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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2010年6月24日

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2010年6月26日 »

昨日の「新たな情報通信技術戦略:クラウドコンピューティングサービスの競争力確保等 工程表」に続き、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が6月22日に公表した「新たな情報通信技術戦略 工程表(案)」を取り上げたいと思います。

昨日とりあげた「クラウドコンピューティグサービスの競争力確保等」の工程表では、「データ利活用による新産業創出」、「データセンターの国内立地の推進」、そして、「関連技術の標準化等」の3つに分類されていますが、これまで幾度となく話題になってきた「霞が関クラウド」の工程表は含まれていません。

「霞が関クラウド」のベースとなるのが、「政府の情報システムの統合・集約化」の工程表です。工程表では、「徹底した業務改革の推進」「行政期間横断体制の構築」、そして、「政府共通プラットフォームの構築・運用」の3つに分類されています。

image

最近の報告書で、「霞が関クラウド」について言及しているのは5月に公表をした「スマート・クラウド研究会報告書」です。本報告書の中では、電子行政の実現の中で、

政府の行政システムの統合・集約化の推進の取組をはじめとする政府の行政システムの刷新を着実に推進し、政府の行政システムの運用に係るコストの5割程度を削減することを目指すべきである。こうした目標を達成するためには、政府の電子行政クラウド「霞が関クラウド」や地方自治体の電子行政クラウド「自治体クラウド」を推進することが必要である。

の記述されています。ちなみに、「霞が関クラウド」のイメージ図は以下のとおりとなります。

image

また、本報告書では、政府共通プラットフォームの整備をあげ、その中で「霞が関クラウド」の考え方について記述されています。

政府における「霞が関クラウド」構想の実現に向けて、政府情報システムの統合・集約化及びデータ連携の基盤となる「政府共通プラットフォーム」については、先ずシステムの統合・集約化等による効果の検証が求められる。サンプルシステムを用いた検証結果によれば、複数システム間でのサーバマシンの共用によるサーバ台数の削減及び運用管理の一元化による外部委託システム運用要員の削減等によって、運用経費の削減が可能であることが確認された。また、環境負荷低減効果として、サーバマシンの台数削減等に伴うサーバマシンに係る消費電力の削減が可能である。このため、今後は、政府情報システムの全体最適化をより強力に推進するため、政府共通プラットフォームを活用し、より多くの政府情報システムの統合・集約化を目指すべきである。

としています。「政府共通プラットフォーム」は工程表にも記述されているように、重要な位置づけとなっています。本件の詳細は、総務省が4月に公表した「政府情報システムの整備の在り方に関する研究会最終報告書」に記載をされており、概要は以下のとおりです。

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工程表から見てもわかるように、「霞が関クラウド=政府共通プラットフォーム」の構築は、中長期的な取り組みとなります。これまで、政府が各々構築してきたシステムを精査し、再構築するということは非常に時間を要すため、電子政府推進の基本方針策定やBPRの手法の展開などが重要となってきます。これらの実現には「政府CIO」の役割も重要となってくるでしょう。

以上です。

MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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