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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2008年10月29日

2008年10月30日の投稿

2008年10月31日 »

ユーザがある情報システムの導入を判断する場合、多くは導入実績というものを考慮する場合が多いでしょう。どのような業界が導入しているか、企業規模はどうか、同業他社では利用しているか等、あらゆる視点から導入実績を参考にすることでしょう。

導入実績が抱負で、サービス提供者側もノウハウを蓄積しているようであれば、導入のハードルは一気に下がることでしょう。一方、ほとんど導入実績がなければ、クラウドサービスの機能がいかに優れていても、多くの企業は導入に慎重になってしまいます。 

また、導入実績が成長過程にあることも重要でしょう。数年前は実績があったけど、最近は・・という話になれば、なかなか導入に踏み切ることは難しいでしょう。市場が成長し続け、導入実績が確実に増え、機能が年々バージョンアップしていれば、導入するにあたっての重要な判断材料となるでしょう。

例えば、セールスフォース・ドットコムのケースを取り上げてみたいと思います。セールスフォース・ドットコムの利用ユーザ数は、48000社を超え、売上額において年率50%程度で成長し続けています。導入実績においては、世界の有名企業から日本の大企業から中小企業までの事例が紹介されています。 

グーグルが提供するGoogle Appsの場合はどうでしょうか。個人の利用や大学での利用者数は確実に増え続けていますが、その伸びと比べると、企業における導入実績は、まだ日本においてはまだ十分であるとは言えません。コンシューマ分野において高く評価されているGoogle Appsがどの程度企業において実績を積み重ねていくか、今後注目される点です。

また、IBM等のこれまで情報システムの構築や運用に豊富なノウハウを持つベンダーにとっては、お客様の置かれている情報システム環境等を見ながら、企業内に情報システムを残すか、それともクラウドに移行するのか、状況に応じて最適な提案ができることが考えられます。この場合は、クラウドサービスの導入実績というよりは、企業の情報システムへの豊富な実績として評価されることになるでしょう。 

多くの調査資料等によると、クラウドコンピューティングの市場はここ数年で大きく成長することが予測されています。そのため、この数年間で多くの導入実績が紹介され、また、新しい形態の導入実績も紹介されていくことでしょう。

マーケティング用語的に言えば、イノベーターやアーリー・アドプター等は実績等関係なく、自らが評価し、社内での導入を進めていくことができます。ポイントは、アーリー・マジョリティがどう動くかです。イノベーターやアーリー・アドプターのクラウドサービスの導入実績を見て、アーリー・マジョリティが導入を進めていくことを判断し行動に移することができれば、市場は一気に成長を続けていくことになるかもしれません。

MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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