にに」 造造を高めるような社会システムの構築を目指すもの。

と、地域の自給力と創富力による成長を目指しています。

緑の分権改革の方針は原口全総務大臣の「原口ビジョンⅡ 」に詳細が紹介されています。

本推進会議では、「第一分科会(モデル構築分科会)」、「第二分科会(経済効果分析分科会)」、「第三分科会(ICT利活用分科会)」、そして、「第四分科会(クリーンエネルギー利活用分科会)」に別れています。

第三分科会(ICT利活用分科会) 」では、「元気な地域づくり事業(仮称)」の概要イメージを紹介し、地域のプラットフォーム機能の整備に向けて、「地域づくりプラットフォーム(仮称)」を構築し、地域取り組みを横つなぎ、地域の産品の情報発信などについて検討を行うということが掲載されています。

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地域づくりプラットフォーム(仮称)の詳細は定かではありませんが、ソーシャルメディアの活用も重要なポイントとなっていくでしょう。

総務省の地域活性化とICTの活用に関するその他の取り組みをご紹介しましょう。

地域雇用創造ICT絆プロジェクト(総務省)

総務省の情報流通行政局 情報通信利用促進課では、「地域雇用創造ICT絆プロジェクト」を2010.10.13に公募しています。本プロジェクトでは、

地域に根ざした雇用創造を推進するため、公共サービス分野(教育、福祉、介護等)及び地場産業分野(観光、地域特産品等)においてICTの利活用により、地域課題の解決の実現とともに地域雇用の創出、地域人材の有効活用を図る取組

とあるように、ICTを活用した地域の雇用創出が大きなテーマとなっています。

日経新聞(2010.2.9)の「南房総市、IT使い観光客集め 4月から」の記事では、千葉県の南房総市で、GPSを使いサイクリングコースを作製し、コースの様子を動画で確認できるようにするなど、本プロジェクトの一つの今後の取り組みが紹介されています。

ICT地域活性化懇談会(総務省)

総務省の情報通信国際戦略局情報通信政策課では、2011年1月26日に「ICT地域活性化懇談会」を立ち上げ、2月10日に第一回の会合が開催され、ICT地域活性化懇談会における検討アジェンダ(案)や今後の方向性について議論されています。本懇談会の構成員のRCF代表 藤沢烈 氏は、ICT地域活性化懇親会に向けた提言資料の作成などを目的に「地域活性化に向けたオープンガバメント/Gov2.0施策の策定」というタイトルでブログを発信され、ICTによる地域活性化やオープンガバメントの重要性についてメッセージを発信するとともに、人材(アソシエイト)を募集しています。

日本のオープンガバメントの取り組み

ここで、(詳細は「日本のオープンガバメントの動き(まとめ) #opengovjp (2010.12.10)」をご覧いただければと思いますが)オープンガバメントについて少しご紹介しましょう。内閣府行政刷新会議では9月24日、「国民の声アイディアボックス」を開設し、ツイッターでkokumin_koeのアカウントを取得しています。そして、「国民の声アイディアボックス」は、経済産業省が運営する「オープンガバメントラボ」のサービスを利用しています。

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オープンガバメントラボ」は、7月29日に正式オープンし、同時に、オープンガバメントに関する意見募集サイト「アイディアボックス」と「オープンガバメントWiki」も開設しています。また試験的に統計情報のデータベース「データボックス」も開設しています。また、文部科学省では4月17日、「文科省政策創造エンジン 熟議カケアイ」を開設しています。

また、政府などの公共機関のツイッターの活用については、「がばったー」を参照いただくと良いかと思います。

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地域商業活性化事業など(経済産業省)

経済産業省は2011年17日、「平成22年度地域商業活性化事業(補正予算事業)(集客力向上促進事業・商店街における新事業展開支援事業)の採択結果」を公表しましたが、兵庫県の岡本商店街振興組合
の「ソーシャルメディアを活用した情報発信事業」が採択されています。岡本商店街のホームページにアクセスをしてみると、岡本商店街振興組合加盟店が各々つぶやいています。

そのほか、経済産業省の最近の地域活性化に関しては主に産業育成の視点で「「地域企業立地促進等事業費補助金(地域中小企業海外販路開拓支援事業)」の交付先の採択結果(2011.2.10)」や「 「地域新成長産業創出促進事業費補助金(ソーシャルビジネスコンソーシアム新事業創出展開支援事業) 」の交付先の公募(2011.2.10)」、「戦略的中心市街地商業等活性化支援事業費補助金の公募(2011.2.1) 」などの取り組みがあげられます。

「地域イノベーション戦略推進地域」及び「地域イノベーション戦略支援プログラム」(文科省)

文部科学省では科学技術の新興と地域活性化の視点で様々な取り組みがなされています。文科省では「 「地域イノベーション戦略推進地域」及び「地域イノベーション戦略支援プログラム」(2011.1.31) 」の公募をしており、大学研究機関などで地域イノベーションの創出に向けた地域の主体的かつ優れた構想に対して、関係府省の施策を総動員して支援する施策となります。また、2011年2月28日には、「地域イノベーションシンポジウム in 京都~地域発グリーンイノベーションの創出に向けて~」が開催される予定です。

また、文科省のページにリンクされていたのですが、「ソーシャル・キャピタルと地域科学技術イノベーション(内閣府経済社会総合研究所) (2011.2)」では、地域科学技術イノベーションとソーシャル・キャピタルの関係の実証などが紹介されています。

以上、ソーシャルメディアだけでは整理できないのですが、地域活性化については、各省庁が課題設定をして、様々な施策が展開されています。折を見て、もう少し踏み込んで整理をしてみたいと考えています。

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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