『ビジネス2.0』の視点:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 『ビジネス2.0』の視点

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2008年8月28日

2008年8月29日の投稿

2008年8月30日 »

各省庁から平成21年度の重点施策が公開されてきています。総務省は、8月28日、「平成21年度総務省重点施策」を公表しました。

1)地方の再生、2)成長力の強化、3)安心・安全な国民生活の確保等を柱としています。

そして、ICT成長力強化にも重点を置いています。重点施策(概要)からICT政策の部分を抜粋すると以下のとおりです。

==

1.誰もがICTを利用できるための基盤整備

  • 地上デジタル放送への完全移行に向け、説明・相談体制等の抜本的強化等の総合対策を実施
  • デジタル・ディバイド解消に向けたブロードバンド網整備や携帯電話等エリア整備への支援
  • 通信・放送の総合的な法体系の在り方について、具体的な制度設計に向けた検討

2.ICT産業の国際競争力強化

  • 新規性の高い事業の創出・国際展開を支援するICT先進事業国際展開プロジェクトの推進
  • 3次元映像技術、ネットワークロボット技術、環境関連技術等の重点研究強化の推進
  • 高度ICT人材育成、IPv6技術の習得に向けた環境整備、ソフトパワーの強化等の推進

3.ICTのつながり力による産業・社会の変革

  • ICT利活用によるCO2削減効果の検証・評価手法の確立、テレワークの普及・促進及び「ユビキタス環境立国」モデルの開発・実証等「ユビキタス特区」事業の推進
  • 携帯電話の利活用により地域課題の解決を図る「ふるさとケータイ事業」の推進

4.地域におけるICTの徹底活用

  • 遠隔医療等に活用可能なブロードバンド網整備、ICT利活用モデルの構築等の推進
  • 中小企業の生産性向上に資する総合的なコードの整備、ASP・SaaSの普及促進

5.ICT安心・安全対策の推進

  • 違法・有害情報対策に関する「安心ネットづくり」の促進

==

ICTの基盤を構築し、国際競争力を高め、産業育成や地域活性化などの内容が盛り込まれています。

 

中でも日本のICT国際競争力の低迷が気になります。実際に日本はどの分野が強くてそして、どの分野が弱いのでしょうか?

総務省は、8月28日、7月29日に開催された「ICT国際競争力会議(第3回)」の資料を公開しました。この中では、「ICT国際競争力強化プログラムver.2.0」(案)等も掲載されています。

興味深い内容は、参考資料となっていますが、「ICT国際競争力指標の策定について」です。

image 

日本企業の市場シェアは、ソフトウェア、通信及び情報関連の端末・機器(コピー機、プリンタを除く。)で低くなっている点が指摘されています。

携帯電話機が14.9%と予想以上に高いシェアに見えますが、ソニー・エリクソンのシェアも日本のシェアに入れ込んでいるからです。ソニー・エリクソンを除いた場合は、10%を切るでしょう。さらにiPhoneの販売がこれからも増え、やタッチパネル携帯で注目されているサムスンの携帯電話等が日本の市場に参入してくることを想定すると、日本の携帯事業者はしばらくの間苦戦することが予想されます。

さらに苦戦が強いられているのは、ソフトウエアの部分です。

  • アプリケーション・ソフトウェア 0.4%
  • インフラ・ソフトウェア 2.5%

とかなり壊滅的な状況です。今後、クラウドコンピューティングに代表されるようにウェブベースのビジネスが広がっていくことを想定すると、情報のデータが北米などに蓄積されてしまうと、益々厳しい状況になっていくでしょう。グローバル化が進むほど、日本語というハンデは大きくなっていくのかもしれません。

先ほどの、総務省の重点施策の中で、ICT産業の国際競争力強化も施策の一つに入っており、「国際展開プロジェクト」や「3次元映像技術」、「ネットワークロボット技術」、「環境関連技術」などが上げられています。

ICT産業において世界における日本の市場シェアを高めていることができるか、世界でのプレゼンスを高めていくためには、シェアを高めていくことが指標の一つになるのではないかと考えています。


MASAYUKI HAYASHI

« 2008年8月28日

2008年8月29日の投稿

2008年8月30日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
business20
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ