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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2009年3月29日

2009年3月30日の投稿

2009年3月31日 »

日本のIT戦略は、これまで2001年の「e-Japan 戦略」、「e-Japan 戦略Ⅱ」、「u-Japan 政策」、「IT 新改革戦略」等が展開されてきました。これらのIT戦略は2010年を目標年度に掲げた施策であり、2011年については、IT戦略本部等を中心として検討が進められています。

政府も近年、デジタル技術の急速な進歩や、金融危機による経済の失速等、早急な処方箋が求められている点を指摘しています。

政府は2009年6月間でに新たな中長期戦略を策定することを決定しており、IT戦略本部が3月24日に開催した「IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会(第4回)」では、「デジタル新時代に向けた新たな戦略~三か年緊急プラン部分~(案)」を公表しています。

本調査会では、デジタル新時代に向けて、政府の三大重点プロジェクトをあげています。

  1. 国民がサービスの利便性を実感できる新しい電子政府・電子自治体の推進
  2. 日本健康情報コミュニティ(仮称)構想の実現
  3. デジタル教育の推進とデジタル活用人財の育成・活用

「電子政府・電子自治体」、「医療」、「教育・人財」の三分野を重点プロジェクトとし、40 万人~50 万人の雇用創出効果が見込まれるとしています。

この新戦略においても、「クラウド」というキーワードが頻繁に出てきています。いくつか例をあげてみたいと思います。

「霞が関クラウド(仮称)」の構築

効率的かつ柔軟でセキュアなシステム構築、開発・運用コストの削減、   
及び業務の共通化を図るため、「霞が関クラウド(仮称)」を構築し、全府省横断的に業務及びシステムの最適化を推進する

電子自治体推進における共同利用型クラウド

電子自治体の推進に当たっては、ASP・SaaS や共同利用型のクラウド・コンピューティングなどの技術を積極的に活用するとともに、地域情報プラットフォームに準拠して情報システムの刷新を推進する

電子私書箱構想におけるクラウド共同利用基盤

国民電子私書箱構想において、クラウド技術等を活用した国や地方における共同利用基盤を整備する

クラウド技術を活用した遠隔教育システム

サーバー、ストレージ、アプリケーション等十分な教育環境が整わない全国の高等教育機関等の教育環境を効率的に整備するため、クラウド技術を活用した実践的な遠隔教育システムの開発を促進する。

グリーンITとクラウド

クラウドコンピューティング等における更なる省エネ環境を実現するデータセンター等の情報通信機器・設備、ネットワークのすべてについて、環境面で世界最先端の技術の実用化を推進する。

等があげられています。

一方で参加している委員からも政府の新戦略の案についても様々な意見を出してきています。ここでも「クラウド」に特化して整理したいとみたいと思います。

ヘルスケアクラウド

「日本健康情報スーパーハイウェイ構想」における情報爆発センサーネットを基盤とするヘルスケアクラウドは高い経済効果を生む

クラウドに対する根拠

特にクラウドコンピューティング、データベースの重要性に関する根拠、IT サービス、ソフトウェア分野の世界的動向に関するエビデンスを示すべきである

不用意にクラウドコンピューティングを推進すること明言しない

クラウドコンピューティングに対する政府の戦略が定まっていない間は不用意にクラウドコンピューティングを推進するという姿勢を明確にしないでおくことが適当である

等、様々な形でクラウドが政策の中に組み込まれ、そして委員(有識者)の中から、意見が出されていることがわかります。

少なくとも、政府が2009年6月末に提示される中長期戦略の中に、「クラウド」というキーワードが入ることは間違いないように思われます。政府の中長期戦略がどの程度クラウドに踏み込み、明確なプランを出してくるのか、注目されるところです。

MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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