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ついに、「Windows Phone 7」の全貌が明らかになりました。

マイクロソフトは、10月11日午前(現地時間)に「Windows Phone 7」の記者発表会を開催しました。マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー氏の記者会見の模様については、以下のサイトから確認することができます。

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発表会では、Dell、HTC、Samsung、LGの4社9機種の「Windows Phone 7」搭載モデルが披露されています。北米や欧州、アジア太平洋地域にてホリデーシーズンに、30カ国以上で60以上のキャリアから発売される予定です。残念ながら、日本での発売は未定で、アジアでは、現時点でシンガポールとオーストラリアのみで販売が予定されています。

なお、「Windows Phone 7」の広告の動画クリップは以下のサイトで確認することができます。

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「Windows Phone 7」の主な特徴をあげてみましょう。「Windows Phone 7」はこれまでのWindows MobikeのUI(ユーザインターフェイス)とは全く異なり、全く新しい仕様で設計され操作性も大幅に向上しています。独自のユーザーインタフェース「Live Tiles」やグループ化機能「Hubs」を備え、お気に入りのアプリやWebサイトなどにアクセスすることができます。「Windows Phone 7」の機種はいずれもクアルコム製「Snapdragon」が搭載され、標準化をはかっています。

また、マイクロソフトのサービスとの連携が強化されており、「Office Mobile」「Windows Live」「Bing」「Xbox Live」などが利用できます。また、アプリケーション開発にはSilverlight、XNA、Visual Basicが利用できます。

では、実際に端末を見てみましょう(ITmediaサイトより

現在、Windows Mobileは世界のシェア争いにおいて苦戦を強いられています。米調査会社のガートナーが、8月13日に公表した4~6月期の世界スマートフォンOS別販売シェアによると、2009年2Qの販売シェア(9.3%)から、2010年2Q(5.0%)と大幅にシェアを落としています。この間、iPhone4の登場やAndroid搭載のスマートフォンの登場により、シェアの構造は大きく変化しています(関連記事)。

日経トレンディ11月号のスマートフォンの特集では「iPhone VS Android」の二つの構図となっており、「Windows Mobile」は蚊帳の外となるケースが最近目立っていました。マイクロソフトは、「Windows Phone 7」の市場投入によって一気に市場の巻き返しを図っていくことになるでしょう。近い将来、日本のニュースサイトや雑誌などで、「iPhone VS Android VS Windows Phone 7」という特集が組まれることになるのではないでしょうか。

「Windows Phone 7」がiPhoneやAndroid端末のシェアを脅かす可能性として、以下のような点があげられます。

GIZMODEの記事「マイクロソフト、Windows Phone 7向けアプリはiPhoneやiPadのリリース時より充実と発表!」では、

iPhoneの発売当時と比較しても、その数よりWindows Phone Marketplaceの公開はアプリケーションの充実で勝るだろう。そして、もっとも大切なのは対応アプリの種類や数ではなく、どれほど自分に最適なアプリを入手できる環境であるかという点を覚えておいてほしい。

というコメントが掲載されており、アプリの充実に自信を見せています。

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また、マイクロソフトは、「Windows Phone 7」搭載の端末の標準化と品質管理を強化しています。端末ではいずれもクアルコム製「Snapdragon」を搭載し、3つのハードウェア・ボタン(ホームボタン、バックボタン、検索<Bing>ボタン)を標準装備する必要するありが、出荷前に、マイクロソフトの規定の検査に合格する必要があります(関連記事)。一方、グーグルのAndroidの場合は、検査基準を設けておらず、ソフトウエアを非効率に詰め込むケースも見られます。マイクロソフトの端末の品質重視の戦略が、どこまでシェア拡大に影響するのか、気になるところです。

前述したように、独自のユーザーインタフェース「Live Tiles」やグループ化機能「Hubs」を備え、ソフトウエアとハードウエアの統合やデスクトップサービスやクラウドサービスとの連携も強化されています。ユーザの操作性が大幅に向上し、サービス連携が強化されたことによって、iPhoneやAndroidから乗換するユーザも(もちろん反対もありますが)出てくるかもしれません。

そして、マイクロソフトは開発者向けに「Windows Phone 7」の開発環境を無償で提供する計画を明らかにしており、先行するiPhone のApp StoreやAndroidのAndroidマーケットにどこまで追いつくことができるのか、注目されます。

調査会社は「Windows Phone 7」の登場により、マイクロソフトのシェアは今後拡大していくことを予測しています。米調査会社 IDC は9月7日、スマートフォン市場に関する最新の報告書『Worldwide Quarterly Mobile Phone Tracker』を公表し、「Windows Phone 7」 を搭載した端末の市場シェアは、2010年には6.8%、2014年には9.8%に達すると予想しています(関連記事)。順位は、現行の5位と変わらないとしていますが、今後の展開次第では、順位をあげていくことも十分に考えられるでしょう。

「Windows Phone 7」がいつ、日本の市場に投入されるか定かではありませんが、そう遅いことではないと考えられます。iPhoneやAndroid端末にどの程度割り込んでいけるのか、今後の三つ巴の戦いから目が離せません。

MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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