『ビジネス2.0』の視点:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 『ビジネス2.0』の視点

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2009年9月13日

2009年9月14日の投稿

2009年9月15日 »

民主党連立政権の誕生により、補整予算未執行分の停止や予算の再配分の実施検討など、様々な動きが出てきています。私自身、注目しているのは情報通信政策の今後です。

民主党のマニフェストの中で柱となるのが、   
「日本版FCC」の設置   
「電波オークション」の制度の導入   
です。

日本版FCCとは、米国のFCC(連邦通信委員会)に相当する独立行政委員会を設置し、これまで総務省の所轄となっていた通信と放送の行政を分離し、通信・放送事業者に対して、監視する役割を担います。通信・放送の政策を独立した組織で行うことで、放送に対する恣意的な介入を排除し、国家権力が放送を監督するという矛盾を解消していくことを目指しています。

また、日本版FCCでは、これまでの自前規制から事後規制への転換を重視し、規制緩和の方向に進むことが予想されます。新規事業者の参入とともに、通信と放送の融合がさらに進むことになるでしょう。特に、放送業界においては、事業の転換を余儀なくされ、再編が進むことも可能性としては考えられるでしょう。

続いて、「電波オークション」の制度の導入です。テレビ放送や携帯電話等といった無線通信で利用されている電波の周波数を競争入札を実施し、高額で応札した企業に利用権を与えるというものです。政府は新たな財源を確保できるというメリットと公平性を担保できるという一方で、入札価格が高騰することによって事業者の収益を圧迫する可能性があるという指摘もあり、慎重論も根強く残っています。

電子政府・電子行政に少し目を向けてみましょう。民主党のマニュフェストの中を見ると、電子行政については触れていますが、電子政府そのものには触れていません。「i-Japan戦略2015」の中では、電子私書箱や霞ヶ関クラウド、そして自治体クラウド等の取り組みが目玉の一つとなっていますが、これらの政策についても影響が出てくることが予想されます。

最後に通信インフラについてですが、平成22年中に、「ブロードバンド・ゼロ地域解消計画」を目指していましたが、補正予算の一部執行停止により、離島や山間部等の地域においての実現には黄信号がともり始めています。

まだ、国家戦略局の全貌がわからず、各府省の閣僚も決まっていない状況の中、予想をすることは難しいのですが、子育て手当てや高速道路無料化等に多くの税金をつぎ込むことを考えた場合、情報通信政策への予算に関しては、必ずしもプラスにはならないのではないかと考えています。

アメリカのオバマ大統領はITに精通しており、オープンガバメント政策やフェデラルクラウド等積極的に情報通信政策を推進しています。日本の国際競争力を高めていくためには、情報通信政策は非常に重要であり、民主党が掲げる政策がどの程度プラスに作用するのか、今後の展開が注目されるところです。

MASAYUKI HAYASHI

« 2009年9月13日

2009年9月14日の投稿

2009年9月15日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
business20
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ