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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2009年11月17日

2009年11月18日の投稿

2009年11月19日 »

第一回では、セールスフォースやアマゾン等がシンガポールをアジアのハブにしたサービス展開の紹介、第二回ではシンガポール政府をはじめとしたアジアのハブに向けた政策面での紹介をしました。

では、日本の政府はデータセンターについてどのような政策を展開しているのでようか。これまでの政府の研究会や配布資料等の中からその取り組みの一部を紹介してみたいと思います。

まず、総務省からの取り組みをご紹介しましょう。

日本のクラウド政策のビジョンについて

最近の取り組みでは、11月11日に「スマート・クラウド研究会(第2回)」の配布資料が公表されました(以下図参照)。9月30日の研究会の内容となります。また、同時期に議事録(PDF)も公開されています。

image
(出所:スマートクラウド研究会(第2回) 技術WG(第1回)の概要 2009.9.30)   

技術WGの資料や議事録の中身を読み、データセンターの観点から見て、少しポイントをまとめてみました。 

日本が世界のクラウド事業者と対抗するためには、国内ではなく、日本国クラウドとして一丸となって対抗すべきである。   

アジアの中でのシェアをどれだけ高めていけるかといったことを起点に進めることが重要である。また、中国などとしっかりとした連携体制を構築していくことが必要である。

EUでは日本のような十分なデータ保護水準(adequate level protection)を持っていない国に対してはデータを流さないという明確なポリシーを持っており、日本でも何らかの対処をしていくべきである。

議事録を読む限りでは、海外の事業者と組むというよりも、データ保護の規定や日本の技術や品質の強みを生かし、日本一丸となって世界へ対抗していくという議論がなされているという印象です。

スマートクラウド研究会では、日本のクラウド政策における全体のビジョンを検討をしているところですので、12月中旬にどのような中間とりまとめ(案)が提示されるのか、注目されるところです。

   

日本のデータセンターの国際競争力について

総務省のデータセンターに特化した検討会では「クラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化策に関する検討会」が開催されています。最新の配布資料は第二回(7月28日)の資料となります。

第二回の資料の中では、国内のデータセンターを利用することが望ましいとし、その理由として以下の3つをあげています。

       
  1. システム構築者(サービス提供者など)の観点    
    データセンターを利用してシステムを構築する際に、海外のデータセンターを利用した場合、国内のデータセンターを利用した場合には発生しないデメリットが存在する
  2.    
  3. 構築されたシステムの利用者(エンドユーザーなど)の観点    
    エンドユーザーから見て、海外のデータセンターを利用した場合、国内のデータセンターを利用した場合には発生しないデメリットが存在する
  4.    
  5. その他    
    我が国経済活性化の観点から、国内データセンターが利用されることが望ましい

また、データセンターを国内設置する際の課題整理についても触れられています。

image      

(出所:クラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化策に関する検討会(第2回)配付資料 2009.7.28)

その他、機器及び要員に関わる課題、利用者視点、そして制度面からの課題も指摘されていますが、やはり土地・建物の価格、電力の価格と供給確保、通信コスト等が根本的なネックとなってくるのではないでしょうか。

これらの課題を解決するために、ネットワークや電力にかかるコストが「2倍程度違う」可能性を念頭に置いた「税制措置等の優遇措置」の検討、グリーンデータセンターの基準の明確化、国内データセンターのメリットの訴求等が記述されています。

 

また、ASPICが「ASP・SaaSデータセンター促進協議会」を今年の2月26日に設立し、活動をしています(関連サイト)。本協議会の中では、「クラウドコンピューティング・国際戦略委員会」も立ち上がっており、データセンターの国際戦略が議論されているのではないかと推測されます。

総務省のデータセンターの国際競争力という観点から見た場合、まだまだ議論が始まったばかりで、報告書等のアウトプットについても、来年になります。これらの取り組みが政策の中でどのように反映され、日本の国際競争力を高めていくのか、その動向が注目されるところです。

明日は、経済産業省のデータセンターと国際競争力について、整理してみたいと思います。

※関連記事

日本のデータセンターの国際競争力(1) ~外資系のアジア進出 (2009.11.16)

日本のデータセンターの国際競争力(2) ~海外(主にシンガポール)政府のクラウド政策 (2009.11.17)

日本のデータセンターの国際競争力(3)~日本の政策(総務省編) (2009.11.18)

日本のデータセンターの国際競争力(4)~日本の政策(経産省編) (2009.11.19)

日本のデータセンターの国際競争力(5)~データセンターの誘致活動について (2009.11.20)

MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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