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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2008年10月27日

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2008年10月29日 »

クラウドコンピューティングを利用するにあたって、自社で運用管理をしていないため、システムの状況が把握できていないため障害等でダウンしてしまわないかという懸念もあることでしょう。これまでクラウドサービスが大規模故障によって数時間以上システムが利用できないというケースも見られました。

ユーザがクラウドサービスを利用する場合において、一定の信頼性が求めらるようになっています。クラウドサービスにおいて、SLA(Service Level Agreement)と呼ばれる「サービス稼働率」を採用するケースも出てきました。基幹系サービスであれば、一般的には、99.9%以上の稼働率が求められるでしょう。

例えば、グーグルが提供する企業向けの有料サービスの「Google Apps Premier Edition」においては、電子メールの「Gmail」においてのみSLAを適用し、稼働率99.9%を保証しています。「Google Docs」等は現時点(2008年10月時)で対象外になっていますが、今後SLAを提示していくことを検討しているようです。

また、災害発生時等の故障に備えて遠隔地等にてデータをバックアップ保管していることも重要になってくるでしょう。例えば、週次でフルバックアップ、日次では差分のバックアップ程度の対応が必要となるでしょう。基幹業務などのサービスにおいては、データを5年以上は保管しているか、また、データが隔離されて適切に保管されているか事前確認も必要でしょう。 

解約時においては、少なくとも1ヶ月以内には、保管媒体の破棄を適切に実施することのできる事業者であることを確認しておく必要があるでしょう。

平均復旧時間がどの程度かも確認が必要となるでしょう。障害が発生してから修復完了までの時間が平均どの程度になるかという数値です。基幹系業務のサービスにおいて数時間以上も修復できないというケースが続くようでは、そのシステムの信頼性は高くなく、なかなか導入に踏み切ることはできないでしょう。

また、アクセスログや操作ログそしてエラーログなどの記録(ログ)情報を利用者側の要望に応じて、適切に提供できるかどうかというのも重要なポイントになります。情報漏えいなどのセキュリティインシデントが発生した際に、原因はどこにあるのか追跡するためには、記録(ログ)情報がどこまで取得できているかというのは重要な要素になります。

その他、サービス提供状況のレポート(報告書)が適切に見られるような状態になっているか、障害発生時に担当者に適切な方法で適切な人に通知されるか、等を確認しておくことも必要でしょう。 

以上のように、利用者側がサービスを利用する上で、提供者側が信頼できるサービスを提供しているかどうか、また、しっかりと情報開示をしているか、様々な角度から事前に確認をした上で利用をするというプロセスが重要となってくるでしょう。また、データは自社でもバックアップをとり、万が一のことにも備えておくことが必要となってくるでしょう。

クラウドサービスは、利用するにあたって、サービスが信頼できるものか、十分に確認をしておくことが重要となってくるでしょう。


MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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