「指向」と「志向」の違いをご存じですか?
でた!「違いをご存じですか?」シリーズ。
どうでもいい前置き
過去にも、
- 「伝える」と「伝わる」の違いをご存知ですか?
- 「怒る」と「叱る」の違いをご存知ですか?
- 「指摘」と「評価」と「批判」は違う、と思う
- 「信用」と「信頼」の違いをご存知ですか? ← 唯一の人気記事
- 「サービス」と「おもてなし」の違いをご存知ですか?
- 「丸投げ」と「一任」の違いをご存じですか?
- 「賞味期限」と「消費期限」の違いをご存じですか?
など、色々な言葉遊びともいえる大切なことを発信し続けてきました。今回もそのシリーズです。
あ、「ご存知」と「ご存じ」の表記ゆれがあるのは、ある時から「ご存知」の「知」は当て字である」ということを知った時から「ご存じ」に統一したため、です。
ここから本題
今度「顧客しこう」を少しだけ否定するような、危なっかしい?研修を作ろうと思っているんですよ。もちろん完全否定はしませんよ。そうではなくて、
「顧客しこう」とは、人間が初めて文明を手にした時の「火」のようなもの。正しく理解し、正しくアプローチしないと大やけどするから、妄信しちゃだめよ
ということが言いたいんです。
で、その時に疑問に思ったのが、
「指向」と「志向」、どっちを使ったらいいんだ?
ということです。「顧客指向」と書くのが正しいのか、「顧客志向」と書くのが正しいのか。
ちなみに「顧客しこう」とは、一言でいえば「常に顧客のいうことに耳を傾け、顧客の中にこそ正解があると考えて、顧客主導で動く」ことです。もちろん、実際にはもっともっと奥が深いんですけど。
ちなみに Google 先生では
- 「顧客指向」でググったら約 37,600,000 件
- 「顧客志向」でググったら約 5,200,000 件
ヒットしました。世の中的には「顧客指向」のほうが人気です。ただし、「顧客指向」でググった時は「もしかして: 顧客志向」と表示されました。おや?これはヒントになるかな?
例によって、辞書(広辞苑)で調べます。
- 指向
1.ある方向をめざして向かうこと。
2.ある方向にさしむけること。
3.志向に同じ。 - 志向
1.心が一定の目標に向かって働くこと。
2.意識が(中略)何ものかに向かっていること。「指向」とも書く。
なんとー、「指向」と「志向」は、一部意味を共有していたようです。
まてよ。元々「オブジェクト指向」は Object Oriented の訳、「顧客志向」は Customer Orientedの訳です。では、oriented がどう訳されているか調べればいいかな。
ジーニアス英和辞典では、
- oriented
(知的・情緒的に)方向づけられた
...志向の
...本位の
...を重視する
...に関心(興味)がある
となっていました。
で、結局どうなの?
となると、
- 指向
物理的に、ある方向を向いている様子。
指向性アンテナ、指向性マイク、指向性スピーカーなど、ある方向に向いて作用する、というような意味の時に使う。 - 志向
知的(意識的)に、または情緒的(無意識)に、考え方がある方向を向いている様子。
強く意識したら、それは志(こころざし)という。
というように整理したら、わかりやすいかな?
というわけで、今回の「顧客しこう」は、「顧客志向」と書くことにしました。
ところで、「オブジェクト指向」が「指向」なのは、「オブジェクトという物理的なモノを作る」ということから「指向」なのか、それとも本当は「オブジェクトという概念を意識して作っていきましょうね」という考え方から「志向」が正しいんだけど、「指向」があまりにも広まっちゃったからそうなっちゃったのか・・・
個人的には「オブジェクト志向」が正しいと思うんですけどね。
あ、「顧客志向」を妄信しちゃだめよ、という考え方については、こちらをご覧ください。