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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2009年6月9日

2009年6月10日の投稿

2009年6月11日 »

地域経済が疲労している中において、地域活性化緊急課題となっています。総務省は、ICTが希薄化した人と人とのつながりや人と社会の絆を取り戻すための重要な鍵を握るとし、ICTを活用した地域社会の再生を目指しています。

総務省は、3月17日に公表した「デジタル日本創生プロジェクト(ICT鳩山プラン)」の中で「ユビキタスタウン構想」の推進を明らかにしています。「ユビキタスタウン構想」とは、「ユビキタス特区」事業等より、定住自立圏構想と連携して、地域コミュニティにユビキタス関連技術を集中的に投入し、地域の特性を活かした安心・安全な街づくりを目指すという構想です。

具体的には、定住自立圏構想を推進する地方公共団体、学校、病院、図書館、役場などの公共機関をブロードバンド回線で接続し、基盤整備を図り、これからの基盤上で、 

  • 児童・老人の見守りシステム
  • 観光・道案内システム
  • センサーを活用した気象防災等システム等の導入
  • 地域の安心・安全に関する情報を統合して様々なメディアを通じて地域住民に提供する「安心・安全公共コモンズ」の推進
  • 地域SNS(会員制掲示板)を活用した地域コミュニティの活性化
  • ふるさとケータイ事業(携帯電話事業者のネットワークを活用して地域の問題を解決することを目指す事業)の推進
  • 空間コード基盤の整備

などを集中的に実施し、ICTの真価を地域住民が実感できる環境作りを推進するとしています。

image 
(出所 総務省 経済危機対策について(ICT関連) 2009年5月)

「ユビキタスタウン構想」では、上図のとおり、経済危機関連対策の補正予算において、ユビキタスタウン構想推進事業(地域ICT利活用推進交付金)においては195億円を計上し、集中的なICT利活用の促進・普及展開を図ることとしています。本施策を実施する自治体数は、予算額から推測すると数百程度になるのではないかと推測されます。

また、地域情報基盤整備推進交付金(定住自立圏構想実施団体支援)では、47億円を計上しています。

総務省が6月5日に公表した「ICTビジョン懇談会報告書-スマート・ユビキタスネット社会実現戦略-」においても「ユビキタスタウン構想」について触れられています。

image

(出所 「ICTビジョン懇談会 報告書(概要)」 2009年6月)

09年度中に、地域情報化アドバイザーと連携しつつ、「ユビキタスタウン構想推進会議(仮称)」を設置し、地域情報化のベストプラクティス等の全国的な共有化をはかり、地域のニーズに適した新たなモデルを作成し、普及展開を進めていくべきであるとしています。加えて情報通信基盤整備や地域情報プラットフォーム等の標準化した技術に基づく計画的、総合的なシステム整備を行うといったことにおいても配慮すべきであるとしています。

「ユビキタスタウン構想」での事業は実施する件数も多いことが予想されます。全国各地で様々なICTを活用した地域活性化の施策が展開されることになるかと思いますが、ICTでどの程度活性化され、地域経済の再生に寄与するのか注目されるところです。

MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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