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皆さん既にご存知の方も多いと思いますが、ソフトバンクモバイルが年内に日本国内において「iPhone」を発売することを発表しました。ソフトバンクモバイルのプレスリリースには、

「iPhone」について

2008年6月4日
ソフトバンクモバイル株式会社

この度、ソフトバンクモバイル株式会社は、今年中に日本国内において「iPhone」を発売することにつきまして、アップル社と契約を締結したことを発表いたします。

SOFTBANK MOBILE Corp. today announced it has signed an agreement with Apple® to bring the iPhone™ to Japan later this year.

 

とわずかな情報しか発表されていません。ソフトバンクモバイルが独占販売契約を結んでいるのか、他のキャリアが販売する可能性があるのか定かではありません。

来週の6月9日に行われるアメリカ・サンフランシスコで「WWDC 2008(Apple Worldwide Developers Conference)」でアップルが3Gバージョンの新iPhoneを発表することが予想されており、その前のタイミングにソフトバンクモバイルのインパクトを市場に与えておきたいという思惑もあったのかもしれません。

 

では、これに対してドコモの反応はどうでしょうか?

CNET JAPANの記事の中には、ドコモ広報部のコメントが紹介されています。

「今回の発表は残念」とした上で、「今後の可能性については検討中」とした。「タッチパネルで操作できる端末としては、PRADA Phone by LGなど同様の端末を当社でも提供している」(ドコモ)

PRADA PhoneはiPhoneよりも海外では3ヶ月速く発売されています。iPhoneはタッチパネルなどインターフェイスで一部イメージが重なるところもあり、PRADA Phoneの発表の時点で既に決着がついていたのでしょうか?

 

ドコモは、昨年「DoCoMo 2.0」という広告を打ち出し、「そろそろ反撃してもいいですか?」というキーワードが話題を呼びました。そして、今年は、イメージ戦略を大幅に変え、「ドコモ宣言」を発表し、CMでは「ドコモのあなたに、Answerを。」という言葉で新規顧客獲得からお客様満足度を高める戦略に舵を切っています。この時点で「iPhone」はどこまで戦略転換のイメージの中に入っていたのでしょうか?

 

気になる携帯電話市場のビジネスモデル

これからの携帯電話市場はどうなるのでしょうか? モバイル端末市場は、モバイルノートPCに始まり、ネットブック、UMPC、MID、スマートフォン、そしてケータイ(携帯電話)とカテゴリが非常に多様化してきています。特にソフトバンクモバイルの「インターネットマシーン」の「922SH」やウィルコムの「WILLCOM D4」は市場に大きなインパクトを与えました。今後もAtomプロセッサー搭載の超軽量マシーンが各メーカから発売されることが予想されます。そして、この市場の中に「iPhone」という強力なライバルが新たに参入します。

データ通信も現在のドコモやソフトバンクの「HSDPA」やauの「EV-DO Rev.A」、そして「ウィルコムのW-OAM typeG」等の高速データ定額通信も非常に魅力的になってきました。さらに、WiMAXや次世代PHS(WILLCOM CORE)等も来年にサービスを開始します。

私たちユーザにとっては、非常に魅力のあるモバイル端末とデータ通信の選択肢が並んでいます。

そして気になるのは、iPhoneのビジネスモデルです。これまでの携帯電話は、iモードのサービスに代表されるように垂直統合モデルが一般的でした。しかし、iPhoneはアップル社がiTunesから端末までの自社による垂直統合モデルをもっており、この場合、携帯事業者にプラットフォーム部分の収入が入りにくい構造になります。

ソフトバンクモバイルはiPhoneの発売により一定のシェアを伸ばすことが予想されます。同時にビジネスモデルを垂直統合から水平分散に切り替えていくことも必要となり、iPhoneの登場は、これまで「ガラパゴス現象」と呼ばれた携帯電話市場に新たな風穴を開けることになるのかもしれません。


MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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