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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2010年9月9日

2010年9月10日の投稿

2010年9月11日 »

クラウドコンピューティングというキーワードが注目され、外資系事業者だけでなく、日系企業もクラウドをマーケティングに積極的に活用しています。私自身も、毎日クラウド関連の記事をウォッチしていますが、各ベンダーのクラウド関連サービスまでは、あまりにも多すぎて追いかけられない状況となっています。果たして、すべてがクラウドなのか、という疑問も少々あるのが正直なところです。クラウドというキーワードは、IT業界の視点から見ると、やや過熱気味になり、どこかで冷静な視点が求められているような気がしています。

ITmediaエンタープライズの記事「加熱するクラウド市場と冷静なユーザーマインド」では、ITベンダーとサービスを活用する企業の間には温度差についての実態が分析されています。事業者側は積極的にクラウドのメリットをアピールしているのですが、ユーザ企業側は、セキュリティや品質の不安もまだまだ払拭されていない状況で、提供者側のクラウドという発言内容を冷静に判断しようとしています。そういった中で、クラウドという言葉を活用するITベンダーは、改めて「顧客視点」を見直すべきであるという点が指摘されています。

先日、「クラウドビジネスの進展と事業者の投資リスクについて」や「クラウド時代の営業を考える」という記事を寄稿させていただきましたが、顧客視点を置き去りにし、クラウド事業への投資をし、そして、従来の営業活動を続けていれば、さらに、事業者とユーザ企業の温度差が広がる可能性も懸念されます。

顧客視点を少し整理してみましょう。ユーザ企業でクラウドの導入を検討・導入する場合、経営の効率化という視点から考えると経営者、また、総務部門や営業部門なども経費として考えれば、独自に導入することができるでしょう。

その中で、一番、冷静な視点で捉えているのは、情報システム部門でしょう。情報システム部門は、すべてがクラウドに移行してしまうと、自分の業務がなくなってしまうのではないかという心理的な抵抗はあるかもしれませんが、冷静にクラウドを導入することが自社にとって安全でメリットのあるものかと、様々な観点から検討を進めていることでしょう。情報システム部門は、クラウドの流れで、情報戦略をうまくコントロールできない状況に陥り、情報戦略と経営戦略の整合性をはかるなど、これからの情報システム部門のあるべき姿を再構築する時期に来ていると考えることもできるかもしれません。

以上のように、クラウドを提供する事業者とユーザ企業の中で、大きな温度差がある中で、これから、どのようにギャップを埋めていくのか、もう少し顧客視点に立ち冷静な視点で、クラウドビジネスの展開に向けた具体的な取組みをしていく時期にきているのかもしれません。

MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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