AIは使ってもらうのが9割~第4回 機械学習モデルは便利でないと使ってもらえない
ITに強いビジネスライター 森川ミユキです。
AIは使ってもらってなんぼというテーマで連載させていただいております。
前回までで、DXのとっかかりとしては手軽なテーマがいいということで「書類の転記業務の自動化」から始めた事例を取り上げました。そしてそのために必要な学習データはそれほど件数は多くないのだが、集めるのは大変なことを説明しました。
今回は機械学習モデルの保守と運用に関するお話をします。
機械学習モデルは定期メンテが必要
アドホック、つまり1回キリしか使わない処理のために機械学習モデルを作ることはあまりないと思います。定常的な運用に載せるのが普通ですが、そうなるとモデルの定期メンテナンスが必要になってきます。
1つは精度を高めるためです。業務をこなすうちに学習データも増えますから、それを使って再学習して、さらに精度を高めるということをやります。
それよりももっと重要なことは、精度を維持することでしょう。VUCAの時代と言われる先が読めない時代です。状況は刻々と変化します。1カ月前に作ったモデルが役に立たなくなるなんてことは十分考えられます。したがって最新データで再学習することでリフレッシュすることも必要です。
難しいのは、学習データが増えたら精度も上がるとは言えないところにあります。過剰適合と言いまして、学習データに過剰に適合しすぎて、未知のデータに適合できないことがあるのです。データが少ないときになりがちですが、学習期間が長くても起こることがあります。
まあいろんなことを考慮しながら、精度を下げないことをまず第一目標に、精度が上がったらうれしいなぐらいの気持ちで(たぶん)、モデルをメンテナンスしていくことが重要です。
やっぱり便利でないと使ってもらえない
いずれにしても定期メンテのためには新しい学習データが必要になりますが、連載で取り上げている転記業務用のモデルに関しては、実際に業務をしてもらわないと学習データができないのでした。
今までは、手作業で転記作業をやってきたわけでして、ということは今でもこの半自動化システムを使わなくても業務ができるということなのですね。
これはDX案件ではよくあることです。手動でやっていたことをデジタル化するわけで、ということはシステムが提供されても、やろうと思えば今まで通り手動でできるケースが多いのです。
さてこの転記業務用モデルは使われたのでしょうか?
次回に続きます(掲載後、「次回」にリンクを貼ります)。
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