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自治体(地方公共団体)がツイッターを活用するケースが増えてきています。昨年7月に「ツイッターを活用する自治体一覧(2010.7.5)」でご紹介させていただきましたが、当時は数十件という数でしたが、2011年1月に「ツイッターを活用する自治体一覧(途中作成です)(2011.1.11)と比較してみると、積極的に活用している自治体も増え、今後も増加が予想されます。また、「自治体のFacebookファンページの活用状況と今後の可能性について(2011.1.18)」でご紹介させていただきましたが、一部、Facebookのファンページを活用する自治体も出てきています。今後はFacebookを採用する自治体も増え、住民とのよりインタラクティブで高度な活用が期待されます。また、自治体がUstreamやYouTube等地域の動画コンテンツを配信するケースもよく見られるようになっています。

では、自治体でのツイッターなどのソーシャルメディアの活用が広がっているのでしょうか。

住民の声による行政サービスへの反映

多くの自治体においては、住民からの問い合わせ窓口を電話やFAX、そして公式サイトなどのWebサイトからアクセスできるようになってきています。しかしながら、住民がこれまでどのような問い合わせをしてきたのか、インタラクティブで見える化できる事例は多い状況とはいえません。そこで、ツイッターなどのソーシャルメディアを活用し、住民から意見に対して応える自治体が増えています。こういった取組みは、主に自治体の広報広聴課といった部署で実施していることが多く、住民からの声を聞き、行政サービスに反映させていくための公務として活用しているケースが見られるようになっています。

地域住民への広報機能として

自治体では、広報誌やWEBサイトやメルマガなど様々な手段を使い、行政情報、イベント、観光、医療情報などの情報を住民に届けています。これまでの媒体は一方的に時間をかけて提供するケースが多いため、双方向性が高くリアルタイム性の高いソーシャルメディアを広報機能の一つとして活用するケースも出てきています。ツイッターを活用した自治体情報の投稿にあたっては、RSSをそのまま配信するパターンや自治体の担当者が手作業で投稿するパターンと大きく二つに分類できます。ソーシャルメディアの場合は、同じ地域の知り合いが参加するのであれば、自分も参加しようといったように、クチコミ効果が高く、自治体が情報の提供が十分でない場合にクチコミで広げていくには有効な手段といえるでしょう。

地域ブランドの向上

各自治体の大きなテーマとして、地域のブランド向上があります。自治体によっては、「地域ブランド推進室」といったように、地域の知名度をいかにあげていくかというのが重要なテーマとなっています。自治体においては、地域力を向上させていくために、ソーシャルメディアを活用し、地域の名産品などから身近な情報まで積極的に投稿しているケースも見られます。

「ゆるキャラ」の活用

ここ数年「ゆるキャラ」が話題となっていますが、ゆるキャラのツイッターアカウントを取得し、親しみやすい内容をつぶやくことによって、ゆるキャラのファンを増やしているケースも増えてきています。ゆるキャラでフォロワー数を増やし、ツイッターでつぶやくキャラクターとして注目を集め、メディアからの取材やグッズの売り上げなど、成果に結びつく事例も出てきています。

首長や職員の活用

自治体では、首長が自らツイッターアカウントを取得し、住民との対話や自治体の取組み、そして対外的なPRなど、様々な情報を発信しているケースが見られます。住民から首長の生の情報を目にすることで、首長への信頼感が増し、行政情報の見える化にもつながるでしょう。また、事例は少ないのですが、職員が積極的にツイッターを活用する自治体も出てきており、各部局がそれぞれ住民の声を聞き、直接行政サービスの改善に結びつける事例も出てきています。

観光誘致

また、観光部局では、観光誘致目的に、季節ごとの観光情報を案内したり、地域の映像(観光)コンテンツを紹介するケースも出てきています。フォロワー数が増え、地域情報の話題もクチコミで増えれば、県外から興味をもって訪れる人も増えていくでしょう。将来的には、英語や中国語などで観光情報を案内すれば、海外からの観光客も興味をもって訪れるといった事例も出てくるかもしれません。

投資対効果

ソーシャルメディアの多くは、無料で利用できるケースが多く、聞くところにゆると自治体によっては自治体内で決裁などの事務処理をしなくても、気軽に開始をすることができるようです。そのため、まず、様子見で始め反響が大きく、そのまま続けている自治体も見られます。景気の低迷や労働者人口の減少などによって、財政が厳しい自治体も多く、ソーシャルメディアのような低コストでクチコミで宣伝できるツールは今後も重視されていくことが予想されます。

ソーシャルメディアのガイドラインを策定した自治体も

ソーシャルメディアの活用が増えるにつれて、首長や職員がどこまで情報を投稿していいのか、判断に迷うこともあります。そこで、自治体によっては、「ソーシャルメディアガイドライン」を策定し、積極的な投稿を推進しつつもルールやモラルを守るということを徹底させている自治体も見られます。

自治体活用におけるハードル

自治体でのソーシャルメディアの活用にあたっては、自治体関係者の方々とお話をすると、公務中につぶやくのが認められていないとおっしゃる方もいらっしゃいます。ごく一部の自治体ではソーシャルメディアの活用ガイドラインを設けていますが、今後は自治体全体での公務の扱いなど、ガイドラインもしくは手引書などを策定し、活用の後押しをするといったアプローチも考えられるでしょう。過去にブログなどで自治体の首長が炎上したりするケースもみられたため、事前に説明会や勉強会を実施し、ソーシャルメディア活用のリテラシー向上につとめていく必要があるでしょう。

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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