部下がどのように成長しているか、理解しているでしょうか?
学生を面接するのは人事部門の採用担当、新入社員の研修は人事部門の研修担当、そこからようやく配属されてくる。こういう企業は少なくないと思います。そのため、配属された部門の上司や先輩たちは、彼らが元々どれくらいのポテンシャルを持っているのか知らない、何ができて何ができないのかも分からない。で、「何も分からない」ことを前提に接するのが一般的だとは思います。もちろん、研修を受けたことは前提で。
企業によっては、新入社員にどういう研修を受けてもらったのか、ということを配属先に教えていない企業もあるようですね。これでは配属先の人たちは困りそうですが。
さて、新人が配属されてきて、まずは歓迎会。で、少しずつ仕事を覚えてもらいます。半年、1年、2年、3年、5年とお互い歳を重ねていくわけですが、彼らがどのように成長しているか、理解されているでしょうか。あるいは、理解しようとしたことはあるでしょうか。
自分たちのことを振り返ると、多くの人は左の図のような成長をして来なかった、のではないでしょうか。こんなに順調に成長する社員は優秀だと思いますが、実は優秀な社員でもビシッと右肩上がりで成長しないものだと思うのです。
それは、僕たちが無能なわけではなく、感情を持ち合わせた人間であるから、だと思っています。
で、よーく観察していると、部下はこんな感じで成長している、というのが僕の仮説です。入社直後、研修期間を含めて一気に成長します。ココで言う成長にはいくつかありますが、この時期は「習得期」だと思っています。社会のマナー、社会のルールを習得し、会社のルールを習得します。交通費の精算書類の書き方、この会社で使っているコピー機の使い方、プリンターの使い方、あるいはPCのセットアップ、ログイン・使用のルール。さらには、コンプライアンスという言葉について理解する必要がある企業もありますし、セキュリティ、個人情報とは、といったことまで習得していく期間です。
この期間を「成長」と考えない管理職の方が多いようですね。「準備期間」だと思っているようですが、僕は「成長」と捉えています。一つひとつのルールや規則、あるいは使用方法などを習得することで、当社の仕事ができるようになるわけですから、充分に成長と言えると考えているんですよね。
で、その次には粛々と成長する期間、名付けて「粛々成長期(そのまんま)」。この期間が、上司や先輩たちをイライラさせる期間です。今までは何も期待していなかったので、ちょっとした心遣いのある作業、例えばコピーを頼んだら必要な部数を質問してきたとか、来客に上手に対応していたといったことで喜んでいたものが、すぐに当たり前に感じるようになります。
新人たちは、この時期もいろいろ習得しながら、例えば営業職ならお客さんを訪問し、製品説明をしている中で学んでいることもあれば、例えばITエンジニアなら言語だけでなく、オブジェクト指向というものを知り、データベースについて知識を深めている、かも知れません。
ただ、上司や先輩である僕たちからは、あまりよく見えない成長なのですよね。なので、企業によってはメンターを付けて情報収集するのですが、そもそもメンターが忙しかったり、あるいはメンターという言葉だけで何をするといいのか分からなかったりして、あまりケアできていないこともあるようです。その結果、僕たちは「今年の新人はイマイチだな」などと感じてしまったり。。。なので、少しずつ成長しているのですが、感覚的には踊り場で停滞しているように感じてしまうのですよね。
それからしばらく経つと、また急に驚くほど成長を遂げていることに気付きます。お客さんに笑顔で説明し、一人で契約をとってくる。あるいは、一人でサクサク仕様書を仕上げてきます。「おおーっ!成長したじゃん!」という感じで。
ですが、本当は彼ら、彼女らは、成長し続けているのですよね。(もちろん、全ての新人が、というわけではないでしょうけど)
僕たちが一番やってはいけないと思うことは、「見ていない」ことだと考えています。僕もいい歳をしてもそうだったので分かるのですが、誰かが見てくれていると頑張れます。ただ、誰も見ていないとなると、そこまで頑張る気になれません。そうなんです、見ているって、結構重要なんですよね。忙しくても、少し声をかけてみると、元気な返事が返ってきたり。
僕自身も、部下を叱りすぎてしまったり、逆に甘やかしすぎてしまったり、試行錯誤はこの歳でも続いていますが、なんとなく気になったことを書きだしてみました。みなさんのご体験などをお聞かせいただければ幸いです。