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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2010年1月21日

2010年1月22日の投稿

2010年1月23日 »

総務省は1月19日、「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」の各部会のとりまとめをし、政策を決定する「政策決定プラットフォーム」の会合の資料を公開しました。

各部会からはこれまでの議論のポイント及び、今後の進め方について整理されておりますので、ここで少しポイントをご紹介したいと思います。

(1)過去の競争政策のレビュー部会

(2)電気通信市場の環境変化への対応検討部会

(3)国際競争力強化検討部会

(4)地球的課題検討部会

 

(1)過去の競争政策のレビュー部会
「過去の競争政策のレビュー部会」では、「今後の進め方」として、国内市場の競争促進や国際競争力の向上等に与えた影響について検証作業を行うこととし、項目例として以下の6つをあげています。
      

  • ドミナント規制(固定/移動)
  • 料金政策
  • ブロードバンドの普及政策
  • ユニバーサルサービス制度
  • 消費者の権利確保
  • NTTの在り方

(2)電気通信市場の環境変化への対応検討部会
「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」では、「今後の検討の方向性」として、まずは、政策により達成したい「理念」を設定することとし、理念の例として以下の3つをあげています。
   

  • アクセスの自由
  • イノベーションの自由
  • クオリティ・オブ・ライフの追求

次に、「理念」を実現するための「目標」や「政策」を設定し、「過去の競争政策のレビュー部会」における検証作業とも連携を取るとしています。

(3)国際競争力強化検討部会
「国際競争力強化検討部会」では、「今後の主な検討項目」として、以下の7つをあげています。
   

  1. ICTグリーンプロジェクトの推進
  2. 「次世代社会インフラシステム」のアジア展開
  3. アジア連携ネットワーク基盤の整備
  4. ICTグローバル・コンソーシアム体制の整備
  5. コンテンツの海外発信
  6. 国際標準化戦略の策定
  7. デジタル・ネイティブ世代による新産業の創出支援

個人的に注目しているのは、ICTグリーンプロジェクトの推進にあたって、スマートグリッド/スマートメーター等のICTシステムの国際標準・規格作りを進め、日本発のシステムを早期に国際展開を一番上においている点です。経済産業省などと関連省庁とどのように連携を進めていくのか、注目されるところです。   
    
(4)地球的課題検討部会

「地球的課題検討部会」では、「今後の主な検討項目」として、以下の3つをあげています。
   

  • 全世界的課題である環境問題解決プロジェクトの構築
  • 誰もが使い勝手がよい「ユニバーサルICT利活用モデル」の構築
  • 誰もが社会参画可能な社会構築のためのICT利活用モデルの構築

「環境問題解決プロジェクト」では、ICTによる「緑の分権改革」の実現(エネルギーの地産地消など)など、スマートグリッドに関連しそうなキーワードも書かれており、「国際競争力強化検討部会」のICTグリーンプロジェクトとの関連性も気になるところです。また、「ユニバーサルICT利活用モデル」で、行政クラウド、教育クラウド、医療クラウド、農業クラウドなどの推進やクラウド基盤の構築推進など、クラウドに重点を置いていることが伺えます。

以上4つの部会の今後の方向性について、ピックアップしてみました。各部会のテーマを見てみると、互いに連携していく必要があるであろうという項目もいくつか見られ、今後どのように具体的な議論がなされ、各々政策に反映されていくのか、今後の動向が注目されるところです。

MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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