『ビジネス2.0』の視点:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 『ビジネス2.0』の視点

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2009年3月25日

2009年3月26日の投稿

2009年3月27日 »

IT Leaders の3月号に「〔特集〕SaaS本番へ!『保有から利用へ』を加速する」という特集が組まれていました。なかなか読み応えがありましたので、少しメモを共有しておきたいと思います。

目次は、   

PART1 「新市場巡る主要ベンダーの動き」    
PART2 「大同団結うたうNTTグループ」      
PART3 「SaaSの基本とテクノロジー」      
PART4 「PaaSはどこまで実用的か」      
PART5 「先行指標となる米国最新事情」      
PART6 「座談会~国内市場を展望する」      
PART7 「カテゴリ別の主要SaaS一覧」

です。各PARTごとに少し整理をしてみたいと思います。  

PART1 
PART1 の「新市場巡る主要ベンダーの動き」では、SaaS基盤を中心に各社の取組みが紹介されていました。NECの「RIACUBE」や日本ユニシスの「ビジネスパーク」、富士通の「SaaSプラットフォームサービス」。それから、通信事業者では、NTTの共同のSaaS基盤事業、KDDIの「Business Port」が紹介されています。

ソフトウエアベンダは、ピー・シー・エーの「PCA for SaaS」、オービックビジネスコンサルタント(OBC)が4月に「奉行 for SaaS」、そして弥生も2009年中にはSaaSとして提供するようです。また、NIJSのSaaS基盤事業も紹介され、NTTコミュニケーションズとの技術検証も紹介されています。

海外のベンダでは、IBMの「LotusLive」、マイクロソフトの「Dynamics CRM online」、「Azure Platform」、オラクルの「CRM ond Demand」などが紹介されています。

PART1の最後には「日本のIT企業は、どんな立場を確保できるのか」と書いているように、積極的な攻勢をしかける外資系のIT企業に対して、どのような対抗策を展開していくのかが注目されます。

PART2   
PART2 の「大同団結うたうNTTグループ」では、NTTグループのSaaS共通基盤整備の記事が組まれています。NTTグループのSaaS基盤に積極的にソフトウエアベンダを誘致していくことを進めています。既に外資系の大手では、マイクロソフトやセールスフォース・ドットコムとも提携しており、今後どのような提携やサービスを展開していくのか注目されます。最後に「NTTグループの取組みは日本のSaaS市場を拡大し、そこへのシフトを加速させる大きなエンジンとなることは間違いない」と書かれているように、NTTグループの動きが、日本のSaaSの動向を大きく左右するといえるかもしれません。

PART3  
PART3 の「SaaSの基本とテクノロジー」では、基本的なSaaSの技術が紹介されています。マルチテナント、連携APIの提供等、ASPの違いについても触れられています。それから、PaaSについても触れています。PaaSは、セールスフォースの「Force.com」などが紹介されています。最後に、「SaaSだけでなくPaaSにおいても既に差がついているということは認識しておくべきだろう」と書かれています。現時点での日本のIT企業との差は歴然としているようです。仮に、日本のIT企業がPaaS事業を国内において本格的に展開したとしても、外資系のスケールメリット(規模の経済)に太刀打ちできるのかどうかが、大きなポイントになるかと思われます。

PART4
PART4の「PaaSはどこまで実用的か」では、主にセールスフォース・ドットコムが提供する「Force.com」を例をとりあげ、開発技術等について紹介されています。 

PART5 
PART5 の「先行指標となる米国最新事情」では、SaaS専業ベンダ、企業アプリケーションベンダ、ISV(独立系ソフトウエアベンダに分類し、それぞれのプレイヤーの位置づけなどが紹介sあれています。2011年~をSaaSの第3世代とし、企業間SaaSが、ユーティリティ料金、新しいビジネスサービス等が展開されるとしています。

PART6と7は省略しますが、最後の締めくくりに「SaaSを活用するには、今にも増した情報収集力が必要となる」と書かれています。一度SaaSに企業情報を載せることになれば、多くのメリットが享受できますが、デメリットがあるこことも事実です。だからこそ、SaaSかそうでないかのポートフォリオの設計が必要であり、今よりも増して、ITを経営に使うといった発想が求められることになるでしょう。

MASAYUKI HAYASHI

« 2009年3月25日

2009年3月26日の投稿

2009年3月27日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
business20
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ