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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

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総務省が主催する「ICTビジョン懇談会」で、6月の最終取りまとめに向けて対応が進められていましたが、昨今の経済情勢など取り巻く環境を考慮し、2月23日に総務大臣への緊急提言がされました。緊急提言「ICTニューディール」というタイトルです。

そのポイントを少しまとめてみたいと思います。 

ICT産業は経済成長の底上げのための強力な手段であること
ICT産業は景気に影響を受けず、常にプラス成長をしてきている点をあげ、経済成長の底上げにおいて極めて強力な手段であるとしています。
   

ICT産業を新たな成長戦略の柱に位置付けるべきであること    

ICT関連の投資を短期型だけでなく、未来志向型投資の加速化・前倒しなどによる中長期的な成長力の向上に積極的に取り組むべきであるとしています。   

具体的な提言としては、-ICT関連投資の増加で、中期的に100兆円規模の新規需要を創出するとし、 

提言1では、ブロードバンドの整備によるデジタルデバイドの解消、地デジの円滑な普及をあげています。

提言2では、電子政府の取り組みについてクラウド・コンピューティング技術などの革新的技術を積極的に取り入れた情報システムの統合化等に速やかに着手し、大幅なコスト削減を目指すべきであるとしています。驚くことに、正式な提言の中にクラウド・コンピューティングという言葉が入っています。また、コード体系等の統一、電子政府と電子自治体の連携強化についても触れられています。 

提言3では、医療と教育のICT利活用に触れています。この分野は世界と比べてもかなり遅れている分野です。医療分野においてはレセプトオンライン、ASP・SaaS等を活用した校務の情報化の推進、初等中等教育における情報リテラシー教育の充実や高度ICT人材を戦略的に育成するための環境整備などがあげられています。さらには、「ICT医療特区」、また、教育分野においては「ICT教育特区」の創設を検討すべきであるとしています。これまでは、「ユビキタス特区」や「サイバー特区」など技術指向が強かったのですが、分野においてどのようにICTを活用するかという考え方にシフトしています。

提言4では、グリーンICTの推進による低炭素革命について触れています。ICTの活用方法によって、CO2の削減は大きく左右してきそうです。 

提言5では、電波を有効活用した数十兆円規模の新産業や日本が強みをもつ新技術の研究開発及び実用化の加速、業態を越えたオープンイノベーションの創出を促すための環境整備が必要であるとしています。

提言6では、アニメやテレビ番組、そしてマンガなどの日本の強みであるコンテンツの海外展開、発掘やコンテンツ取引市場の形成などがあげられています。

提言7では、ICTを活用した「つながり力」、つまり地域コミュニティの再生や住民サービスの向上をあげています。 

提言8では、国際競争力向上のための共同研究、人材育成などがあげられています。

以上が8つの提言の私なりに解釈したポイントになります。

これからの提言のもう少し踏み込んだ内容について、3月に中間報告が出され、そして6月に報告することになります。そして「u-Japan政策」の次の中長期的な方向性が出されることになり、4~5年間はその方向性に基づき、様々なICT政策を展開することになるでしょう。

緊急提言「ICTニューディール」というように、緊急提言をしていることは何らかの意図があり、さらには「ニューディール」というキーワードはアメリカのオバマ政権を意識しているようにも見受けられます。 

この提言が今後どのような意味を持つのか、注目されるところです。

MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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