『ビジネス2.0』の視点:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 『ビジネス2.0』の視点

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2009年8月24日

2009年8月25日の投稿

2009年8月26日 »

日経新聞の8月14日の記事に「ガラパゴスの希少種危うし」という記事が小さく書かれていました。英国の研究チームは、ガラパゴス諸島にいるイグアナなどの希少種が、絶滅する事態もあり得ると警告しています。その理由は、免疫のない亀、鳥などの動物が、観光客と共にやってくる蚊の媒介する病気によって感染が広まってしまう可能性を指摘しています。ガラパゴス諸島の急激な観光地化によって、蚊は着実に増えてきているようです。

外部と隔絶され独自の進化を遂げたガラパゴス諸島は、動物などは外部に対する免疫力がなく、また、天敵となるような大型の陸棲哺乳類も存在しません。このような諸島に、外部から何らかの脅威が進入した際、その環境にあわせて柔軟に変化をしていくことが果たしてできるのでしょうか。

日経コミュニケーション(2009.8.15)に「脱・ガラパゴスの処方箋」という特集記事が組まれていました。情報通信パーソンのキーパーソン20名が、日本が伸ばすべき長所と克服すべき短所をあげながら、日本企業や日本人が国際競争力を強化するためのヒントを提示されています。

指摘されている点を「世界的視野」に絞って少し整理をしてみたいと思います。

日本には、インターネットエコノミーの適応力が欠如
消費者第一主義や、グローバルな視点が欠けており、日本でいいものを作って世界に持っていくという発想は世界に受け入れられない。
   

通信と放送の融合の包括的な議論の必要性
政府の役割は、膨大な投資が必要なインフラの効率化に集中し、プラットフォームとコンテンツは市場に任せるべき。
       

NTTの研究開発のあり方
規制を受ける立場から早く脱却させるため、技術部門を分割し、各分野でより現実に密着した研究開発環境にすべき。
   

ICTの国際競争力を中国から学べ
中国では、ICT産業を最重要工業分野と位置づけている。日本は、政府金融を利用したベンダーズファイナンスで日本メーカや通信事業者が一体となって海外進出を復活させるべき。
       

情報通信の公正な競争環境を    
「電波オークション」や「NTT分割・完全民営化」をすべき。NTTグループ各社の活動を自由にすれば、メディアを超えた融合や海外進出にも柔軟に対応できる。

日本の国際競争力を高めていくためには、通信と放送を包括的に議論し、インフラ以外のレイヤは市場に委ね、海外市場進出には政府が支援をする。そしてNTT再々編議論が触れられています。

クラウドコンピューティングに代表されるようにICTの世界はグローバルに広がりを見せています。日本はブロードバンド先進国でありながらも、その他のレイヤにおいては苦戦を強いられています。

政党がどちらになるかは定かではありませんが、いずれにしても脱・ガラパゴスに向けた情報通信政策は今後はさらに重要なテーマとなるのではないかと考えています。

MASAYUKI HAYASHI

« 2009年8月24日

2009年8月25日の投稿

2009年8月26日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
business20
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ