29. 「丸投げ」と「一任」の違いをご存じですか?
先日、あるお客様から「ブログ、絶好調ですね」と言われて、「???」となりました。ここのところ、ずっとサボってたのに・・・
と思っていたら、このオルタナティブ・ブログの表紙に掲載されている「長期人気記事ランキング」のことをおっしゃってたみたいです。
なんと、上位10位のうち3つに私の記事がランクインされています。知らなかったー!なのに、これだけブログをサボっていたていたらく。私はとてももったいないことをしているわけです。反省。
しかも、この上位が3つとも「言葉の違いシリーズ」なんですね。みなさん、やはり言葉の違いについては気になるようです。
そこで大変あざといんですが、新しいネタを。「丸投げ」と「一任」の違いについて、です。すぐれたリーダーと呼ばれる人はみな、誰かに仕事をお願いするのが上手です。しかし、決して「丸投げ」はしないんですよね。この違いは何でしょうか。
例によって辞書(広辞苑)をひくと、次のように書いてあります。
- 丸投げ:仕事を請け負った者が、その全部を他者にさらに請け負わせること。
- 一任:すっかり任せること。
うーん、なんか、役に立たない。^_^
で、いろいろ調べたり、人に聞いたりしてみました。私も、別の人に「一任」したつもりでいて、その人から「丸投げしないでください」って言われたこともあったりしたので、ずーと気になっていたんです。で、丸投げと一任には大きく2つの違いがある、という結論に至りました。
1.仕事をお願いする理由や範囲、達成目標などを明確にするかしないか
「丸投げ」は、仕事をお願いする際、明確な指示をしません。「とりあえずやっといて」みたいな感じです。なぜその人に依頼するのか、全体の仕事のどの範囲を依頼するのか、どの程度の成果物が出来上がったら良しとするのか、といった説明が何もないのが「丸投げ」です。
一方「一任」は、これらの事象をはっきりさせます。
・なぜ、あなたに頼むのか
・全体の仕事のどの範囲を頼むのか
・どの程度の品質レベルの成果物が完成したらOKなのか
といったことを、客観的に具体的に示したうえで、「この範囲であなたに任せます。やり方は問いません。期待する成果を出してください」とお願いするのが「一任」です。
特に、達成目標(すなわち「期待する成果」の度合)が明確になっているかどうか、ということが重要です。
2.最終的な責任を自分が負うか、負わないか
うまくいったらいいけれど、問題はうまくいかなかったときです。うまくいかなかったとき、問題は、依頼主が外部から責められたときです。「いや、秘書がやりました外部に委託したから私はよくわかりません」というような態度をとっちゃうのが「丸投げ」です。一方、「私に責任があります。責任は私がとります」という態度をとるのが「一任」です。
一任であっても、その人には仕事を外部に任せた責任があるので、うまくいかなかったときにその依頼対象に対して適切に指導、叱咤激励、注意喚起をすることはもちろんあるでしょう。ただ、「一任」は仕事の成果物の納期や品質に関する責任を依頼主(任せた側)が負おうとします。そのため、依頼主は、途中経過を常に確認し、コトが大事になる前に適宜介入したり、アドバイスをしたりするでしょう。「監視している」と書けば聞こえは悪いですが、適宜見守ってくれているわけです。しかし「丸投げ」は、成果物が完成するまで何もアプローチしません。そのくせ、品質の悪い成果物が出てきたら、「どうしてくれるんだ」みたいな態度をとるわけです。
すぐれたリーダーは、部下や関係者に上手に仕事を「一任」します。私も見習いたいものです。