死にたいとか逃げたいとか思う前に、大きなものに突き動かされることを考えるのもありかもしれません
ITに強いビジネスライターの森川ミユキです。
自分がダメ人間・クズ人間(以下、まとめてダメクズと言います)であることを突きつけられて死にたくなり、とはいえ飛び降りや首つりも怖いんで、何か楽に死ねる方法はないか探してみて、餓死はどうだろう、でもあれも最後は苦しそうだな――なんて思ったことはありませんか?
のっけから暗くて、しかもリアリティのありそうな出だしで申し訳ありませんが、リアリティを感じるとしたら、それは最近の私に起こったことだからです。
と言いますか、私の人生はこんなことの繰り返しでして、だから禅や哲学の本、ときにはそのものズバリの本(たとえば「死にたくなったら読む本」とか「やる気をとりもどす本」など)を読むのです。もう何冊読んだか覚えておりません。
「そんな本、ダイエット本と同じで、結局リバウンドするなら役に立たないじゃないか」と思われるかもしれませんが、その都度死なずに済んでいるのだから十分役に立っていると私は思います。
今回はもう本当に死ぬつもりで、いまお引き受けしているお仕事にどう始末をつけるかなどを真剣に悩んだりしたのですが、考えているうちにだんだん面倒になってきて、それなら本でも読んで死ぬのをやめようと思ったのでした。落語みたいな展開で、どこまで本気だったのか自分でもよくわかりません。はっきり言えることは、生きるのもしんどいけど、死ぬのもしんどいと思える間は、まだ死なないで済むといったことぐらいでしょうか。
そういうとき、私のあまり好きでない意識高い系()の人たちは、「今日が最後の日だったらどう生きたいか考えよう」などと言います。私は今日が最後の日なら、お酒とおいしいお料理をいただきながら、お笑いバラエティーを見て過ごしたいと思いますので(元気がある日ならですけど)、そんな想定で自分の使命を思い出すなんてことは微塵もありません。
そもそもダメクズであることを突きつけられて死にたくなるのは、普段からダメクズであることをそこはかとなく自覚しながら、本当はダメクズじゃないと認めてもらいたいという暗い承認欲求で生きているからです。だから「今日が最後の日云々」なんてーのは、まったく響きません。
そんな悲しい自己分析をして死にたくならないのかと言われたら、既に乗り越えましたので、いっそすがすがしい気持ちです。
では、こんな人間がどんな言葉で復活したのでしょうか? まあ実はそれ以外にもいろいろ前向きにしてくれる言葉があったのですが、決定的だったのは次の言葉でした。
具眼の士を千年俟つ(自分の絵の価値がわかる人を千年待とう)
伊藤若冲が代表作「動植綵絵」を相国寺に奉納した際に言ったとされる言葉です。孤高の画家が生前あまり認められなかったが、そんなことは気にせず、千年後の人に認められればいい――という意味で言ったと捉えられがちですが、実際には若冲は当時の京都でも評判の画家でして、動植綵絵にも大勢の見物人が詰めかけたんだそうです。
ただ私が「少年」だった頃は、忘れられた画家で教科書にも名前がありませんでした。最近になって再評価されたのだと思います。そういう背景もあって、「生前あまり認められなかったが・・・」のような解釈をする人もいるのだと思いますが、私の考えはちょっと違います。
動植綵絵は若冲が自身の40代のほとんどをそれを描くために心血を注いだ作品群です。それだけのモチベーションを保つために、はるか未来(千年は具体的な年数ではなく、はるか先を示す比喩的表現でしょう)まで残る作品にしようという気持ちで描いたというのが、本当の意味なのではと私は解釈します。
先日、「大谷選手が私の言いたかったことをとてもわかりやすく実践してくれて感激です」という投稿をしました。その中に、
大谷選手は、自意識よりももっと大きな何かに突き動かされて生きているのでしょう。だからこんなチャレンジを日々、やり続けることができたのだと思います。
と書きました。この「自意識よりももっと大きな何か」が「具眼の士を千年俟つ」心意気と同じものじゃないかなと思うのです。
私は自分がダメクズであることにコンプレックスを抱いています(過去形にはなかなかならないでしょう)。だから小さな承認欲求を満たすことで自分を何とか鼓舞しようと努めてきました。今月になって毎日書いているのは、その小さな承認欲求を満たすためでした。
「正解のない時代に最も大切なことは数打つことで、そのためにはあたりまえですが、これを捨てなければなりません」という投稿もしましたが、何のことはない、「自意識」に囚われていたのは私自身だったのです。
目の前の評判なんてどうでもいいではないですか。それよりももっと「大きなもの」を目標にして、自分はそれに沿って生きているのだろうかということだけ考えるようにしませんか?(自分への問いかけです)
たとえばDX推進に成功しているリーダーに聞いた話をしましょう。2年前のインタビューで、DXに取り組んでいる企業自体がまだまだ少なかった頃です。
「DXという言葉は当時一般的ではありませんでしたが、2年前から取り組んできました。その頃は私たちがやっていることを理解できる人が社内にほとんどおらず、あいつらは何をやっているんだと批判されることも多かったです。しかし経営者が必要性に気づいたときに取り組みを始めても遅いんです。私たちの取り組みが絶対にこの会社を強くすることにつながる――そう信じて、批判をかわしながら2年間続けてきたら、日本のトップランナーになっていた。それだけです」
なんてかっこいい発言! こういうリーダーが日本企業にもっともっと増えれば、きっと日本は昇竜のごとき復活をとげることでしょう。
それはさておき自分のことですが、先ほど「過去形にはなかなかならない」と書いたように、そのうちまた落ち込んで、死にたくなる日が来ると覚悟しています。しかし今は本当に前向きな気持ちで、もっと大きなものを目指して張り切って行こう!となっています。
ん? 反動が心配? そうですね。私も心配ですが、そのときはこのエントリーを読み返そうと思います。そう思って、今日は恥を忍んで書きました。日本中の落ち込んでいる方が、この投稿を読んで、ちょっとでも元気になるとうれしいです。
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- データ活用(データドリブン、DX等)
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