正解のない時代に最も大切なことは数打つことで、そのためにはあたりまえですが、これを捨てなければなりません
ITに強いビジネスライターの森川ミユキです。
VUCA時代と言われます。一言でわかりやすく言えば「正解のない時代」と言うことです。
もう36年前のことですが私が新入社員の頃も、「学校と違ってビジネスには正解がない」なんてことを言われましたが、今はその頃と明らかに違います(ちなみに大学も専門課程になりますと正解などなかったのですけど)。
たしかにビジネスには正解はありませんでしたが、それでも成功確率の高いセオリーみたいなものがありました。そしてそれ以上に個人の生き方に関しては、それで幸せになるかどうかは別として、正解のようなものがありました。
今は本当にないですね、正解。「昨日の正解は今日の足枷」って、これは今私が苦し紛れに生み出した言葉だったりしますが、何となく実感が湧かないでしょうか。
結局、経験と勘が役に立たない。なのでデータが大切。データをAIで分析して、意思決定する――まあDXとかデータドリブン経営なんていうのは、畢竟(たまたま知っていたので難しい言葉を使ってみましたw)こういうことです。大切な相談はChatGPTにしろなんて、ちょっと嘆かわしい風潮になっております。そのうち社運を賭けた決断をChatGPTにさせる経営者も出てくると思いますが、まあ気持ちはわからなくもありません。
だって正解がないんです。それなら鉛筆を転がして決断しても大した違いはないようですが、若い人は何を言っているのかさっぱりわからないでしょうねえ・・・。昔は鉛筆という断面が6角形の筆記用具がございまして、試験の選択問題でわからないのがあったら、鉛筆を転がして回答を決めていたのです。
まあ鉛筆を転がすぐらいならChatGPTに賭けるほうがまだ正解に近づくような気がしますけれど、私に言わせたら大差ないので、まあどっちでもいいですが、それなら「しいたけ占い」から示唆を得るほうがマシな感じもします。
で、身も蓋もない話になってしまいますが、正解がないときは数打つしかないんです。数打って手応えがあれがそれを掘り下げていくというのが従来のやり方でしたが、今は手応えがあっても明日はどうなるかわからないので、毎日数を打つことになります。いや毎日1つずつでもいいんですが、とにかく新しいことを毎日やる。休みなくやる。それしかないのがVUCA時代の生き方なんですね。
無間地獄ではなく、無限地獄です。
心が強くないと生きていけない気もしますが、そこに気づいてしまえば、意外と耐えられるものだったりします。実際私はメンタルが弱く、お仕事も嫌いで、ダラダラ遊んで暮らせるならそれが一番とマジで思っているのですけど、それでも数打つしかないし、それが永遠に続くことを受け入れたら、憂鬱ではありますが、神経症とか鬱病とかそういうメンタル疾患とは無縁になりました。
さて数打つということはどういうことでしょうか。それはクオリティを犠牲にするということです。
たとえば今月の私は毎日オルタナティブ・ブログに投稿しています。これはあるねらい(内緒です)があってやっているのですけれど、まあ毎日書くと戯れ言が多くなります。
兼好法師が「つれづれなるまゝに日くらし硯にむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくれば」と書いております。その心境ですね。それでも兼好法師が書けばあんな名随筆集に・・・と思う人がいるかもしれませんが、まあ読んでみてください。しょうもない段が多いです。歴史に名を残す人でさえも、おもいついたままたくさん書くと品質が下がるわけです。
もちろん100本も書けば、私でも1本ぐらいいい記事が書けたりします(兼好法師は100本中20本ぐらいはいい話だったりしますので、やっぱり彼は偉いです)。しかし99本はイマイチだなあと思うわけです。
でも大切なことはその99本も含めて100本を書くということです。それを人目にさらして反応を見るということです。それなのにそれができない人が多い。
なぜでしょう? 自意識が邪魔をするんですね。良く見られたい。せっかく労力を掛けるならウケたい、いいね!がほしい。褒められなくてもいいから恥ずかしい思いはしたくない・・・
そのような(あえて言いますが)邪念を持つ限り、数は打てません。
自意識を捨てましょう。それが正解のない時代を生き抜くためにもっとも重要なことだと私は考えます。
※でも美意識は捨てないほうがいいかも・・・
最新のIT動向やITのビジネスへの応用について、経営者などビジネスパーソンに分かりやすく伝えることができるライターです。経営レベルでのIT活用について書ける数少ないライターの一人とお客様から評価されています。
最近注力しているテーマは、下記の通りです。
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