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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2011年1月11日

2011年1月12日の投稿

2011年1月13日 »

成人の日の10日、各地で成人式が開かれました。総務省の調査によると、新成人は前年に比べ3万人減の124万人で4年連続過去最小を更新しています。新成人が少ないのにも関わらず、就職戦線は氷河期で厳しい就職活動を強いられています。実際に就職できたとしても、第一希望の会社に就職できなかった方も多く、入社してから辞めたいと思う新入社員も増加傾向にあるというのが実態のようです。

特に、就職活動している皆さんが、業界の先行き不透明感が漂う中で、どのような業界を就職先として選択すればいいのか、非常に悩むところでしょう。

就職活動の皆さんが、志望業界を考えている中で、お薦めする業界の一つにIT業界があげられると考えています。大雑把に言うと、将来の成長性や創造性など可能性を大いに感じる業界であると感じているからです。

ざっとポイントをご紹介したいと思います。

クラウドコンピューティングの潮流

IT業界では、今、ITシステムを「保有」から「利用」するクラウドコンピューティングの動きが進んでいます。この流れはIT業界の構造転換を迫り、ある種の産みの苦しみが生じている段階だと考えています。そして、クラウドの流れが本格的に軌道に乗れば、業界自体は、サービス中心型のビジネスに大きくシフトし、新たなビジネス創出と機会が生まれ、市場はまだまだ成長の余地があると考えています。クラウドの流れは、エンタープライズ(企業)においてもコンシューマ(消費)の分野においても大きな市場を生み出していくことが期待されます。ウェブメールなどコンシューマクラウドをかなり利用している学生の皆さんにとっても、対応しやすい分野だと感じています。

スマートフォンやタブレットのインパクト

就職活動中の学生の皆さんの多くは、セミナーの申し込みなど就職活動用にiPhoneなどのスマートフォンを利用しているケースも多くなってきています。近い将来、スマートフォンの利用率が、ガラパゴス携帯の利用率を上回ると予想されています。また、タブレットも世界最大の見本市の「CES」でも多くのタブレッドが展示されており、パソコンに代わって、タブレッドが大きく注目される年になるでしょう。スマートフォンとタブレッドはここ数年で急速に普及すると言われており、NTTドコモが昨年、一部開始した高速のモバイルデータ通信サービスであるLTE(Long Term Evolution 名称:Xi)を提供しているように、モバイルブロードバンドも進んでいくことでしょう。モバイルデバイス向けのサービスも今後数多く登場してくるでしょう。学生時代から既にスマートフォンを使いこなしている学生の皆さんにとっては、新しい発想でサービスを創造できるのかもしれません。

公共分野でのIT(ICT)活用の推進

現在、電子政府・電子行政、医療・教育分野は、世界の先進国と比べても日本は非常にITの活用が遅れていると言われています。現在、政府でも新IT戦略を策定し、工程表を作成し、また規制緩和の対応も進め、公共分野での利活用を進めようとしています。IT業界にとっても、大きなビジネスチャンスであり、特に教育分野でのIT活用の推進は、学生の視点が重要となるでしょう。

スマートテレビ:放送と通信の融合に係るビジネスチャンス

週刊ダイヤモンドの今週号の特集「新聞・テレビ 勝者なき消耗戦」を読まれた方もいらっしゃるかと思いますが、新聞やテレビはネット化が進み、ビジネスモデルそのものの再構築が議論されています。一方、IT業界にとっては、USTREAMやGyao、そしてグーグルテレビに代表されるように、ネットテレビの潮流はIT業界にとってはビジネスチャンスと捉えることができるでしょう。これらのビジネス参入においても、デジタルネイティブといった若い世代の斬新な視点が重要になると考えています。

ソーシャルメディアとソーシャルゲームとソーシャルコマース

学生の皆さんも多くの方が利用していると思いますが、今年は特にツイッターやFacebook、mixiにソーシャルメディアが大きく注目される年になるでしょう。また、急成長を遂げ海外にも展開が進んでいるソーシャルゲームもあります。また、ソーシャルメディアと電子取引(EC)との融合、つまりソーシャルコマースの動きも大きな流れとなるでしょう。この分野も感度の高い学生の視点が重要になるのではないでしょうか。

電気自動車(EV)とITの融合

中長期的な視点になりますが、電気自動車が普及していくと考えられています。電気自動車の設計や従来の自動車とは構造が大きく異なり、安全面は考慮しなければなりませんがパソコンの組み立てに近い発想になります。現在、自動車業界においても、電気自動車の普及に向けた人材確保を急いでおり、貴重な戦力として期待されるのではないでしょうか。

スマートコミュニティとスマートグリッド関連の社会インフラビジネス

詳細は省略しますが、電力版インターネットのスマートグリッドの流れが普及初期段階にきています。スマートグリッド関連のビジネスとしては、家庭内に設置するスマートメーターや電気自動車(EV)などの大量のデータをクラウド基盤側で処理するといったように、街全体をインテリジェント化するスマートシティの議論が始まっています。また、スマートグリッドなどの日本の技術をアジアなどの海外に展開するといった社会インフラの海外展開ビジネスも本格的に立ち上がろうとしており、日本が世界の社会インフラ市場に乗り遅れないための人材確保が急がれています。

その他

現在、日本の産業の空洞化が懸念されていますが、どのような業界においても、自社のシステムを効率化・コスト削減や生産性向上につなげていくためには、ITの活用が必要不可欠です。ITを駆使することで、コラボレーションが進み、政府も新IT戦略などの報告書で記載しているように、ITで新たな産業を生み出すことが期待されています。

まとめ

以上のように、これからま成長の余地がある業界であり、様々な業界のビジネスをサポートできる業界であると考えています。今、求められているのは、日々変化する業界の流れに対応し、新たなビジネスや仕組みを提案できる若い力が必要とされているのではないかと感じています。学生の皆さんは、就職活動で非常に厳しい状況に直面していますが、IT業界も志望先の選択肢の一つにいれてみられてはいかがでしょうか。

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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