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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

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経済産業省は1月19日、「次世代エネルギー・社会システム協議会(第7回)」を開催し、中間取りまとめ案を公表しました。本取りまとめ案には、スマートグリッドに関していろいろな視点からまとめられており、様々な業界が関係してきますので、環境ビジネスに興味のある方は、是非一読されることをお薦めします。

中間報告書で書かれている内容のポイントを少し紹介したいと思います。

今後、太陽光発電に代表されるように再生可能エネルギーの導入や、家庭の電化、電気自動車(EV)の普及が進むことで、情報通信技術により電力の平準化などといったように効率的に電力のバランスをとり、電力の安定供給をするためのエネルギーマネジメントの重要性が高まってくる、これらを実現するのが「スマートグリッド」であるといった趣旨の内容が書かれています。

日本の場合は、海外と比べると電力網が安定しており、需要サイドでのエネルギーマネジメント、つまり、電力の「地産地消」をし、電力の負荷平準化をはかっていくことが重要であるとしています。今後、地域実証においての様々な検証がなされていくことになるでしょう。「日本型スマートグリッド」をイメージしたものが以下の図となります。   
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「家庭(スマートハウス)」と「地域のエネルギーマネジメント」、そして、「大規模電源と分散型電源の最適なネットワーク」の3つに大きく分類しています。これらを2020年に向けて、技術的課題や社会コストの最小化といった観点から検証を進めていくとのことです。   

我々一人ひとりに関係するのは、各家庭の「スマートハウス」です。以下スマートハウスのイメージを少し紹介してみましょう。   

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まず、電気自動車(EV)は、送電網間の充放電や家庭での蓄電機能が重要な役割を占めます。また、各家庭にはスマートメーターが設置され、家庭用蓄電池や電気自動車、太陽光発電の発電した電気を有効利用し、最適制御し負荷平準化の実現が期待されています。また、家庭内の家電の電力量を制御し、省エネ住宅も実現します。         

日本政府は経済産業省だけでなく、環境省、総務省、農林水産省、国土交通省で関係省庁連絡会議を開催し、政策資源を集中し、各省庁一体となって次世代エネルギー・社会システム構築に取り組んでいくことも記載されています。参考ですが、経済産業省は昨年12月に「地球温暖化・エネルギー関係での経済産業省と国土交通省の連携強化に向けた中間とりまとめについて」を公表し、経済産業省と国土交通省による合同ワーキングチームの取り組み概要が紹介されています。

スマートグリッドは、次世代の社会インフラとして、世界でも様々な動きが出てきています。例えば、米国では標準団体のNISTでは、スマートグリッドの標準となる「Framework and Roadmap for Smart Grid Interoperability Standards(PDF)」の最終版を公表しています。日本政府もグローバルに展開できる必要性を認識し、国際標準化ロードマップを策定し、NIST等と連携の検討も進めており、世界市場から孤立しない、脱ガラパゴスに向けた展開を進めています。

最後にロードマップを見てみましょう。

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これらを見る限り、検証していくべき事項は様々です。次世代の社会インフラの構築に向けて、今後様々な展開がなされていくことと思いますが、「日本版スマートグリッド」の構築とともに、世界に通用する世界インフラを展開させていくことが、重要となってくるでしょう。これからの動向から目が話せません。    

MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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