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先日、日経スペシャル「ガイアの夜明け」(5月20日放送)で「ネットの闇 ~有害サイトから家族を守れ~」が放送されました。学校裏サイトやネットいじめなど有害サイトによる生じる事件など様々な問題が指摘されていました。韓国でも同様に深刻で、子どもがどんなサイトにアクセスしているか、親の携帯電話から映像を確認でき、コントロールできるサービスが流行しているようです。


文部科学省は5月22日、「青少年が利用する学校非公式サイトに関する調査報告書」を更新しました。 少しそのポイントを抜粋してみましょう。

 

学校裏サイトの定義

俗に言う学校裏サイトを、今回の調査では、「学校が公式に開設・運営する公式サイト以外で生徒が自主的に開設した掲示板など公開型の情報交流媒体。いわば学校非公式サイト」と規定した。

スレッド型学校非公式サイトやプロフなどの種類の多様化

当初我々は、特定学校非公式サイトを、中高生らの情報交流のメイン媒体とみなしていたが、実際にはスレッド型学校非公式サイト(匿名掲示板)やプロフに近い特性のグループ・ホームページ型学校非公式サイトのほうに主流が移っていることが確認された。理由は多々考えられる。ひとつには、発見や見守りが容易な公開型の特定学校サイトの場合、この種のサイトに関する学校管理者あるいは教師の関心が高まり、大人の側からの干渉が激しくなった。その背後にはテレビ、新聞などマスメディアの報道の高まりがある。また、集団管理の学校非公式サイトより魅力的な個人発信メディアとしてのプロフの流行がある。さらには特定学校サイトに広告やアフィリエイトなどの誘いをかけ、生徒たちを大量に引き込むゲームサイトなどのビジネス・モデルの出現がある。

学校非公式サイトの種類の多様化という現状変化の認識は、問題の分析と対策にとって重要になるだろう。

すべてが子どもの有害情報発信ではない

総じて言えば、誹謗中傷・猥褻情報・暴力誘発情報などのある学校非公式サイトの割合のデータを見ると、健全とは言えないまでも常識的な子どもらの非公式サイト発信は、現状では、およそ半数とみてよいだろう。(非公式サイトの有害発信には、特に猥褻情報発信において大人、業者が子どもに紛れて行う書き込みが散見されるので、すべてが子どもの有害情報発信とは言えない。)

企業のネットのビジネス・モデル構造も問題

今回の調査対象となった学校非公式サイトに限らず、各種の子どもサイト遊びの根底には、いわゆるコンテンツ業者を含めた企業のネットビジネス・モデルという大人社会の企て・活動が働いている構造になっていることに注目しなければならないだろう。換言すれば、この構造認識に立ってはじめて、特定学校型あるいは一般学校型からスレッド型ないしはグループ・ホームページ型学校非公式サイトへのユーザー移動の意味(量的、質的形態変化の理由)が理解できるのだ。

今後の課題

結論的に言えば、学校非公式サイトの有害情報発信問題は、子ども自身の問題も大きいものの構造的には大人の責任問題の方が大きいと判断される。特に特定学校非公式サイトに張られているネット広告の中にはネット風俗など青少年健全育成の従来の基準からすれば有害な宣伝、広告が圧倒的に多い。(中略)いずれにせよ、この種の遊びサイトの提供業者を含めた大人、企業の責任を真剣に考えるべきだろう。子どもむけ対策だけでは片付かない問題が山積しいているのである。

以上の調査結果から読み取れることは、やはり子どもたちへのネットに対する危険を理解させる積極的な指導が必要である点です。また、親自身も携帯への知識を身につけ状況判断できる力を身につけていく必要性も指摘しています。また、サイトを巡回することのできる教員を育成していくことの必要性も述べられています。そして、ネットを提供する企業側や大人側の責任を考えるべきで改善していくべきことが多いと指摘しています。

政府や有識者団体など有害サイトのフィルタリング規制について様々な議論がなされています。政府、企業、学校、保護者そして児童・生徒と様々な立場でこの問題に真剣に取り組んでいかなければならない時期にきてきると言えるでしょう。


MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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